この日は半年ぶりで釣りに行ってきました。やもめ暮らしも2週間、すっかり板に付いてきましたが、憂さ晴らしも必要です。春の海を思う存分満喫したいと思います。いつもの港から早朝に出港、朝日に向かって好釣を祈願します。海面は少し波立っていますが、まだ、高気圧も張り出しており、まずまずの釣り日和になるはずです。
ところが釣り場に着いてから、2時間も当たりがありません。丸っきり生体反応を感じないのです。周りも同じ状況のようで、こういう時の船頭は辛いんですよね。冷たい視線で「場所が悪いんじゃないの?」とか「カレイ釣りに変えた方がいいんじゃない。」とか勝手なことをよく言われます。こんな時に「昨日までは大漁だったんですよ。」とか「コウナゴが湧いているから食いが悪いんですよ。」とか適当な言い訳がとっさに出てこないと駄目なんですね。私にはとても出来そうもありません。^^
結局、半日頑張って、このネウ(アイナメ)1本だけでした。全く疲れました。
それでも、大きさは30cmを超えており、私一人の酒の肴には十分すぎますね。産卵は1月に終わっているのですが、まだ、肩から腰にかけて少しほっそりしています。このあと、6~7月になるとネウも肥えてきて、脂も乗ってくるのですが・・・。さて、今日はどう料理しましょうか。
まずは、鱗を落とします。出刃包丁を立てて、尾から頭へとしごいていきます。
私は1日分の新聞紙を真ん中から広げてその上で前処理をします。そうしますと、生ゴミをすぐに新聞紙に包んで捨てられますし、まな板が粘液や血で生臭くならいからです。ただ、メバルのように鱗が飛び散りやすい魚の場合はシンカーの中でやった方がよろしいですね。
皮を剥いで料理する刺身などの場合、鱗取りは要らないのではないかと思われますが、鱗取りは体表面の粘液取りにもなっており、この処理を怠りますと身にも生臭さが身に移ってしまいます。面倒でも丁寧に処理しましょう。
続いて、頭を落とし、肛門から包丁を入れて腹を開け、内臓を取り出します。内臓のうち、肝臓と胃袋は料理に使います。
ここまでを新聞紙の上でやるのです。胃袋は縦に切れ目を入れて、内容物を点検してから洗っておきます。何を食べているかは、釣りの餌を選択する時の重要な情報となりますので。
今日は1尾なのであまりゴミも出ませんが、何尾もさばく時は鱗や内臓がある程度たまったら、このように新聞紙で包んでよけておきます。
上から一枚ずつ、包んでいきますが、ゴミが多い時は2~3重に包みます。新聞紙を重ねて包むのではなく、一枚ずつ包むのを繰り返します。この生ゴミは夏ですとすぐに匂いが出てきますので、燃えるゴミの日まで冷凍庫で保管しています。
さて、前処理が終わった魚はよく水洗いをするのですが、その前に腎臓を掻き出しておきます。プロはささらと呼ばれる竹のブラシを使いますが、私は包丁の先で掻いています。その後で水をかけてきれいに洗い流します。
腎臓は腹腔内の背骨に沿ってへばりついている臓器です。刺身などにする時、邪魔になりますので、きれいに取り除きます。サケの腎臓は塩辛にされてめふんにされるのですが、他の魚では利用されません。
粘液や血をきれいに洗い流した魚はここで初めてまな板に乗ります。頭やカマは二つに割り、胃袋も開いてきれいに洗っておきました。
捨てるのは新聞紙の上にある鰓と幽門垂や腸くらいです。あとは全て料理の材料となります。マダラですと鰓も鍋に入れることがありますね。
汚れ作業が終わり、ここからは楽しい仕事となります。まずは三枚におろします。船上で血抜きをしてきましたので肉はきれいな白身になってます。
背鰭、尻鰭に沿って切れ目を入れ、そこから骨に刃先を当てながら、肉を大切に外していきます。速さより丁寧が優先されます。小型魚の場合は尾の方から背骨に沿って一気におろします(大名おろし)。
三枚におろしたフィレーは一方を刺身用に皮を引き、もう一方を焼き物用に形成しています。
今回は鰭も食べますので、中落ちから切りはずしました。もちろん、剥いだ皮も捨てません。
さて、長くなりますので、ネウの捌き方が終わったところで、一旦、記事を締めます。引き続き、このネウを使って4品ほど料理を作ってみたいと思いますが、献立は次の記事でご披露申し上げます。ここまでのように、魚は捨てるところがほとんどありません。魚種によっては鱗や鰓も料理に使います。今日のネウは産卵後だったので、卵巣や精巣は萎縮していましたが、通常は煮付けなどにして美味しく頂いています。ネウ料理4品 COMING SOON
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