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小粋な葱鮪(ねぎま)の小鍋立て
カテゴリー: 料理:買い魚

寒さも日に日に増してきて、小鍋立てが楽しいシーズンになってきました。小粋な鍋物の一つに葱鮪鍋(ねぎまなべ)があります。江戸時代の後期に発生したとされているこの鍋はヅケに向かない鮪の脂身(トロ)を江戸の庶民が有効利用したものということですが、現代では贅沢な料理となってしまいました。
ところで、近年、焼き鳥で鶏肉と長葱を交互に串に刺して焼いた物も“ねぎま”と呼ぶ店がありますが、成り立ちからすれば、間違ってますね。そもそも鮪(ま)がないじゃありませんか。これではまさにマヌケですね。^^
仕事の帰り道、スーパーで素晴らしいものを見つけました。

メバチの尾柄部の輪切りです。これたったの195円でした。魚市場の競りの際、肉質が見定められるように尾柄部を切って断面を見せるのですが、それを商品としたのでしょう。いずれにしろ、安くマグロを頂けるのですから有難いことです。
丁寧に皮と骨を外し、肉も刺身サイズに切り分けました。

骨と皮はダシとしても使います。この時の注しなければならないのは、マグロの鱗は細かくてかなりしっかり張り付いていますので、丹念に落としておきます。つゆの中に散ったら大変ですからね。
日本酒を加えた水に昆布とメバチの皮と骨を入れてダシを引きます。


アクを取って醤油と塩で味を調えます。澄み切った良いダシが取れました。鮪ダシのねぎま鍋ってなかなか好い感じではありませんか。
食卓に運んで晩酌の開始です。このところ独男なので小鍋立てでの独酌が多いのです。

愛用の火力可変式電熱器は晩酌塾の会場に置きっぱなしなので仕方なくガスコンロでやってます。この鍋はマグロと焼き葱だけで小粋にやります。けっして、ゴタゴタと具材を入れ込むような無粋なことをしてはなりません。^^
とは言え、ねぎま鍋だけだと野菜不足なので、前菜に小松菜の胡麻汚し、小松菜の茎とエリンギの芥子醤油漬け、そして鶏ハラミの葱塩焼きです。


余談ですが、この鶏ハラミ、牛のハラミは横隔膜ですが、こちらは腹筋とのこと。食感がまるで軟体動物、大型二枚貝の足のような感じ。取り外しにくい部位なのですが、結構見かけるようになったのは、専用のカッターが開発されたのでしょうか。
自分で仕切る小鍋立ては好みの加減に熱を通せるのが楽しいですね。

195円とは思えない立派な鍋になってますね。^^
庭の柚子を取ってきて絞りながら味わっています。ダシ殻になりましたが、メバチの皮もプルプルとした食感で美味かったです。

この他、七味唐辛子や練り芥子などでも試してみましたが、それぞれ異なる味わいで楽しめました。
今回はラッキーなメバチが手に入りましたが、鮮魚コーナーには秋鮭や鱈の切り落としがお得な値段で売られています。不揃いな身ですが、丁寧に処理すれば、小鍋立てにして十分楽しむことができます。それに倹約献立でありながら、小粋に食べれば、心も舌も満足することができますよ。
2016/11/16(水) 05:00 | trackback(0) |
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