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酒塩と梅酢で冷やしゃぶです。
カテゴリー: 料理:肉・卵・乳

このところ、江戸時代の調味料の発掘を楽しんでいますが、煮貫や煎り酒とともに重要な調味として、酒塩や梅酢が挙げられます。特に醤油が江戸庶民に広がる中期以前はこれらが調味料の主役でした。夏も盛りを迎え、冷たい物が食べたくなりますが、それでもスタミナを維持しなければなりませんので、冷やしゃぶを作ってみました。普段はこれをポン酢醤油や胡麻だれで食べるのですが、今回は酒塩と梅酢で味付けを行いました。実にさっぱりとした冷やしゃぶに仕上がりました。
まず、酒塩ですが、通常、日本酒に海水程度の塩味を感じるくらいの塩を加えて作ります。

海水には塩分(正確には塩類)が約3%含まれます。酒一合に小さじ1杯(6g)の塩になります。酒塩は通常、肉や魚の下処理に漬け込み液などとして使いますので、日本酒はそのままで構いませんが、今回は加熱しないで口に入りますので、アルコールの苦味を煮切って飛ばしておきましょう。
続いて、梅酢おろしを調製します。梅酢は赤紫蘇を使わない白梅酢を用意します。

水気を絞った大根おろしに梅酢を混ぜ込みますが、塩味が足りない時は天然塩を加えて調整します。いわゆる霙酢よりは固めで、調味大根おろしと言ったところでしょうか。
まず、酒塩に氷を入れてキンキンに冷やした物を用意します。続いて、80℃程度に湧かした湯に昆布を入れてダシを引きます。

その中にしゃぶしゃぶ用の豚肉を一枚ずつ泳がせ、赤みが失せた瞬間に冷やした酒塩に潜らせます。これをただの氷水でやりますと水っぽくなってしまいます。
熱が取れた豚肉は水気を切って盛り付けます。

そこに先ほどの梅酢おろしを添え、大葉や茗荷など好みの香辛野菜を天盛りします。
一口分ずつ盛り込みますと食べやすいですね。

豚肉には既に味がついており、梅酢おろしのさっぱり感も加わって夏向きの佳品になります。
今回は大皿に盛り込みましたが、これを小鍋立てにして、一枚ずつしゃぶしゃぶしながら、冷酒をやるのも粋ですね。江戸時代には豚や牛のしゃぶしゃぶなど存在しませんが、江戸期の晩酌の雰囲気を現代の料理で味わうのも悪くはありません。夏に小鍋立ては暑苦しく感じるかも知れませんが、冷やした酒塩と梅酢おろしを使った冷やしゃぶなら小粋に涼も楽しめるでしょう。
2016/08/15(月) 05:00 | trackback(0) |
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