江戸時代の調味料 煮貫で手打ち蕎麦

カテゴリー: 料理:麺類

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 このところ江戸時代、特に醤油が普及する前の初期の調味料を再現して楽しんでおりますが、今回はその当時の蕎麦つゆと現代の江戸前の蕎麦つゆをガチで対決させてみます。果たして結果や如何に。。。^^



 その江戸時代の蕎麦つゆとは煮貫と申します。
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 作り方は、まず、味噌を3.5倍量の水に溶かします。30分ほどおいてそれを漉し、半量の日本酒と削り節、ダシ昆布を加えて煮詰めます。ところで、濾した後の味噌の滓(かす)は適度に塩分が抜けて美味しいのです。これも使って一品を作ります。


 煮詰める途中で思い出したのですが、煮貫でも蕎麦つゆの場合は甘味を加えるのでした。
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 そこで、現代の蕎麦つゆと同程度の甘さを感じるまで味醂を加えました。これを濾したら出来上がり。先ほどの味噌滓とダシを取った後の鰹節と昆布で次のような蕎麦屋のつまみを作ります。 


 味噌の滓にダシ殻である削り節や昆布を刻み込んで焼き味噌を作ってみました。
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 コクを出すために煎り白胡麻と黄粉(きなこ)を加え、きび糖で甘みも加えています。いやいや、こりゃ行けますね。味噌そのままだと塩味が強過ぎるのですが、これなら良い具合です。その後、調べてみましたら、蕎麦屋で酒のつまみとして出される焼き味噌の起源は煮貫を作る過程で出た味噌滓の有効利用であるとの説も発見できました。江戸前蕎麦の前に焼き味噌で一献の理由がここにあったのですね。


 さて、煮貫が出来たところでおもむろに蕎麦を打ち始めます。
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 今日は北海道のキタワセです。加水率48%の二八で打っています。最近やっと麺の幅が安定してきました。


 さて、常備している本返しで仕込んだ現代版江戸前蕎麦つゆと江戸時代初期の煮貫との対決です。^^
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 左は現代の醤油ベースの蕎麦つゆ、左は味醂を加えた煮貫です。


 結論です。煮貫は若干、味噌の風味が残りますが、これしかなければ、何の抵抗もなく蕎麦を食べることが出来たかも知れません。実際、蕎麦処の信州では焼き味噌と大根おろしの汁で蕎麦を楽しんでいます。味噌の風味が蕎麦に合うのも事実でしょう。しかしながら、両者を比較すると現代の醤油ベースの蕎麦つゆのようなキレがなく、野暮ったく感じるのです。キレとはメリハリと言いますか、後味の爽やかさと言いますか、いわゆるな味であることです。^^

 これは習慣による嗜好性の偏りかも知れませんが、しゃっきりした江戸風の蕎麦はキレのある醤油ベースの蕎麦つゆで頂いた方が美味しく感じます。江戸時代中期以降に醤油が庶民にも普及してからは煮貫に代わって現代の醤油ベースのつゆがメジャーになって行ったわけですから、先人たちもそう感じたのでしょう。でも、それに口が慣れ切った時には変化球も必要ですね。そこから何か新しい発見があるかも知れませんし。^^
 



2016/08/08(月) 05:00 | trackback(0) | comment(0)
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