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山椒風味の糂汰味噌(じんだみそ)
カテゴリー: 料理:買い魚

今年も山椒の実がたわわに成りました。山椒は小粒でもぴりりと辛いと言われるように、これをそのまま食べることは出来ません。塩漬けにしたり乾燥させて粉にしたりして香辛料として利用します。これは朝倉実山椒という品種で、植えてからかれこれ四半世紀が経ちますが、全くの世話要らずで、毎年、木の芽や実を使い切れないくらい提供してくれます。
山椒はミカン科の植物ですので、実をよく見ますと小さなミカンのような風貌です。

しかしながら、果肉は殆どなく、秋になると大きな種子がごろんと出てきます。
今年は塩漬けとオイル漬けを作ってみました。


塩漬けは後に佃煮やちりめん山椒などに使います。オイル漬けは炒め物の香り付けや擂り潰して隠し味に使ったりします。
こちらは1年を経過した山椒の実の塩漬けです。

時を経て辛味や痺味も少しマイルドになっています。
前振りが長くなりましたが、今回は山椒の香りも加えた山口県周防大島の郷土料理、糂汰味噌(じんだみそ)を作ってみました。

糂汰味噌はメバルを使った調味料的な一品。山椒は私が直感的に合いそうと思って加えました。
材料のメバルを釣りに行く時間がないので、赤魚(アラスカメヌケ)を使います。


アラスカメヌケもメバルと同じSebastes属、ちょっと身強いけど味は似てるんじゃないかなぁ。これをよく焼いて、身だけをほぐしておきます。
本来は甘い麦味噌を使うのですが、手に入らなかったので白味噌にしました。

でも、この白味噌かなり甘いので代用にはなるでしょう。青葱や大葉も私流です。一年物の実山椒の塩漬けも隠し味に使います。
最初に実山椒を擂り潰し、次に赤魚のほぐし身を入れて突き潰していきます。



ねっとりしてきたら白味噌を加え、微塵切りの青葱や大葉も混ぜ合わせます。最後に自家製の昆布酢(醸造酢にダシ昆布の細々を漬けたもの)を加えて味を引き締めます。
はい、赤魚の糂汰味噌の完成です。早速、味見を。

本物の糂汰味噌は食べたことがないのですが、たぶんこんな感じでしょう。それにしてもちょっと甘味が強いですね。本場のようにただでさえ甘い麦味噌を使い、それに味醂や砂糖を加えたりしたらとんでもない甘さになりそうです。そういえば、テレビの番組でこれを食べたタレントが「甘い。。。でも優しい味ですね。」としか言わなかったなぁ。。。
糂汰味噌は、基本的に調味料として使うので、とりあえずお茶漬けにしてみました。

それでも甘いなぁ。みちのく人には仙台味噌で作った方がすんなり頂けるでしょうね。そうすると、焼き魚で作ったなめろうみたいになるのかな。
この糂汰味噌と類似した料理は西日本に広く分布します。これを出汁で薄めていけば、愛媛のさつまや宮崎の冷や汁に近くなります。どれも焼き魚の香ばしさと味噌味が共通しています。ところで、この糂汰味噌の「じんだ」と言う言葉ですが、宮城の「ずんだ餅」と関連すると言う説があります。糂汰の本来の意味は塩を加えて発酵させた米糠のことですが、外見から今回の焼き魚の味噌混ぜも糂汰と呼ばれるようになりました。枝豆の餡も山形県の置賜ではじんだやぢんだと呼んでいるところから、伊達家が宮城に持ち込み、それが訛って「ずんだ」になったのではないでしょうか。今回は山椒の話題から翻って、ずんだ餅の話しになってしまいました。^^
2016/07/11(月) 05:05 | trackback(0) |
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