JAN
FEB
MAR
APR
MAY
JUN
JUL
AUG
SEP
OCT
NOV
DEC
06
舞茸パワーは本物か?
カテゴリー: 料理:山菜・筍・茸

この話題も先日テレビで放送されたものなのですが、過日の重曹麺(関連記事)の時のように、どうも誇張された情報提供のように感じてならないのです。つまり、舞茸はプロテアーゼ(蛋白質分解酵素)を多く含んでいるので肉を柔らかくするというものです。どの程度柔らかくするのか、他のプロテアーゼを含有する食材との比較もなく、あくまでも当社比のようです。で、さっそく検証。鶏の胸肉で鍬焼き(照り焼き)を作ってみました。
材料は鶏の胸肉と舞茸。

これに調味料として醤油、味醂、日本酒くらい。あと、片栗粉と油少々。
まず、胸肉を筋繊維を断ち切る方向で薄く切りにしておきます。

舞茸は鶏全体を包むくらいの量を微塵切りにします。
舞茸の微塵切りに水少々を加え、胸肉とともにジップロックに収容して揉み込んでおきます。

ここで重要なのは比較対照を置くことです。当社比で誤魔化すにしても実験による検証ですから、舞茸処理区から舞茸だけを抜いた物、すなわち、水少々をかけて揉んだ物との比較が必要です。本来なら、何もしない肉片も設定すべきでした。^^
そして、2時間ほど室温で経過させた時点でそれぞれに片栗粉に塗し、油少々で炒めていきます。

左端の二切れが対照区です。舞茸処理区は舞茸が付着したまま粉を塗しましたので、ゴタゴタとしていますね。^^
合わせた調味料をじゃーっとかけまわして出来上がり。

庭の行者大蒜と名残の柚子を添えましたが、実験ですからあまり関係ありません。
左側が舞茸処理区、右側が対照区です。

目を瞑ってじっくり味わいます。んんん。。。一口噛んだ時の肉の崩れ具合にはあまり差がありません。対照区も水に浸けていますのでその影響で柔らかくなっている可能性もあります。やはり、何もしない実験区も設けるべきでした。ただ、よく噛んでいくと舞茸処理区は筋繊維のそれぞれの主張が弱まっている感じです。最初の一口で、うわぁという驚きはないのですが、噛み込んでいくにつれて柔らかさを感じるといった具合です。
続いて、加熱すると硬くなる鰹で比較します。今回はプロテアーゼの代表格、キウイフルーツとの比較も加えます。

緑のキウイにはアクチジンという強烈な酵素が含まれます。黄色いキウイには含まれません。かつて、安いステーキ用牛肉にキウイペーストを塗して半日も置いておきましたらボロボロになってしまいました。^^
キウイは擂り下して種ごと使います。

肉の下処理によく使いますが甘酸っぱさも加わって一石二鳥なのです。
今回は何もしない鰹の刺身、舞茸処理区、キウイ処理区の三つで比較します。


処理区は軽く混ぜ合わせて、全てにラップをかけて2時間置きました。室温の方が酵素の活性も高まるのですが、気温も高く生の魚肉ですので、冷蔵庫で保管しました。
処理区は洗い流して水気を拭き取ってからフライパンでポワレします。


酵素や酸によるためか処理区の二つは加熱前に断面が白濁しています。軽く焦げ色が付く程度に炒めて試食です。
さてさて、違いのほどは如何に。漬け込んでいたキウイや舞茸は軽く煮詰めてスターチでとろみをつけるとソースになりますが、今回は気にしないで下さい。^^

これは簡単に判定が出来ました。結論です。キウイ>舞茸>対照区、キウイの酵素パワーの前には舞茸も敵いません。舞茸も酵素の効果があることは事実ですが、本気で肉を柔らかくしたいなら断然キウイでしょうね。
実はキウイや舞茸以外にもプロテアーゼを含む食品は種々知られています。有名なところではパイナップルのブロメライン、イチジクのフィシン等がありますが、大根おろしや生姜汁、ヨーグルトや炭酸水も肉を柔らかくするとされています。問題はコストや作用時間、食材への悪影響の有無などで比較検討されるべきですね。単一の食材を取り上げて、これは凄い!!(当社比)は視聴者にインパクトだけの与える番組作りとしか思えません。この手の番組もネタ不足に相当苦しんでいるのでしょう。
2016/06/06(月) 05:00 | trackback(0) |
comment(0)
コメントの投稿