11 再現 隠れた名品ハゼのリゾット @ Chioggia

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 今回のイタリアミッションの目的の一つにベネチアの隣町キオッジャでの文化交流があります。宮城や塩竈の歴史と食文化を紹介し、相手側からもその情報を頂くというものです。その中でキオッジャGiannaさんは水産物の料理をご紹介下さったのですが、その中にRisotto di Go(ハゼのリゾット)というものがありました。これはある意味で大きなサプライズでした。上の写真は彼女がプレゼンテーションで使ったものです。


 以前、ベネチアを訪れた時に魚市場でハゼの仲間が売られているのを目撃しているのですが、リストランテでも書籍でもハゼを使った郷土料理は見つけられず、食材としてはマイナーな存在なのだろうと思っていました。しかし、ハゼのリゾットはあまり表にはでないものの伝統的な料理の一つらしいのです。なんだか松島湾のハゼの雑煮と似ているなと思いました。


 塩竈キョッジア松島湾ベネチア湾の類似性は大きいのですが、ハゼが漁獲され、それらが伝統的な郷土料理に使われているという共通点も今回、見つけることができたのです。遠浅で閉鎖性の強い内湾で海底には泥が溜まり、各所にアマモが繁茂するという似たような環境では洋の東西を問わず、類似した魚類相に収斂していくのかも知れません。これは人間の文化についても言えそうです。



 これはイタリア人の親友から今回プレゼントされたベネチア湾産ハゼ科魚類4種のスケッチ(上)と以前、送ってもらったスケッチのデジタルファイル(下)です。
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 これらのスケッチは彼の友人である画家(Luigiさん)に描いてもらったものですが、今回、プレゼントのために4種類を選んで描き直してくれたようです。実はこれには伏線があり、私が若い頃に松島湾のマハゼの生態を研究していたことを彼が知っており、松島湾とベネチア湾に共通するシンボルをハゼにしようと決めていました。正確に言いますと共通種はいませんので、ハゼ科魚類、大雑把に言ってハゼなのです。

 それはともかく、ベネティア湾にはハゼ科魚類が何種類も棲んでいるようです。では、リゾットに用いるハゼは一体どれなんでしょう。帰国してからも気になって仕方がなく、ネットで調べても特定できませんでした。そこで、メールで尋ねたところ、意外にも1種類だけで、イタリア語でGoと呼ばれるZosterisessor ophiocephalus というハゼとのことでした。上のスケッチでは右上に頭を向ける最も大きなハゼ、下のスケッチでは右上に尾を向けるハゼとして描かれていました。





 ベネチア湾沿岸でハゼのリゾットに使われるGo(Zosterisessor ophiocephalus)です。左は以前ベネチアの魚市場で、右はWikipediaからです。
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 松島湾のマハゼにも似ていますが、縞模様があり目の下にジャガーのような黒斑が垂れ下がります。このハゼの英名はGrassGoby、すなわち草のハゼです。属名のZosterisessorの前半のZosteriは両湾に繁茂する海草アマモの属名Zosteraから来ているのでしょう。内湾のアマモ場で見られるハゼであるので、英語でもGrassGobyと言うのだと思います。マハゼと同じように全長25cmに達する大型ハゼなので食用にするにも扱い易いのでしょう。





 それであれば、塩竈や松島湾岸の新名物としてハゼのリゾット、もしくはハゼ雑炊を創製してみたくなり、材料調達に出かけました。
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 一人前に3匹は必要でしょうね。レシピについてはキオッジャとも話し合い、日本の料理手法と融合させたものにしました。すなわち、ハゼは頭と胴に分け、頭はオーブンで焼き干しにしてスープ用に、胴は炙って身をむしって具材として使う作戦です。


 
 お披露目はイタリアミッションの報告会。カッフェ・トムテさんで作ります。
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 焼き干しのハゼの頭や昆布、乾椎茸でダシを取っています。




 いきなり完成ですが、報告会ではプレゼンテーションの対応もあり厨房に引きこもることができず、ひゃくさんの手を煩わせました。
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 日本の米で生米からリゾットを作るのは難しいので、水を2割弱減らして炊いた米を上のダシで煮詰めていき、塩とバター少々で調味しています。最後に焼いてほぐした身を乗せて出来上がり。具と混ぜながら食べ進みます。




 残念ながらイタリアでハゼのリゾットを食べることが出来なかったので、自己流で作っていますが、ダシに拘っていますので十分に行けます。
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 皆様にも好評であったのが何よりです。ハゼは身をむしるとボリュームがなくなるので、3枚に下ろした身を唐揚げにしてトッピングしても良かったかも知れません。米にはハゼの旨味が十分旨味が染み込んでいますので。




 似たような環境を持つベネチア湾松島湾。棲んでいる魚もそれを捕って食べる人間の食文化も似てきます。イタリアにははありませんが、北イタリアのポー川流域は米処です。しかし、ハゼのこのような組み合わせは宮城では生まれませんでした。今後、塩竈キオッジャの友好を深めて参りますが、シンボルであるハゼを使った料理対決なんかも面白そうです。ベネチア湾Goジュズコ釣りで釣って、船上で天丼にして食べさせたら、さぞ驚くことでしょうね。イタリア人は松島湾ハゼで何を作ってくれるでしょうか。今後の交流が楽しみです。



     
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2015/10/06(火) 05:00 | trackback(0) | comment(0)
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