JAN
FEB
MAR
APR
MAY
JUN
JUL
AUG
SEP
OCT
NOV
DEC
25
9 魚貝類料理満喫 @ Verona e Chioggia
カテゴリー: 未分類

前記事でイタリア人の一人当たりの年間水産物消費量が日本人の半分以下と書きましたが、これは平均的な話でシチリア州やベネト州のように漁業の盛んな地域では日本に近づくと思います。ただ、内陸の都市の伝統料理には海産物は少なく、乾物のタラであるバッカラのペーストくらいでした。同じ内陸の街でもVeronaベローナにはナイスな魚料理専門店があったりするのです。内陸といえどもベネト州だからでしょうか。今回はベネト州の3つのリストランテで体験した魚貝類料理をご紹介します。
まずはベネト州のベローナからですが、この街には北限のオリーブ調査で参りました(関連記事)。




実はベローナは内陸の街であるし、近くにイタリア最大のガルダ湖があるので、ホワイトフィッシュやカワマス等の淡水魚料理を試したいと以前から考えていたのですが、どうもそういうのを提供するのはガルダ湖畔のリストランテだけのようで、ホテルで聞いてもベローナ市街地では知らないというのです。
ガックリしているとシーフードならあるとのこと。なんだかなぁ。。。まるで長野や山梨に旅行に来て海鮮料理を頂くようですね。。。でも、港町キオッジャからも直線距離で100Kmほど。築地の魚を高崎や宇都宮に運ぶようなものでしょう。現代ならわけないことですね。
で、ご紹介頂いたリストランテ Al Capitan della Cittadellaです。(外観写真はお店のHPより)

チェックインしたHotel Mastinoからも歩いて5分位で公園に面したナイスなロケーション。店名は城砦の船長という意味でしょう。
店内は水槽こそありませんが、水族館のホールのような装飾。魚好きには堪らん空間。


縞シャツのシニョリーナが三人で接客してくれます。勝手に三姉妹ということにしてしまいました。しっかり者で落ち着いて優しさ溢れる長女、ツンとしてクールを装う次女、あどけなさが残っていて一生懸命の三女。なんてね。でも、家族全員で運営するお店がイタリアには普通なのでもしかしたらそうなのかも。(^^
最初に数種類のパンが木箱盛で出されます。

パンに付けるオリーブオイルも瓶で出てきました。
食前酒にカンパリソーダをお願いしたらないとのこと。

そこで、イタリアの薬草酒 Amaro(アマーロ)に似たのがあるのでそれをソーダで割ってもらいました。カンパリより複雑な風味でしたが、モリモリ食欲が湧いてきました。^^
こちらのリストランテでもアミューズが提供されました。いわゆる日本の突き出しですね。メニューにはありません。

クリームチーズやトマト煮込みの乗ったクロスティーニです。イタリアでもアミューズはすっかり定着したようですね。
魚貝類のアンティパストはみんなでシェアしながら頂きます。

それぞれの料理は一人前16~19ユーロ(2100~2500円)、決して安くはありません。数人でシェアしないと何種類も食べることはできません。
こちらはヨーロッパクモガニのほぐし身家盛りです。甲羅の大きさも大人の掌くらいあります。

メニューにはイタリア語でベネティア蟹と書いてありましたが、日本ではこれをヨーロッパクモガニと呼びます。その姿や大きさは水産会社の記事でご確認下さい。この料理はオリーブオイルを混ぜたくらいのシンプル味付けですが、甘みの強いカニなのでこれで十分でした。
イカの炒め物です。見えませんが、下にポレンタが敷いてあります。

イカ腑の入ったクリームソースが絶妙でした。ポレンタはトウモロコシの粉をお湯やスープで練った蕎麦がきのような食べ物。半流動体から切り分ける固体まで様々な硬さで作られます。
ボイルしたエビを赤い調味油で和えた冷製です。

エビの種類はわかりませんが、熱の通し方が実にちょうど好い。
プリモにはこのリストランテの看板メニュー、Zottoliと豆とバジルのリゾットです。中粒米が程よい弾力を歯に感じさせます。


Zottoliはちらほら見え隠れする小イカのようなのですが、種類がわかりません。ホタルイカというよりミミイカの仲間ように見えます。そこで、イタリア人の親友へメールを打つとすぐに返事が帰ってきました。
学名(Sepiola rondeletii)から判断すると日本にいるダンゴイカの仲間になるようです。(写真はhttp://folpifolopettieseppie.blogspot.it/より)


ですが、この種類だけではなく小型のイカ数種類がZottoliと呼ばれているとのことです。まとまった量が獲れず、あまり店頭に出回ることもないようです。このリゾットを日本のホタルイカで作ったらもっと美味しくなるだろうなぁと思いました。
プリモでもう一品。トマトとマグロのキタッラ(Spaghetti alla chitarra)です。

キタッラはスパゲッティの一種で断面が四角いうどんのようなロングパスタです。
キタッラはイタリア語でギターのことです。ギターの弦のように張ったワイヤーで製麺します。http://lacucinadilalla.com/


このパスタはイタリア中部のアドリア海側アブルッツォ州の郷土料理で普通ラグー系ソースと合わせます。
セコンドまでは到達できず、ギブアップを告げますと、ドルチェが出てきました。


ビスコッティのようにも見えますが、私は食べなかったので硬さが確認できませんでした。最後はもちろんエスプレッソ。ここで、カプチーノやカフェラッテを頼むと陰で笑われます。ミルク系は朝の飲み物、夜飲んでいるのは外国人だけです。^^
さて、今度はキオッジャです。まさに港町であり、魚市場もある水産都市ですから魚料理は大いに期待できます。

小さなベネティアとも言われるように市街地には2本の水路が走り、船が航行します。
最初のリストランテはホテル・グランデ・イタリアです。(ホテルのHPより)

こじんまりとしたホテルで、レストランは1階になります。こちらで文化交流会前の軽いディナーとのことです。
この日は正式なコースではなく略式だそうです。小エビのフリトにポレンタです。


ベネト州名物のポレンタは必ずと言ってもよいほど出てきます。フリトのエビはスジエビというより、ヌマエビを大きくしたような形です。
イタヤガイの仲間のグリルです。間引き養殖ホタテぐらいの大きさです。ウロを丁寧に外していますね。

生殖腺に色分け(雌雄同体)が見られるのでホタテガイより日本のイタヤガイに近い種類でしょう。殻を持ち帰りませんでしたが、多分、最も生産量の多いPecten maximusだと思います。
これは豪快です。魚3種のグリル盛り合わせです。これで1人前ですからたまげます。プリモに相当するパスタやリゾットは省略した形になりました。

手前からヨーロッパウナギ、オラータ(ヨーロッパヘダイ)、シタビラメでした。塩を振って焼いてあり、バジルのソースもかけてあるのですが、正直、ウナギは山葵と醤油で、ヘダイは大根おろしと醤油で食べたかったです。シタビラメは宮城でもよく獲れるアカシタビラメとあまり変わりありません。ウナギの脂の乗りも素晴らしく、蒲焼きにしても絶品だったでしょう。
インサラータが最後に出る珍しい形。それにしても量が多い。


ドルチェはここでもティラミス。イタリア人好みなのでしょうか。
キオッジャの二日目は、リゾートエリアであるSottomarinaソットマリーナのリストランテGARIBALDIです。

親子2代でやっている家庭的なリストランテです。
昨晩の文化交流会、本日午前中の貝類養殖セミナーも無事終了し、心置きなく乾杯です。サルーテ!!

昼食会ですが、この後はミラノへ戻るだけですので程よく酔いに浸りたいですね。^^
いきなりドルチェかと思ったら、例のBaccala mantecato alla Venezianaでした。

北欧で獲れるタラを塩乾したものをバッカラと言いますが、それを脱塩してからオリーブオイルとよくすり合わせたペーストです。本場のバッカラは実にクリーミー。
揚げた魚4種類のマリネなんですが、衣もやや厚くご飯に乗せれば天丼になりそうです。

当然、酸味が口に広がると思いきや拍子抜けするほど穏やかな味。ほとんど酸味を感じません。
パスタは港町らしくペスカトーレでした。

ムールやボンゴレ、エビも入っていましたね。
こちらはTagliatelle al Nero di Seppia、イカ墨のタリアテッレ。Zottoliのような小イカではなくスルメイカのような肉片や腕が見えます。

厨房を覗いた時に数袋に分けて冷凍された真っ黒いソースが見えました。ですが、仕上がりの色が薄いのでコウイカ類ではなくツツイカ類で作ったのではないでしょうか。イカ腑も入ったコクのある味わいではあります。タリアテッレも乱れ打ちで自家製かも知れません。
これは珍しい甘草のジェラートです。

甘草は日本でも生薬として知られるマメ科の植物です。根に甘味成分であるグリチルチンなどを含みローカロリーな甘味として欧米では人気があります。
さて、ベネト州の3つのリストランテで魚貝類の料理を楽しみましたが、どれも完全なフルコースではありませんでした。それでもお気付きのようにどれもボリュームがあり、カロリーも高そうでした。我々日本人にはシェアしてちょうど良いくらいなのです。もちろんイタリア人も毎日フルコースで食べているわけはないでしょうけど、オリーブオイルは相当に摂取しているはずです。
ところが、街中を歩いていますと、水卜アナくらいの少しポッチャリはいても、アメリカによくいる歩くより転がした方が速そうな極度の肥満体は見当たりません。もちろん民族間の遺伝的な体質の違いもあるのでしょうけど、イタリアの食べ物の質と食事の摂り方に大きな差があるように思えます。
イタリア人はなるべく鮮度の違いが判る原料に近い料理を食べたがります。それにスローフードの国だけにジャンキーなファストフードはそれほど食べません(若い世代は食べるようになったらしい)。さらに、ヘルシー志向の高まりが質の良い食材を求めるようになっています。
イタリア人の食生活ですが、サラリーマンの場合、朝食は自宅かバールでカプチーノとブリオッシュなどの菓子パンだけで済ませる人が多いのです。朝から甘い物なんて思われるかも知れませんが、他に何も食べないので脳の活性剤としては期待できます。なかにはプチーノやカフェラッテだけの人もいるそうですし、最近はヨーグルトやフルーツなんて人もいるとか。いずれにしろ、軽いのです。
ランチを自宅に帰って食べるというのは専業主婦が多かった時代のこと。イタリア人の親友も単身赴任なのでランチは外食ですが、パスタや肉のほか結構、意識して野菜を多く食べていました。日本のように牛丼やラーメンだけということはなく、インサラータやコントルノで野菜を取ります。
ディナーが遅いのが健康的なのか不明ですが、大体20時以降に食べているのではないでしょうか。このことが翌朝の食事の軽さに繋がっているのかも知れません。ディナーも家庭の場合、簡単なアンティパスト、パスタ、ワインということもあります。友人との夕飯でピッツアとワインだけだったこともありました。概して夜は昼より軽かったように思えます。
ただ、前にも触れましたが、イタリアでも若い世代は水産物をあまり好まず、ファストフードへの傾倒が始まっているようです。アメリカ型の食事が弊害をもたらすことは沖縄県の寿命の低下を見れば明らかです。イタリアでも次の世代は肥満が多くなるのかも知れません。魚貝類を食べるということは単にカロリーを抑えるだけではないのは今さら言うまでもないですね。ヘルシー志向が高まる半面、水産物消費が減るという矛盾に早く気が付いて欲しいです。
Al Capitan della Cittadella http://www.alcapitan.it/
Piazza Cittadella, 7/A, 37122 Verona,Veneto,Italy
+39 (0)45 595157
19:00-23:00
Hotel Grand Italia http://www.hotelgrandeitalia.com
Rione S. Andrea 597 Piazzetta Vigo, 30015 Chioggia, Veneto, Italy
+39 (0)41 400 515
RISTRANTE GARIBALDI
Via San Marco 1924, 30019 Sottomarina, Chioggia,Veneto, Italy
+39 (0)41 5540042
2015/09/25(金) 05:00 | trackback(0) |
comment(4)
コメントの投稿