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7 北限のオリーブを訪ねる @ Verona
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今回のミッションメンバーの中に宮城県で本格的なオリーブ栽培を始めようとしている方がおります。おそらく、宮城県は日本におけるオリーブ栽培の北限になるはずです。オリーブは-5℃位までは耐えられますが、湿気が伴うと持たないそうです。その点からすれば、降雪の少ない本県の仙南部は比較的適しています。
イタリアではオリーブはほぼ全域で栽培されていますが、ミラノとベネティアのほぼ中間にガルダ湖というイタリアで一番大きな湖があり、その周辺がイタリアにおけるオリーブ栽培の北限であることがわかりました。

北限同士、しかも目的地間の移動途中に寄ることができるなど、なにか運命的なものを感じてしまいます。北限のオリーブは成長こそ遅いものの虫害も少なく、香りも穏やかな高品質のオイルが生産できるそうなのです。
イタリア人の親友にガルダ湖に隣接するVeronaベローナ地区のオリーブ農家でも最高級オリーブオイルを生産するSalvagnoさんと主に苗木の生産販売をしているBeniniさんを紹介してもらいました。
ミラノ中央駅 Milano Centraleから国際列車ユーロスターに乗ってベローナに向かいます。



ミラノ中央駅はまるで宮殿か大聖堂のようです。建築様式は建築年代がアール・ヌーヴォーからアールデコへと移り変わった頃なので二つの様式が混在するそうです。ユーロスターは見かけは好いのですが、速度や車内の居住性、サービス、どれを取っても日本の新幹線の方が優れていますね。決して自国贔屓ではなく。。。
左下の写真に M が見えますが、アメリカのジャンクフードショップではありません。Metropolitana (地下鉄)の M でした。最初、街の至る所で見かけるのでずいぶん蔓延ったなと勘違いしてしまいました。^^
80分ほどでベローナに着きました。どんな街かと思ったら。。。まるで小ローマ。



古代ローマ時代のコロシアムや凱旋門などが残り、ゴミ一つない綺麗な街並みが続きます。知らなかったのですが、ロミオとジュリエットはこの地の実話に基づいているそうです。
最初に訪れたオリーブ農園は街の中心部からタクシーで20分ほどの所にあるSalvagnoオリーブ園。1923年の創業です。


これまた、奇麗に整備された農園です。オリーヴァと名付けられたラブちゃんのお出迎えを受けました。この子は大変人懐っこく、小石をくわえてきては足下に落とし、「偉いでしょ。」とドヤ顔で擦り寄ってきます。因みにオリーヴァって、オリーブのイタリア語です。
最初にオリーブオイル工場の見学です。こちらの搾油ラインは古い物ですが今でも使っているそうです。


完熟の手前の実を左の石臼で種ごと擂潰して、ペースト状になった物を丸い座布団のようなフィルターに挟んで圧搾します。絞り滓は乾燥させ燃料として利用するそうです。オイル製造は11月から1ヶ月半くらい毎日続きます。この時期(夏)は製造していないので、最初にビデオで収穫から製造までの一連の工程を見せて頂きました。
これは電動化される前後の搾油機を比較した写真です。


原理は同じですが、右は木ねじの穴の空いた部分に棒を挿して家畜の力でプレスしたとのこと。
一方こちらは最新式の製油ラインです。600Kgのオリーブを15分で処理するそうです。



発熱しにくい石臼を使うのは同じですが、抽出には遠心分離機を使い、最後の水分の除去も遠心分離なのでオイルが酸化することなく生産できるとのこと。しかもオペレーターはたった二人でよいそうです。
生産したオイルはこちらのタンクに貯蔵します。

案内してくれました従業員の方が、「こちらは我が社の銀行(金庫)です。」と仰いました。なるほどねぇ。とは言ってもオリーブオイルは抽出後8ヶ月で劣化が始まります。長く寝かせて良いものではないそうです。ベローナには「オーリオは新しく、ヴィーノは古く」の諺があるそうです。
続いて、瓶詰めマシンです。じぇじぇ、ラベルに日本語が。。。@@



実はこちらSalvagnoさんのオイルは神戸のサンヨー・エンタープライズさんが輸入しているのです。なにせ、高品質有機栽培のオリーブオイルなので一流のシェフの御用達とか。宣伝文をお借りしますと、、、
「イタリアのフードショウCIBUSで開かれる、オリーブオイルの国際コンクールで優勝の実績を持つこちらのオイル。有機栽培オリーブの実から搾られる、大変まろやかで芳醇な香りのEXバージン オリーブオイルです。どんな料理にも合うとても使いやすいタイプ。ベローナで有名なレストラン イル・デスコ、ボッテガ・デルヴィーノ等でも愛用されています。ミラノの有名なデリカテッセンPECK(ペック)でも販売されています。」
それでは最高のオリーブオイルの試飲です。佳いオイルは飲めるのです。パンに付けても試してみます。ワインが欲しい。


試飲の作法を教えて頂きました。まず、オイルの入ったグラスを手で温め、香りを確認します。続いて、口全体に回し、シーっと息を吸い込んで香りを鼻腔に送ります。真似してみますと、最初、ナッツの香ばしい香りと草の匂いが広がり、飲み込んだ後には喉にピリッと辛味を感じました。オリーブのペーストもパンに最高。ワインがないのは拷問です。^^
オリーブオイルの生産は、量ではスペインですが、質ではイタリアとのこと。イタリア国内では南に行くほど香りや味が濃くなるが、北方では上品で円やかになるそうです。
続いて、タクシーで40分くらい山道をぶっ飛ばして(本当に飛ばした...コワ)、種苗生産・販売のBeniniさんを伺います。


こちらでは主に寒冷地におけるオリーブの栽培方法などについて、お話しを伺いました。
二つの農園で薦められた寒冷地に適したオリーブの品種は数種類ありましたが、共通するのはこれら二種。グリニャーノ種とフラントイオ種です。

これらの他にもこの周辺のオリーブオイルに関するDOC(統制原産地呼称)に定められる品種はカザリーヴァ種、ファヴァロル種、ラザーラ種、レッチーノ種があります。ただ、これらは日本でも入手できるのでしょうか。「オリーブ 苗木 (品種名)」で検索しますと、フラントイオは日本でも販売されていましたが、グリニャーノは見つけられませんでした。
さて、日本の北限のオリーブはどの品種でスタートするのでしょうか。一応、イタリアの北限のオリーブ農園ともコンタクトは付きましたので、あとはメールなどで交信を続けて頂きたいものです。技術指導だけではなく、北限同士の繋がりを今後も大切にして行きましょう。私も片隅に1本植えさせて頂き、収穫の一部を塩漬けにしてみたいですね。それをつまみにオリーブの木の下でゆっくりとワインを楽しみたいものです。^^
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2015/09/18(金) 05:00 | trackback(0) |
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