心に染みる山里の味 山椒漬け
カテゴリー: 料理:水産加工品
今年も木の芽の時期がやってきました。木の芽とは料理用語では山椒の若葉のことです。この香りを生かした会津の郷土料理に山椒漬けがあります。これを漬け込むのが毎年恒例なので今まで何回ご紹介したことでしょうか。
材料は山盛りの木の芽と身欠き鰊です。
調味料は醤油、味醂、醸造酢だけです。後から鷹の爪も登場します。^^
さて、問題の身欠き鰊ですが、本来はがっつり乾燥させた硬いものなのですが、近年はこのソフトタイプが主流になりつつあります。
スーパーを何件か探し回ったのですが、ハードタイプは見つかりませんでした。たしかにハードタイプは米の研ぎ汁に一晩漬け込むなどの手間が掛かるのですが、噛み締めると旨味が出る老鶏のような味わいが魅力なのです。若干不安ですが、今年はこのソフトタイプで作ってみます。
身欠き鰊は尾柄とカマの部分を切り落とします。
そのまま漬け込んでも良いのですが、容器に入らないもので。^^
容器に木の芽、鰊、木の芽と積み込んでいきます。
鷹の爪の輪切りもパラパラと加えます。
積み込みましたら、漬け込み液を注ぎます。
割合は醤油:味醂:醸造酢が2:1:2です。表面にも漬け込み液が回るようにラップを被せます。
1週間後、試食してみました。
じぇじぇじぇ! 生っぽい。やはり、ソフトタイプは水分と脂が多く、漬け込み液の染み込みが悪いようです。身も締まらないので、醸造酢をカップ半分位加えて、さらに二日ほど寝かせます。
なんとか身も締まって完成しました。
柔らかいので食べやすいのですが、噛み締める喜びにはやや欠けます。
山椒漬けを焼いてみますと、佳い感じになります。
味醂も入っていますので、照りも出て立派な焼き物になります。
ふっくらと柔らかで脂も多く秀逸な焼き物になりました。
脂が酸味と拮抗して上品な味わいになっています。焼き物はソフトタイプの身欠き鰊に軍配が上がりますね。
身欠き鰊は本来、産卵期に接岸したニシンで作られるもので脂も落ちていますので酸化もしにくいのです。常温でも輸送できるようにカンカンに干してあります。ですから、古くから内陸部や山間部へと運ぶことが出来たのです。今回のソフトタイプの身欠き鰊は冷凍保存されており、一夜干しのような出来具合でした。乾物には乾物なりの味わいがあり、手間を掛けて戻して調味することで深い味わいが生まれます。
昨今は便利さを追求することで失っていくものが目に付くようになっています。でも、そうでもしないと絶滅してしまう郷土料理も多いのかも知れません。それでも、本物は本物として細々ながら伝えていくことが重要と考えます。
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