これはなんでしょう。まるで粗挽きの塩胡椒に見えますよね。実は初めて取り寄せてみた挽きぐるみの粗挽き蕎麦粉なんです。挽きぐるみとは蕎麦の実の外殻(鬼殻:枕に入れる蕎麦殻です)ごと石臼で挽くことを言います。
通常の蕎麦粉は脱殻した丸抜きと呼ばれる状態から挽いていきます。もちろん挽いたままでは大きな破片も混在しますので、フルイで篩うわけですが、その時のメッシュを粗めした粉を粗挽きと呼んでます。通常の蕎麦粉は60メッシュより細かい篩で篩います。メッシュ番号は1インチ(25.4mm)間にある網目の数で、番号が大きくなるにつれて網目が細かくなります。
この粗挽き粉は20メッシュ(網目0.85mm)で篩って、さらに60メッシュ(0.25mm)を通して細かい粉を除いたそうです。従って、グラニュー糖の様にサラサラしています。通常、この粉だけで蕎麦を打つことはなく、舌触りや噛み心地に変化を付けるために混ぜ込みます。目的は違いますが、コンクリートと骨材みたいな感じかな。^^
日頃よく使っている常陸秋そばの60メッシュと比較してみます。
色や粒子は全く異なります。右はしっとりとした湿り気を感じるのに、粗挽き粉はまるで砂のようにサラサラです。
粗挽き粉を蕎麦粉全体の30%、つなぎを20%の二八にします。
こんなに混ぜ込んで大丈夫だろうか。。。
試しに60メッシュでふるってみましたら、こんなに粒が残ります。
外殻の細粒がこんなに入っていたら、カチカチ歯に当たるのではないだろうかと不安になります。でも、これも加えて実験です。
とりあえず水回しとこねを経てまとめてみました。生地もホシだらけで大理石のようです。
いつもより妙に硬くて重い。加水率50%にしましたが、粗挽き粉に水分を取られている感じです。加水率をもっと高めないといけなかったのだろうか。
心配が的中しました。水分不足により伸ばした生地の周辺がひび割れになりました。
もたもたしていると蕎麦が短く切れてしまいます。大至急、たたんで切りましょう。
田舎蕎麦の太さに切ってみましたが、刃にホシがカチカチ当たってまたまた不安に。。。
はたして食べられるのだろうか。30%は多過ぎたかも。
とりあえず60秒で茹でてみました。
見た目は普通の田舎蕎麦になってます。特に茹でる過程でちぎれたりはしなかったようです。粗挽き粉が含まれることで麺体の表面が少しザラつき、透明感も出ています。
早速、試食。。。
心配したホシのカチカチはありませんでした。外殻も茹でられると柔らかくなるのでしょうか。喉越しで食べる江戸風細打ち蕎麦と違って、顎が疲れるまでよく噛んで食べます。そのため、蕎麦の香りも口中、鼻腔に長く漂います。
粗挽き粉の配合率は心配していたほどではなく、美味しく食べられました。山形県の次年子の蕎麦みたいな食感です。ただ、加水率は53%位にしておいた方が扱いやすそうです。江戸前の色白細打ちからこのような色黒田舎まで、蕎麦の世界は幅広いですね。ますますのめり込んでいきそうです。^^
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