山形の肉そばが食べたくなって
カテゴリー: 料理:麺類
このところ、色白の細打ち蕎麦を目指して練習してきましたが、その対極にある田舎蕎麦を打ってみたくなりました。田舎蕎麦と言えば、山形の板そばが有名なんですが、私は肉そば、すなわち冷たい鶏そばが大好きです。発祥地とされる山形県河北町でも老舗を回ってその真髄に迫ろうとしました(肉そば発祥の地をたずねて:関連記事)。その結果、いくつかの法則性も発見できました。
それはさて置き、製粉会社から田舎蕎麦粉が届きましたので、早速打ってみましょう。
蕎麦打ちの前に蕎麦と共に大切な具材とつゆを調製します。
具となる煮鶏ですが、本場では噛み締めるほどに味が湧き出る老鶏を使っていますが、残念ながら手に入りません。そこで、通常の鶏もも肉を自家製蕎麦つゆで煮込み、味の染みた肉をキッチンペーパーで包んでから軽く重石をして冷蔵庫で一晩寝かせておきました。こうすると、肉が締まり、なんとなく本場と似てきます。煮汁は蕎麦つゆとだし汁に合わせて冷やしておきます。
さて、蕎麦粉ですが、左が田舎蕎麦粉。いつもの常陸秋そばの二番粉と比べるとココアのように見えますね。
この田舎蕎麦粉、玄そばを殻ごと挽いた挽きぐるみでその破片が黒い微細粒となって混ざっています。ソバの実は外皮に近い部分ほど色は濃くなりますが、風味は強くなります。
では、田舎蕎麦を打っていきますが、先週、打った常陸秋そばと比較してみましょう。
練った生地の色は粉の時と同じく差が歴然ですが、ホシがさらに目立ってきます。こねる時の香りも強く感じます。
切りは田舎蕎麦なのでいつもより太めしています。切る時にホシが刃にカチカチと当たります。
噛み締めて食べる蕎麦であり、喉越しを楽しむ江戸風細打ちとは異なります。
茹で上がった蕎麦もまるで別物。とても同じ蕎麦とは思えません。
そうなんですよ。蕎麦はイタリアのパスタくらいに多様性があるのです。粉の配合や打ち方を変えれば、無限の広がりがあります。ですから、どちらが美味いとか論じること自体が無益なんですね。私は色白な江戸風細打ちもごつい田舎もどちらも大好きなのです。喉で食べる蕎麦も佳し、顎で食べる蕎麦も好しと言ったところでしょうか。^^
さて、冷たいつゆを張って、煮鶏と長葱、異例ですがさっと湯がいた芹も乗せてみました。
これの薬味は一味唐辛子が定番ですが、七味の香りで試しています。煮鶏もよく締まって本場に近くなってます。もっと脱水した方がそれらしくなるかも知れません。
う~ん、やはり山形の肉そばはいいなぁ。酒が欲しくなります。^^
よく噛み締めると蕎麦の香りが鼻腔に広がります。顎は疲れますが、色白細打ちではここまでの風味を楽しめません。
風邪気味の妻には温かい肉そば。田舎蕎麦はそう簡単には伸びないので慌てて作る必要はありません。
冷たい肉そば同様、一旦冷水で締めた蕎麦を再度湯掻いてから温めたつゆに放します。冷たい肉そばとは別物になりますが、これはこれで美味しく、伸びにくいので食べる方も落ち着いて頂けます。^^
初めて挽きぐるみの田舎蕎麦を打ってみましたが、切りの時のカチカチ感に最初、ビックリしました。茹で時間もよくわからないまま1分ちょいで引き揚げてみましたが、ドンピシャでした。太さも太さなのでかなり融通が利く感じです。江戸前の蕎麦と違って、田舎蕎麦は農家に伝わる郷土料理でもあるわけですから蕎麦打ちにも高度な技術は必要がないようです。このごつい田舎蕎麦には鶏のダシがガッツリ利いた山形肉そばは最高の組合せと言うことが出来ますね。
今回、温かい肉そばも試してみましたが、やはり肉そばの醍醐味は冷ですね。そばのコシが食べ終わるまでしっかり維持されます。これでコップ酒もヨサゲです。(^o^)
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