これは皆様ご存知の米麹です。出来立てのほやほやでまだ暖かいのです。常備の塩麹が少なくなってきたのと、ちょっと挑戦をしてみたくなって、塩竈の三本木屋麹店さんで一袋(850g)を買って来ました。こちらお店では食用米を使って製造販売しております。さて、新作の挑戦に至った理由は次のとおりです。
過日、北仙台のしんさんでホヤの醤油麹漬けというものを頂きました(関連記事)。その美味しさも然る事ながら、醤油麹という言葉に惹かれました。塩麹の大ブームが峠を越えたこの頃、醤油麹は新鮮に耳に響きました。ただ、待てよ。醤油麹って、醤油を絞る前の醪(もろみ)のこと?それとも絞った後の醤油の実のことでしょうか?
しんさんによりますと美里町の鎌田醤油(株)から取り寄せるとのことでした。この会社の公式HPや通販サイトにはそのような製品は載せていないので特別に入手されているのでしょう。鎌田さんは遠い親戚ですが、日頃のお付き合いがないので自分作ってみることにしました。でも、醤油造りから始めるのではなく、塩麹に対しての醤油麹となります。
塩麹の場合も同じですが、菌糸で固まった蒸米を掌で摺り合わせて解していきます。
さらにほぐし続けると、少ししっとりしてかろうじてボールが握れるようになります。ここまで摺り合わせれば終了です。
今回は初めての醤油麹作りでもあり、850gの米麹全部を使う勇気はないので500gで常備の塩麹、残りの350gで醤油麹を作ることにします。
それぞれの容量が楽に収容できる容器を用意して計り分けます。
まずは定番の塩麹作り。
私は塩麹100gに対して35gの天然塩と100mlの浄化水を混合します。
一方、醤油麹ですが、醤油の塩分濃度がせいぜい15%なので、塩麹と同等の濃度にするには半分以下に煮詰める必要があります。
でも、しんさんの醤油麹漬けはビリビリに塩っぱいわけでもなく、醤油メーカーからの入手であれば、醪や醤油と同じ塩分15%だろうと推測し、米麹100gに対して丸大豆醤油100mlを混合させることとしました。塩分濃度が塩麹の半分ですから保存性もその半分と心する必要はありそうです。
塩麹作りの場合、最初から冷蔵庫に保存しますと初期発酵が進みません。そこで、ある程度温度を上げて毎日攪拌して麹菌を増やしてから冷蔵保存に移さなければなりません。塩麹の作り方に関する様々なサイトを眺めますとこの辺のところが、いい加減で室温でとか常温でとの記載が目立ちます。例えば日中、人いない南東北の家屋では、エアコンでも点け放しにない限り、真夏には30℃以上、極寒期には冷蔵庫(4℃)より冷え込みます。
専門的なサイトで確認しますと、発酵初期の適正培養温度は25~30℃とされています。従って真冬の暖房のない室内や冷蔵庫では発酵が大幅に遅延されますし、真夏の室内ではともすると麹菌以外の菌まで増殖させる温度に達する危険性もあります。ちょうど連日最高気温が30℃を超える頃の挑戦であり、単身赴任先でも面倒を見ないといけませんので、留守にする出勤中は釣り用のアイスボックスに収納し、小さな保冷剤を入れて30℃以内になるようにしました。
これが1日経過した塩麹と醤油麹。
塩麹にはあまり変化が見られませんが、醤油麹は水分が蒸米に吸われているように見えます。たぶん異なる塩分濃度による浸透圧の差が現れたのではないでしょう。
そして、一日一回、熱湯で滅菌した箸で掻き混ぜて一週間。
この間、外気温が32~24度にも達する日もあり、狭い寮の小部屋ではそれ以上になったはずですが、アイスボックスと保冷剤のお陰で30℃以上にはならないで済みました。両者ともこの段階ではまだ蒸米が固くて食べ難いのですが、冷蔵保存をしていくうちに水分を吸って柔らかくなるでしょう。
定番の塩麹もこれくらい作れば、単身赴任で介護別居の多い我が家では半年は使えます。
肉や魚の漬物、炒め物の調味、様々な料理の隠し味として重宝します。
驚いたのがこちら。米麹の醤油漬けである醤油麹。
すでに抜群の旨味を醸し出しています。醸しもの同士の組み合わせですから当然ですが、塩分濃度も15%なので、キュウリや豆腐などに乗せて食べるに最適です。
本格的な熟成前ですがちょっとお味見。なんかオウムの顔見えるな。^^
冷蔵庫にあった茹で卵に乗せただけですが、ちょっとした卵料理の味わいになってます。半熟卵を漬け込んだらどんだけ美味いのでしょうか。。。
北仙台のしんさんのお店で気に止まった醤油麹。しんさんのように醪(もろみ)とは異なりますが、醪のエキスである醤油と米麹を合わせることで発酵食品同士の素晴らしいコラボに巡り逢うことができました。これを使った新しい料理開発にも意欲が湧きます。ただ、これは醤油が命なので、アメリカから輸入した脱脂大豆粕で造られた醤油ではなく、国産丸大豆を使用した醤油を使って下さいね。真っ当に作った日本の調味料は実に素晴らしいものです。
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