前記事に引き続いて夕顔を料理します。今回は夕顔の実から干瓢を作ってみたいと思います。ご承知のように干瓢はこの夕顔の実をろくろを使って細長く削り干し上げたものです。そのような道具がないのですが、なんとか工夫してみます。
ピーラーで皮を剥き、中の種やワタを取り除くところまでは前記事の餡掛けと同じ。
ろくろなしで包丁で削り出す時に、輪切りにして桂剥きにする方法があるそうですが、今回はもっと簡便な方法を取ります。
つまり、裁ち蕎麦のように包丁を立てながら縦方向に切っていきます。
厚さ3mm位になるように努力していますが、多少のブレは仕方がないですね。
これを炎天下で干し上げます。
この日は午後から曇になってしまい、1日では乾燥しませんでした。
翌日の夕方にやっと干し上がりました。
真っ直ぐな帯のようには行きませんが、市販の干瓢にかなり近いものが出来ました。
後日、自家製干瓢を料理してみました。
苦労して乾燥させた干瓢を水で戻す時、ちょっと虚しさを感じました。^^ でも、乾物は戻しても生の状態にはなりません。生にはない美味しさが宿っているのです。
戻した干瓢を茹でて行きます。市販の干瓢よりかなり硬めです。
柔らかすぎても美味しくないので、張り付いて硬さを確認します。
ちょうど良い柔らかさになりましたら、引き揚げて冷まし、梅酢ベースの甘酢に漬け込みました。
そうです。干瓢の酢の物を作っています。
一方こちらは定番の甘辛炊き。ダシと味醂と日本酒と醤油で炊いています。
干瓢と言いますとほとんどの方はこの料理を思い浮かべるはずですね。砂糖は使わず、引き際の良い甘さに仕上げます。
こちらも柔らかすぎない方が美味しいので頃合を見て引き上げます。
佳い色に炊き上がりました。食べてみましたが、市販の干瓢より遥かに美味しい。
これで干瓢巻きを作ってみます。
山葵も巻き込んだ鉄砲巻きです。ただの干瓢巻きはあまり好みではないのですが、この鉄砲巻きは酒の肴にもなります。
干瓢の甘味と食感、山葵の刺激が渾然一体となって口福感に浸っています。
山葵だけを巻き込んだ涙巻きも捨てがたいのですが、甘い干瓢が入ることで味わいの交響曲が展開します。^^
先ほどの酢の物と甘辛炊きをアテに晩酌です。
両方とも干瓢から作っていますが、全く別物です。
市販の干瓢よりいくぶん厚みがありますので、噛み応えが楽しめます。
梅の香りで夏向きの酢の物になりました。日本酒にも焼酎にも合いますね。
ただの干瓢の甘辛炊きも山葵を添えることで立派な肴になります。
甘さと山葵の辛味が絶妙です。こんな料理、日本にしかないだろうな。
頂いた夕顔の実で冬瓜風の餡掛けと干瓢料理を二つの記事でお送りしました。まさか、干瓢を自分で作るとは思ってもいなかっただけに喜びも一塩です。江戸時代から伝承される農産加工品は手作りの延長線上にありますので、マシンがなくてもそれなりには近付けます。味噌やお酢だってかつては各家庭で作られていたもの、時間さえあれば自分で作ってみたいものですね。昨今のファストフードやコンビニ弁当、どうしても利用しなければならない事態もありますが、その分の穴埋めを得体の知れた食品や料理でしたいものです。
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