サメ節の活用@気仙沼
カテゴリー: 紹介:加工食品・調味料
気仙沼で働いていますと珍しい食品に遭遇します。その一つがこれ、サメ節です。サメで作った鰹節?、、、いえいえ、サメ節は鮫節です。販売されている横田屋本店の社長さんから試しに使ってみてと提供されました。一般用としては販売していないようで、青森のラーメン店などに出しているそうです。青森のラーメンと言えば濃厚な魚ダシですが、サメ節は鰹節のかさ増しと言いますか、補充用なんだそうです。
一般用ではないので袋の両面には食品表示が貼ってあるだけです。
原材料が鮫としか書いてありませんが、たしかヨシキリザメだったはず。
独特の匂いがするとのことでしたが、全然気になりません。
鰹節よりふんわり柔らかく、味もマイルド。鰹節の代用ではなく、サメ節として活用できないものでしょうか。ただ、少し味が薄いので、他のダシとのコラボが必要でしょう。和の根源、一番ダシも鰹節と昆布の組合せですからね。
そこで、サメ節のダシに鰹節、昆布、チキンスープを組み合わせて様子を見てみます。
鶏ダシはガラで取って組み合わせたいところですが、当たり付けなので顆粒の素で代用です。
一番ダシは通常、10カップ(2リットル)に対し、鰹節50gと昆布20g。サメ節との合わせダシを各1カップ作るとして、それぞれの重量を計算しました。
顆粒の素だけは所定の分量で半カップ作ります。昆布ダシだけは半日程前に半カップの水に浸けてから加熱しています。
出来上がった4種のダシ。左上から時計回りでサメ節100%、サメ節+鰹節、サメ節+チキンスープ、サメ節+昆布となります。
サメ節100%は確かに物足りない。嫌味はありませんが、これだけでは吸物にもなりません。
サメ節+鰹節は鰹節のダシが薄まった感じでこれも何か物足りない。やはり吸物にもなりません。
サメ節+チキンスープ、こりゃ最悪です。半量しか使っていないのにケミカルなチキン味が全体を支配します。
サメ節+昆布、これは素晴らしい。十分吸物になります。日本人はグルタミン酸に弱いんだなぁ。
ということで、サメ節+昆布により、鰹節なしでも十分飲めることがわかりました。鶏ダシもまじめに取っていれば、相性が良かったのかも知れません。たぶん、その場合でも昆布の力は借りねばならないでしょう。
次に実験に使ったダシ殻で二番ダシを取ります。分量的にはサメ節:鰹節:昆布は12.5:2.5:1 (乾重量)となります。
水も2カップ程しか使わないので、追いサメ節はしませんでした。サメ節が主体の二番ダシですが、綺麗な黄金色になりました。
暑い日だったので、このダシで麺つゆを作り、素麺を頂いてみます。
ダシに醤油と煮切った味醂、日本酒を加え、味を調えます。
始めに薬味を使わずに素麺をすすりダシを味わいます。
ほとんどサメ節だけのダシですが、二番ダシだと十分旨味は感じます。昆布を通常の分量で組み合わせればもっと美味しくなるでしょう。
サメ節は鰹節ほど濃いダシは出ませんが、その分を分量で補えば良いと思います。煮物用の二番ダシであったら、サメ節と昆布だけでもいけるでしょう。サメの街気仙沼ではもっとこれを利用して、飲食店では「サメ節使用」を売りにしたらどうでしょう。いまだ気仙沼ではサメは鰭と心臓だけが珍重され、肉は食べるものではないと頑なに拒む高齢者が多くいますが、若い世代や観光客はそのような偏見もないでしょうから、是非、広めて行きたいですね。
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