シンポジウム「宮城の牡蠣養殖の今後を考える」
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6月12日、JR仙石線本塩釜駅そばのホテルグランドパレス塩釜で「宮城の牡蠣養殖の今後を考える」ためのシンポジウムが開催されました。宮城県産の牡蠣は生食用のむき身主体で長年生産されてきましたが、大震災以前から生産量は下降線を辿っていました。この原因を探り、新たな展開を図るべく、牡蠣に関する生産者、流通業者、飲食店経営者、行政担当者、牡蠣研究者が一堂に会し、知恵を絞りました。
参加者は130名くらい。最初、牡蠣に関する5題の講演のあと、生産者代表も加えてのパネルディスカッションが繰り広げられます。
以下のような課題と対応が見えてきました。
① 宮城の牡蠣は莫大な費用と労力をかけて衛生検査を行なって、安全安心は確保されているにも関わらず、それが消費者に伝わっていない。
② 都会ではオイスターバーや牡蠣小屋が着実に増えてきている。これらに対応した牡蠣も生産していく必要がある。
③ 生産者には消費者や飲食店のニーズが伝わっていない。流通業者も含めた牡蠣に関する今後を考える勉強会を定期的に実施していくべきだ。
会場の後方には、現在、農林水産省の予算を導入して県内で技術開発がされている新しい牡蠣の展示もありました。宮城発天然シングルシード未産卵オイスターあまころ牡蠣。。。
聞きなれない名前ですが、通常の牡蠣は生まれて満1歳の夏に成熟して産卵し、その後、身入りが回復してから秋以降に出荷されます。中にはもう1年経過してから水揚げされることもあります。未産卵ガキは産卵前までに出荷するもので、渋味や雑味も少なく優しい甘さが特徴です。さらにオイスターバーでも通用するように、天然で採苗した稚貝を1cmになる前に剥離して、カゴの中で育てることで形の良い殻にするのです。
さて、長時間に及んだシンポジウムのあとは宮城県産の牡蠣料理に舌鼓を打って頂きます。
あまころ牡蠣という名称ですが、三陸沿岸では一粒牡蠣をころ牡蠣と呼ぶところから、未産卵牡蠣の特徴である甘さと掛け合わせた造語です。1歳未満なので小粒ですが、癖のない優しい甘味は女性や生牡蠣初心者に受けるでしょう。オイスターバーにも華を添える牡蠣になってくれるはずです。
あまころ牡蠣のブースの隣には株式会社佐浦さんの浦霞3種の試飲コーナーです。
3月に開催されました牡蠣に合う日本酒を楽しむ会において、生牡蠣と蒸し牡蠣で浦霞5種のマッチングを調べましたが、生牡蠣には特別純米酒生一本浦霞と純米吟醸浦霞禅が顕著にマッチすると答えた方が多い結果になりました。そこで無理を言って、あまころ牡蠣とマッチングを試して頂こうと試飲ブースを設けて頂きました。これの2種に加えて、寒風沢島で栽培されたササニシキで醸した純米吟醸酒寒風沢も準備して頂きました。
牡蠣料理はあまころ牡蠣のハーフシェルだけではありません。まずは定番カキフライ。
冷凍ですが、5月頃の身が膨らんだ牡蠣を使っていますので、食べ応えがあります。
こちらは牡蠣田楽、味噌だれで焼いた牡蠣を小鉢に盛ってます。
牡蠣と味噌との組み合わせは日本ならではの美味しさを広げてくれますね、
これはオイスターチャウダーなのですが、大皿盛りなので、なんだかよくわかりませんね。。(-.-)
牡蠣のエキスがガッチリ利いて牡蠣好きには堪らないチャウダーでした。
続いて、牡蠣のプロバンス風。
トマトソースで煮込んだ後、グラチネしたのでしょう。パスタが欲しくなる美味しさでした。
一方、こちらは中華ですが、牡蠣の老酒煮です。
日本の煮物とは一線を画す味わいでした。
牡蠣殻に盛られた中華風揚げ物です。
さっぱりと油淋ソースで頂きます。中華の揚げ衣って、フワカリとした独特の食感がありますね。卵白と片栗粉を使うのかなぁ。。。
大盛況であったシンポジウムですが、生食用剥き身の量産で長年やってきた生産者や流通業者はシングルシードによる殻付きガキ生産に何かピンと来ていなかったようです。もちろん、全部が殻付き牡蠣に置き換わるはずもなく、主軸は剥き身で行くことは今後も変わりないでしょう。ですが、都市部では牡蠣をオイスターバーや牡蠣小屋で食べる方が増えており、これらの業態は今後も増えていくでしょう。全国第2位の牡蠣生産県宮城でもこれらのニーズに応えて行くことは、剥き身を含めた宮城の牡蠣全体のイメージアップに繋がるものと思います。
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