(5)乾物と塩辛

カテゴリー: 紹介:加工食品・調味料

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 日本も韓国も古くから漁業が盛んで、モルジブやサモアのような小さな島国を除くと、国民一人一日当たりの水産物消費量は日本が第2位、韓国が第5位です(FAO2006)。水産物は水分含量が多く、足が速い食品ですので、冷凍技術や缶詰加工技術のなかった時代は、その保存に様々な工夫がなされてきました。

 

 基本的には腐敗を起こさせる細菌類の増殖を抑えれば保存が可能です。そのためには増殖に必要な水分をなくすか、塩分で増殖自体を阻害すればよいわけです。簡単に言いますと、乾燥塩漬け・酢漬けですね。日本でも様々な水産物の乾物や塩蔵品、塩辛などが、今日でも利用されていますが、韓国も同様でした。でも、少し違っているところも見つけましたのでご紹介したいと思います。

 

 

 

 

 


 最初は、釜山にあります乾魚物市場です。韓国も日本以上に乾物が豊富なのに驚かされました。
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釜山と言いますと、買った活魚がすぐに刺身で食べられるチャガルチ市場有名ですが、少し離れた地下鉄南浦洞(ナンポドン)駅近くの一帯は魚の煮干し、干し海老、スルメ、昆布、海苔などの乾物類を扱うお店が200軒近く軒を並べています。ちょっと築地の場外売り場とも雰囲気が似ています。

 

 

 

 

 

 

 煮干しは日本と同様、カタクチイワシがメジャーでしたが、右下にチラッと見えていますように、サッパ(ママカリ)も煮干しにされています。
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手前にはホタルイカやムール貝の乾物もありました。試食させて頂きますと、噛むほどに良い味が溢れ、酒で流し込みたい衝動に駆られます。後方には日本でもお馴染みのシラス干しや干し海老、干し蛸のスライスなども並べてありました。

 

 

 

 

 

 

 これはちょっと珍しいエビジャコの乾物です。エビジャコは内湾の砂浜に多い甲殻類ですが、日本ではあまり食用にしませんね。
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水産物の乾物が生鮮とは異なる深い味わいとなることは、日本だけではなく中国も含めた極東アジアで古くから知られ、料理に活用されてきたところですが、種類の豊富さはもしかしたら大陸の方が上かも知れません。

 

 

 

 

 

 

 これは圧巻、イシモチの干物です。まるで松島湾の焼きハゼみたいですね(ソウルのカラットン市場にて)。
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イシモチ(グチ)は韓国の方が大好きな魚です。仙台湾だとニベとシログチくらいしかいませんが、黄海(西海)には5~6種類のイシモチの仲間がいて、それぞれ、大切に食べられています。

 

 

 

 

 

 

 これを見て下さい。スケトウダラの頭の干物です。良いダシが出るとのことでした。
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日本でもじゃっぱ汁やどんがら鍋にする時は、頭も重要なアイテムとなりますが、このように頭だけを干して売っているところにすっかり感心してしまいました。魚の美味い食べ方を知り尽くした日本人の自負心が少しぐらつきます。^^

 

 

 

 

 

 

 こちらは日本でもお馴染みのスルメや昆布ですが、左のスルメは細工が施してあります。
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この飾りスルメは、結婚式で使われるそうです。日本でもスルメは縁起物として使われますが、起源は同じなんでしょうね。

 

 

 

 

 


 これも日本でお馴染みのテングサです。水洗いと乾燥を繰り返して十分に晒してあります。
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寒天を使った料理は韓国でも何度かお目にかかっておりました。これも大陸から日本に伝わってきた食文化なのでしょうか。

 

 

 

 

 

 


 さて、乾物から塩蔵品を扱うお店のエリアに入ってきました。
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魚醤やアミの塩辛がタワーを造っています。そうです、これらはキムチを漬ける時の大事な副材料です。小魚の塩漬けもありますね。沖縄のスクガラス(アミアイゴ稚魚の塩辛)を思い出します。

 

 

 

 

 

 


 驚いたのはこれです。何だと思いますか。
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マダラの鰓(エラ)の塩漬けです。これも叩き刻んでチャンジャに入るのでしょうか。でも、これはかなり硬いので旨味だけを抽出してスープに利用するのかも知れません。いずれにしましても徹底的に魚を使いこなす心意気は今の日本にはあまり残っていないように思えます。

 

 

 

 

 

 

 

 こちらは日本でも人気のチャンジャを始めとする唐辛子味噌の和え物専門店です(以下ソウルのカラットン市場にて)。
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思わず涎が出てしまいますね。商品の展示も綺麗です。

 

 

 


 


 このようなお店がずらりと並んでおり、試食もOKです。お茶碗片手に巡り歩いてみたかった。^^
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チャンジャもそうですが、これらの和え物を塩辛と訳されることがありますが、正しくはヤンニョム和えでしょう。ヤンニョムとはコチジャンや韓国味噌、粉唐辛子、胡麻、大蒜、生姜、砂糖などを混ぜた合わせ調味料で焼き肉の下味などにも使われます。

 

 たとえば、チャンジャはタラの胃袋を一旦塩漬けにしてから、このヤンニョムで和えたものであり、日本の塩辛とは製法がまるで異なります。マダラやスケトウダラの胃袋まで一つ一つ丁寧に割いてよく洗い、塩漬け・ヤンニョム和えにする苦労と心に敬意を払いたくなります。このヤンニョン和えはチャンジャの他にイカやアサリなど様々なバリエーションがありました。

 

 

 


 

 


 さんざん試食した後に本場のチャンジャを買い求めます。日本だと100g700~1000円はするでしょうが、500gで1300円くらいでした。
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日本に持ち帰るとオモニに告げますと、丁寧に丁寧に何重にも包んでくれました。

 

 

 

 


 

 帰国後、直ちにご飯で頂きます。本場物はニンニクのブツ切りやら松の実もたくさん入ってました。胃袋のコリコリ感が堪りません。
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普段は居酒屋でチビチビ突くのですが、今日は豪勢にチャンジャ丼です。^^ 手巻きもうまいですよ。

 

 

 
 


 今回の記事では水産物の乾物塩蔵品を主にご紹介しましたが、正直な感想を述べますと日本より品数が豊富だと思いました。日本もかつて、このような乾物塩蔵品を日常的に利用していたのでしょうけど、コールドチェーンが発達し、全国津々浦々まで 新鮮な魚が届くようになって、このような保存食の需要が減ってしまったようです。

 

 韓国でも内陸の都市まで、活魚料理店があるくらいに新鮮な魚がどこでも食べられますが、これらのような乾物塩蔵品の伝統食を衰退させていないようです。それは鮮魚にはない美味しさをよく理解し、それらをよく食べることで伝承しているのでしょう。日本は世界でも屈指の水産物消費国ですが、伝統的な保存食料理が食生活の欧米化でかなり失われつつあるように思えてなりません。

 

 

 

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2009/03/05(木) 05:00 | trackback(0) | comment(0)
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