養殖銀ざけのシンポジウムに参加して

カテゴリー: 外食:その他

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 先週、石巻で公開シンポジウム「銀ざけ養殖の今後を考える」が開催されました。生産者のみならず、流通加工関係、行政・研究機関などから200名余が参加しました。宮城県は日本の銀ざけ養殖の発祥地であるばかりでなく、全国一のシェアを誇っていましたが、東日本大震災により生産が一時ストップしました。そのブランクの間に外国産のサーモン類に市場を追われ、価格も暴落しました。この危機的状況を脱出するために「みやぎ銀ざけ振興協議会」がこのシンポを開催し、関係者でディスカッションをするものです。


 

 日本の銀ざけ養殖は昭和51(1976)年、本県の志津川町(現南三陸町)で始まりました。
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 その後、グラフのように急速な発展を遂げ、平成3~4(1991~2)年頃には生産量2万2千トンでピークを迎えますが、白ざけ放流事業の成功や輸入サーモン類の増加で供給量が日本人が年間に消費できる30~40万トンを超過したことから値崩れを起こし、衰退し始めます。


 それでも、残った生産者は懸命な努力で減少を食い止めた結果、1万トン前後で安定し、近年はやや増加傾向にありました。この間、EP餌料の導入や魚病対策など、技術的な躍進もあり、品質は飛躍的に向上しております。


 その最中、2011年の東日本大震災により、出荷目前の銀ざけが生簀諸とも津波に飲まれ、すべてを失います。しかし、生産者を始め関係者の懸命の努力で翌年には早くも震災前の70%の生産を回復しますが、1年間の出荷ブランクのために市場を外国産のサーモン類に奪われ、価格はまたしても暴落しました。


 その後、徐々に単価も回復しておりますが、銀ざけ養殖をただ震災前に戻すのではなく、それ以上に発展させようと研究機関や企業もコンソーシアムを組んで研究に乗り出しています。


 

 世界的なサーモン類の消費は伸びている一方で、養殖銀ざけの消費実態はまだまだ課題が多く残されています。
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 上の円グラフは銀ざけ振興協議会が仙台市民を対象にアンケート調査ですが、宮城県産銀ざけを食べない、知らないという方が約8割です。宣伝も足りないのでしょうけど、店頭ではチリ銀やノルウェーのサーモンの方が多くを占めていますからね。


 宮城県産の生の銀ざけが出回るのは4~7月、刺身商材としても周年、生で空輸されるノルウェーのアトランティックサーモンに押され気味です。ただ、近年、世界的な魚嗜好からノルウェーも日本市場だけではなくEUへの輸出を増やしてきており、日本市場に隙が出来るとの見方もあります。


 

 有名な水産庁のウエカツ(上田勝彦)さんも講演に来てくれました。
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 いま、日本の人口ピラミッドは野生生物では考えられない逆ピラミッド型の消費を支えてきた65歳以上の年齢層は20年以内にほとんどいなくなります。30~40歳代の中堅層もは外食で消費することが多くなってます。つまり、は嗜好品となり、日常的に必要ではなくなってくる事に彼は危機感を抱いています。


 特に子供がまだ小さい、30代前半の家庭でを食べる機会が減ってきますと次の世代もから離れます。現在、女性も70%が働いており、日常的に手間のかかる魚料理を作ることはできません。


 

 彼の辛口のコメントが炸裂します。銀ざけ振興協議会を作った銀ざけ料理のパンフにも言及します。
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 「このような料理、週に1回、いや月に1回作りますか? また、作りたくなりますか?こういう料理はほとんどの人がレストランやカフェで食べるものです。」で、彼の提唱する銀ざけ料理は以下のレシピの「湯煮」でした。

 
 ① 銀ざけの切り身を買ってくる。
 ② 塩をする。(塩銀は省略)
 ③ フライパンに湯を沸かし、日本酒を少々。
 ④ 沸騰させない温度で切り身を茹でる。

 
 これは焼いたり煮付けたりするより、身がふっくらしっとりとするするそうで、ネギの微塵切りとポン酢で和風、胡椒とオリーブ油で洋風、おろし生姜と胡麻油で中国風にも変身できるとのこと。フライパン一つで4切れは処理できるので忙しいお母さんには好都合ですね。


 

 さらに彼の駄目出しは続きます。
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 これも振興協議会が作った銀ざけのポスター。何を誰に訴えているのか不明。共通のロゴマークとしてはよいんでしょうが、対象を絞り込んで伝えたい内容がひと目で飛び込んでこないと効果がないらしい。


 

 さて、ランチタイムには銀ざけ料理の紹介もありました。
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 これらはホテルの厨房が作ったものですから、凝ってます。

 
 

 名称を紹介した資料は配布されなかったのでうろ覚えですが、中華風の揚げ物
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 銀ざけを揚げてから甘辛いたれがかけてある感じです。


 

 味噌を使った地に漬けた焼き物の銀ざけ
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 銀ざけは輸入サーモン類と違って適度な脂なので和食にも良く合います。


 

 こちらはグレープフルーツが使われたマリネですね。
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 銀ざけも薄切りではなく、ほぐした身のようです。


 

  午後からは、生産者や流通業者も交えたパネルディスカッション
銀ざけは刺身商材としても有望なので、西日本のハマチや北海道の定置網の秋鮭でも行っている活け締めをやるべきだ。」との意見に生産者は
100~150トンもの銀ざけを水揚げしなければならない。1尾1尾締めている時間はない。」と反論。ウエカツさんも
せめて1割でもいいから活け締めで特選として出すべきだ。」と食付きます。それに
良い物を作っても仲買いが高く買う保証はない。」で会場はしゅんとなりました。そこに、津田鮮魚店おさかな王子(二代目)が、
いい物は高く買います。そして、価値を認めてもらえるよう高く売ります。
 に会場には拍手が湧き上がりました。実際、ある地区の若い銀ざけ生産者グループは活け締めマシンを導入しようとしていますし、宮城の銀ざけ養殖も徐々に変わっていくでしょう。



 私も銀ざけ若布を使った料理教室をやっていますが、今後の消費拡大を考えるとと、独身もしくは子供の小さい世代を対象に、凝ったものではなく簡単に出来る料理を教えていく必要がありますね。どうも男の料理は手間を惜しまないので時間をあまり気にしないのですが、家庭の主婦にはそんなゆとりはありません。嫌いな言葉ですが、私も少し時短を意識した料理を作らないといけないのでしょう。私も変わらねば。。。
 

2014/02/13(木) 05:00 | trackback(0) | comment(4)
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ぺこりん

URL | [ 編集 ] 2014/02/13(木) 12:53:28

銀鮭の押し寿司が無性に食べたくなってしまいました。出荷はまだちょっと先ですね。
ハンバーグこねたりするのに比べたら、魚料理って手間かからないと思うんですけどね。焼いてるうちに手があくので焼き魚が一番楽だし、刺身なんか皿に盛るだけ(笑)
鮭は焼いてタルタルソースをかけるのが簡単でおいしいと思います。

この前、愛媛のみかん鯛というのを食べました。餌にみかんの搾りかすなどを混ぜているので、養殖独特の臭みがなく、皮からふわっと柑橘系の香りがしました。値段は普通の養殖より1割位高くなるそうです。わかりやすい差別化みたいなのがあればいいんでしょうけど・・・。

サエモン

URL | [ 編集 ] 2014/02/15(土) 07:29:49

 >ぺこりんさん
 今年の出荷は4月からでしょう。初夏までは生銀が出回ります。それが食べられるのは宮城県民の特権かも。

 愛媛ではミカン風味のハマチもあるそうです。震災復興が落ち着いたらレモン風味の銀鮭もありかもですね。

みどり

URL | [ 編集 ] 2014/02/15(土) 08:30:11

宮城県の銀鮭頑張って欲しいです(o^^o)
先日鰯の丸干し食卓に並べたら一歳と八歳の子供たち喜んで食べました。魚おいしいです。

サエモン

URL | [ 編集 ] 2014/02/15(土) 22:08:36

 >みどりさん

 若い世代の親御さんがしっかり魚を食べているご家庭では、お子さんたちも、それを受け継いていくのでしょうね。

 我々もボーンレスやファストフードのような魚を主流にすべきか、きちんと伝統的な魚料理の美味しさを普及すべきか、悩みまくっております。。。 
 今後ともご意見よろしくお願いいたします。











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