蕎麦打ちの指導を受けました
カテゴリー: 料理:麺類
今まで何度も蕎麦打ちには挑戦しているのですが、独学の自己流で、しかもあり合わせの道具を使ってなので田舎蕎麦や裁ち蕎麦は打てても江戸前の細打ちは打てず投げ出していました。今回、週末を気仙沼で過ごし、地元の蕎麦打ち名人に個人レッスンを受ける機会に恵まれました。まだまだ、納得のいく蕎麦は打てていませんが、今までより格段の進歩が見られました。やはり、手技は人からきちんと教わらないといけませんね。^^
さすが、専門家です。使います蕎麦粉もその辺で市販されているものではなく、茨城県産の常陸秋そばの2種類をブレンドします。
粗挽きを10%ほど加えて食感に変化を与えるそうです。打ち粉もつなぎの強力粉も蕎麦打ち専用でした。
まずは名人のお手本です。二八を打ちますので、中力粉20%配合。
混合された粉を捏ね鉢に篩って落とします。
市販の天然水を使い、粉の重量の半量を何回かに分けて加えます。加水しますと蕎麦の香りが立ち上ります。
指先を曲げて水回しの作業に移ります。水が均等に混ざるように掻き回します。この段階では、まだ、サラサラしています。
さらに加水を繰り返して掻き回していきますと粉が徐々に小さな塊になってきます。
決してまとめようとするのではなく、始めから一定のリズムで掻き回し、粉の方から自然に粒になってくれるのを待つのだそうです。結構、忍耐のいる作業です。この水回しがいい加減だと後で蕎麦がちぎれる原因になるそうです。この重要性に目覚めさせられました。^^
枝豆くらいになった粉の塊をまとめ(くくり)ます。そして、艶が出るまでよく捏ねていきます。
掌で体重をかけながら外から内へ押し込むような作業を生地を回転させながら続けます。最低でも100回以上は捏ねるそうです。これも今までそこまでやったことはなかったなぁ。最後の方で力を抜きながら捏ねていくと小籠包のようにヒダが中央に集まってきます。これを菊練りというそうで、これにより生地から空気を追い出されるとのこと。最後に滴のような形にします。これがへそ出し。
滴の尖りを掌で捻りながら潰してお供え餅のような形にし、へその方を下にして打ち粉を振った打ち台に移します。
掌で周囲を押して延ばしていきます。これもリズミカルに一定区間を延ばしたら回転させて、お好み焼きくらいまで延ばします。これが地のしとか基礎延しとか言われる作業です。
続いて、丸延ばしです。やっと麺棒が登場です。転がすのではなく、押して行きます。
ギザギザポテチのような模様になったら、30度くらい回転させて、繰り返すとベルギーワッフルのような模様になります。薄くなってから、初めて麺棒を転がし、少しずつ回転させながら丸く延ばして行きます。まだまだ、本延ばしではありません。
薄く広がったら麺棒に巻き付けて、生地を転がします。
これを両側から行いますと楕円になります。さらに楕円の長軸と平行に生地を巻いて、同様に延ばすと四隅が尖ってきます。これが角だしとか四つだしと呼ばれる作業です。四角くなることで後に蕎麦を切っていく時に無駄がなくなります。
いよいよ本延ばしです。正方形を長方形に延ばして行きますが、長くなるにつれて作業していないところが乾燥しますので麺棒に巻き付けておきます。
さらに長くなると両サイドも巻き付けるので、合計3本の麺棒が必要になります。指先を滑らして厚いところを見つけ、それをなくすように延ばして行きます。この時の麺棒の転がし方が難しく、手を猫の手のようにして麺棒を軽くつかみ、左右の手を回転させるような運動になります。これの習得が一番大変でした。
続いて、延ばした生地を4つに折り畳み、駒板を当てて蕎麦包丁で切っていきます。この時はたっぷり打ち粉をします。
切る毎に包丁を駒板方向に傾け、次に切る蕎麦の幅分だけ駒板をずらします。この作業は何度も練習して体で覚えるしかないでしょうね。考えて切っていては決して揃いません。切り終わったら180gずつ、粉を落として箱に並べていきます。
見ていますと簡単そうに思えたのですが、実際にやってみますとかなりの重労働で忍耐も必要なことが実感できます。
これはスポーツと同じで頻繁に練習しない限り体得することは不可能でしょう。そのため、道具も揃えなければならないし、本格的に始めるには大きな決断が要りそうです。
今回は1ラウンドしか打ってませんが、幅は不揃いながらも今まで打った中では最も薄い蕎麦になりました。
より細く均等に打てるようになるためには数十回は打たねばならないでしょうね。
打ち立て蕎麦は時間を置かないで茹で上げます。この緑がかった色を見て下さい。^^
沸騰したタップリのお湯でたった40秒。この茹で時間も驚異的でした。
直ちに冷水で締めてシャキッとさせます。
これは私の打った蕎麦ですが、不揃いながらも田舎蕎麦の太さは脱出できました。
秘伝のそばつゆで頂きます。ん、これなら人様に食べさせても恥ずかしくない。^^
先生のそばつゆの作り方は公開できませんが、陸前高田の八木澤商店の濃口と淡口の生揚げ(非加熱)、三河本味醂、甜菜糖などで本返しを調製し、乾し椎茸、昆布と自分で削った本枯れ節でとったダシを合わせるという手間のかけようです。蕎麦湯を注いで飲むと極上の吸物のようです。
蕎麦打ちの技術を向上させ、維持するためには道具を揃え、定期的に打っていくことが必要不可欠ですが、そのための軍資金も必要になります。そして、納得のいかない蕎麦も家族に食べさせることになります。納得がいくようになっても、我が家だけでは食べ切れずご近所に配ることになりそうです。ですから、蕎麦打ちを始めるにはそれなりの覚悟が必要なのです。さあ、どうしたものか。。。^^
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