大寒も過ぎて、日も長くなり、陽射しも春めいてきましたが、まだまだ氷点下の朝が続く宮城県です。ところで上の写真は何だかわかりますか?ホワイトシチューのように見えますが、長葱が乗って七味唐辛子が降ってあります。これは江戸時代より伝承されるみちのくのシチュー、つまり、納豆汁です。我が家では味噌汁に引き割り納豆を入れたタイプなのですが、冬が厳しい本場山形の納豆汁を作ってみました。
作り方は山形県庁のHPを参考にしました。詳細はこちらをご覧下さい。
材料は主役の納豆のほか、味噌、豆腐、油揚げが入り大豆製品4兄弟の共演になります。かつて山形では雪に埋もれる冬には生鮮野菜が手に入らなかったので、塩蔵のワラビ、山ウド、モダシや芋がらなどをたっぷり入れます。今回はどこのスーパーでも売っているシメジとエノキを使いました。あとは長葱と七味唐辛子。
分量なんですが、上記のHPでは、10人前で納豆400~500g、水800mlとなってますが、これ間違いではないでしょうか? 1人前にしますと、小さなコップ半分位の水に3パックで売っている納豆(45g)が1パック入ることになるのです。そこで水だけは倍量として4人前を作ります。
4人前ではちょっと足りませんが、3パックの納豆(45×3=135g)を擂り鉢で潰していきます。
レシピでは粒がなくなるまでと書いてありますが、結構しんどい。潰れるに従い、納豆の強烈な粘りが出て、大豆を突き潰すのを妨害します。水で薄めてブレンダーで攪拌するかとも考えたのですが、趣がなくなるので続けます。
15分続けましたが、それでも引き割り納豆くらいの小さな粒は存在ます。
これは辛い作業ですね。10人前だったらどうなるんだろう。もう勘弁して下さい。^^
お湯を沸かし、適宜に切ったキノコ類を煮ていきます。
キノコに火が通ったら、豆腐と油揚げを加え、再び沸騰したら、味噌を加えます。豆腐が入っていますので、味噌は煮汁で十分に溶かしてから加えます。
そして最後に潰して自然薯の硬いトロロのようになった納豆を加えますが、味噌と同じように事前に煮汁で十分に柔らかくしてから加えます。
納豆を入れたら火を止めます。味噌や納豆の香りが飛びますからね。納豆の香りが蒸気とともに立ち込めたら相当凄いことになるのではと思われますかも知れませんが、磨り潰しことによって大豆本来の香りと混じり合って円かになります。
とろんとろんの和製シチューの完成です。見るからに濃厚で温まりそう。
姿は見えなくなりましたが、納豆は主役ですから、国産大豆の信頼できる納豆をお求め下さい。
長葱は余熱で火が通るように薄く切ります。七味唐辛子を振っていざ食卓へ。
セリの細々も合いそうです。これに山菜の塩漬けがザクザク入っていたらどんだけ美味しいのでしょうね。山形では年末年始などの晴れの日のご馳走だったそうです。
本日の夕餉は納豆汁をメインに釣り立てネウ(アイナメ)の塩焼き、小蕪の煮物と漬物です。
もちろん、お酒で頂きました。夜は穀物を食べませんので。^^
おまけですが、クルトンの代わりに塩味のポテチをザクザクと乗せて青海苔粉を振ってみました。
山菜の塩漬けが入っていないので、食感が物足りなかったのですが、ザクザクポテチが入ることで面白い趣になりました。青海苔の香りもなかなかですが、山形県人のブーイングが聞こえてきそうなので多くは語りません。^^
いや~実に心温まる味です。このような料理が江戸時代から食べ継がれて来ていたのですね。引き割り納豆入り味噌汁とは全くの別物です。納豆を潰すのに手間は掛かりますが、作り甲斐のある料理です。何でも山形では、「雪道と納豆汁は後の方がよい」と言われているそうです。雪道は踏み均された方が歩きやすく、納豆汁は時間が経ったほうが味が熟成するからでしょう。まさにシチューやカレーと同じですね。まだまだ、寒い日も続きます。納豆汁で温まろう!!
さらにおまけ。翌日の昼、味の熟れた納豆汁でひっぱりうどんをやってみました。
納豆汁を温め直す時に味噌を少し足しています。うどんに納豆汁がよく絡んでくれるので、常法の鯖水煮缶と納豆のつけだれより俄然フィットしました。これも温まる!!
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