吟趣康会で揚げ立てハゼ天を披露
カテゴリー: 料理:釣り魚
秋の味覚の一つにハゼの天ぷらがありますが、私は魚の天ぷらの中では最上位ではないかと思っております。ほろほろと泡雪のように口の中で崩れて消える白身、カリッとクリスピーな衣との対比が群を抜いています。この対比を味わうためには、冷凍ではない釣り立てのハゼを揚げ立てで食べることが絶対条件となります。これを食べることが出来るのは釣り人の特権とも言えましょう。この日の夜に日本酒を嗜む大人の宴が開催されるため、釣り立て揚げ立てハゼ天をご賞味頂こうと朝から釣りに出掛けました。
今年の松島湾のハゼは非常に釣りづらく、例年であれば天ぷらサイズの1年魚が軽く30尾くらい釣れるのですが、この日は3人掛かりでやっと45尾。
ただ、今年生まれの人差し指クラスがこれと同じくらい釣れましたが、全て来年のためにリリースしています。本日の宴の参加者は30名、前日の早朝にも試し釣りを行い、15尾ほどストックしておきましたので、合計60尾、なんとかなるでしょう。^^
昨年生まれの1年魚もこの季節には20cm近くに成長します。
このサイズでないと開いて揚げた時に様にならないのです。東京湾だと水温がこちらより高いので当歳魚の成長が早く、大部分が満1歳で成熟して産卵後に死亡します。松島湾では成熟にもう1年を要するので、この季節に越年した1歳の大型魚が釣れるのです。
海から戻り、速攻で60尾を背開きにしていきます。1時間ちょい掛かりましたが、夕方の出発時までにはパッキングまで完了。
腹開きじゃなく背開きなのは元武家だからではありません。^^ 腹開きだと開いた両サイドの身が薄く、揚げた時に丸まったりするからです。背開きならしっかりした三角形に仕上がります。
本日の大人の宴は吟趣康会と申します。今回の会場はエルパークの調理実習室。
吟趣康会は1996年、小濱会長を中核に日本酒の楽しみを分かち合う場として発足し、様々な人との出会いと交流の場としての役割を果たしています。会員制でこの会に招待された者が審査の上、登録されます。 その数は現在200名を超えているそうです。善男善女の交流の場ですので、厳しい掟もございます。
ひとつ、酒品佳く、周りの人とは楽しくあばれずに呑むこと
ひとつ、お互い面倒な関係にならないこと(ただし恋愛は自由/婚姻4組)
ひとつ、美味しいお酒と肴を造ってくれた職人に感謝の心を忘れないこと
初参加なのですが、私に会員としての適格性がありと認められるか不安になります。もしかしたら、専属の職人として採用されるのでしょうか。。。 ^^
小濱会長のご挨拶と今回の趣旨説明がありました。
今回はマルブン食品さんの新製品披露がメインでしたが、そこへハゼ天が飛び込んだ形になります。小濱会長から突然、りらく9月号への料理教室掲載のご紹介があり、挨拶を求められます。緊張しまくりで、水産業の復興状況と被災地水産物の消費拡大のための活動をお話させて頂きました。
乾杯の発声とともに厳かに宴が始まります。よく見て下さい。乾杯から日本酒なのです。
乾杯は山形県高畠町の後藤酒造店の純米大吟醸原酒辯天亀の尾でした。本会の発足は、後藤酒造店(屋号は辯天べんてん)と出会い、小さな蔵元のこだわりある酒造りに魅せられたことが引き金となっているそうです。本会はこだわりを持って頑張る蔵元を応援し、より多くの人に蔵元の想いを伝えることに力を注いでいます。
オードブル形式の中国料理も用意されています。
素晴らしく美味しいなぁと思ったら、長町の伊達餃子楼さんの作品でした。なんでも日本酒に合うように調味してもらっているとのこと。ネット上でも評価の高い伊達餃子楼さん。先月27日で休店になりましたが、その直前にお邪魔して堪能することができました。次の記事でご紹介致します。
今回の私の任務は揚げ立てハゼ天の提供です。このまま酔ってしまってはいけません。揚げ方開始です。
60尾の一気揚げ。油も4リットル用意してます。1テーブル6名様分ずつのバッチ処理で揚げ立ての熱々を召し上がって頂きます。乗組員の伊藤さんや呑み友達の岡崎さんも前処理やサーブに大忙し。
日本酒の肴ですので、塩竈の藻塩と柚子醤油で召し上がって頂きます。
柚子醤油は庭の青柚子で柚子酢を絞り、醤油・煮切り味醂を加えて柚子ポン酢を作り、それに追い柚子と昆布を入れて数日寝かせたものです。
さて、本日の主役の一つ、イタリアをイメージした味噌田楽です。
いわゆる茹で田楽ですが、付け味噌が国分町のホームバーコトル特製のトマト・レモン・バジルの変わり味噌になります。
これが秀逸でした。豆乳をすり身に混ぜて低温で揚げた蒲鉾です。角田の大粒枝豆秘伝豆も入っています。
蒲鉾というよりしんじょうに近い口当たりです。温めて野菜餡をかけていますが、加工品ではなく手作りの料理のようです。
マルブン食品の佐藤常務が新製品のご紹介。
赤いのが長野トマトと水菜のチーズ風味、白い方は蔵王高原 牛乳とバジルの香味団子です。洋風鍋などに最適だそうですが、冷たいままでも美味しく頂けました。サルサヴェルデなんかを添えても好さそうです。
余興も飛び出します。尚絅学院大学の安藤先生による独楽芸です。
お酒のせいか、アクシデントが連発しますが、単なる曲芸ではなく、一連の出し物として楽しませて下さいます。
続いて、JR白石蔵王駅の駅長さんが企画旅行のご案内です。
JR東日本白石蔵王駅主催の白石戦国武将隊奥州片倉組と行く片倉小十郎・真田幸村『義』の旅が開催されるそうです。
ハゼ天やイシモチのカレーフリットを揚げ終わり、やっと落ち着いてお酒を楽しめます。これはつや姫を醸した特別純米酒。さらりとした飲み口のお酒でした。
つや姫(山形97号)は山形県農業試験場庄内支場において開発された食用米です。冷めても美味しいのが特徴です。
吟酒康会では1998年から上記の後藤酒造店さんが始めたタンク売りの別誂えの酒の企画に参加し、オリジナル吟醸酒「壱の酒」を造りました。
以来、毎年、醸し続け、今年は十六の酒になる予定。写真は昨年の十五の酒。ロゴの合成漢字が面白いですね。^^ 今年の十六の酒はどのような文字になるのでしょう。
最後は全員で後片付け、皆様、さすが善男善女ですねぇ。自分から仕事を見付けて積極的に働きます。
クラブ活動の後の床掃除みたいで、これもまた楽しいものです。みんなでやるので、どんどん片付きます。
今回は大変勉強になりました。日本酒をこよなく愛し、それを楽しむために集まった紳士淑女。各界でご活躍されている方々だけに社交にも品格があります。騒ぐ方もおらず、日本酒と会話を楽しんでおられます。どちらかといいますと、海賊の酒盛りが似合っている私ですが、果たして大人の宴である吟酒康会に会員登録されるでしょうか。次回の記事がアップされない場合は。。。。ということです。^^
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