【塩竈市】幻の餅料理を体験する
カテゴリー: 外食:その他
とある飲食店のご主人と話し込んでいる時に、彼の実家である岩手県一関市大東町ではあるものでお餅を食べるそうです。おそらくこの食べ方は餅文化圏の本県北部や岩手県南部を探しても他にはないのではないでしょうか。上の写真のように、一見、大根おろしの辛み餅のようにも見えますが、それでは幻になりません。一年中食べるのではなく、この田植えの季節に草餅で食べるようです。さて、岩手県の大東町民は一体何で辛み餅を食べているのでしょうか。Coming out!
幻の餅を頂くお店はこれも幻の中国飯店、仙台屋食堂埠頭売店さんです。
知る人ぞ知る隠れた銘店で塩釜港の倉庫街にひっそり隠れるように営んでおります(関連記事)。ご主人の山ちゃんから幻の餅料理を食べに来るようお誘いを受けました。この日は日頃の放蕩を償うために餅loveな妻をエスコートしました。同じ理由からぶんたろうさんご夫婦もご一緒です。^^
こちらは凍み餅。正しい発音はすみもづですので覚えておきましょう。^^
まず最初にこれを食べてとテーブルに乗せられました。どうやって食べるのよぉ(・・?)と一同目が点。そのままどうぞと山ちゃん。で、恐る恐る口に運びますと、なんということでしょう。(@_@;) 少し硬めですが、落雁のように口の中でホロホロと崩壊します。甘味も付いていて、ピーナッツも練り込んであります。このすみもづ、彼の郷里でも保存食として、このように食べているそうです。最初から意表を突く餅攻撃でした。^^
続いて出されたのが、あんこ餅。この餡もただ者じゃない。
中華の餡のように何か仕事がしてあるようです。黒胡麻が入っているのかなぁ。餅は緑の草餅ですね。これで一人分って、これ全部食べたら、もう決まっちゃうでしょうに。で、味見だけしてお持ち帰りに。
これも絶品でした。山胡桃(オニクルミ)で作ったくるみ餅です。クリームのように滑らかな餡が夢心地です。
私も震災前までは毎年取ってきて、殻から実を出して料理していしたが、大変な苦労が要ります(実の取り出し方)。これは本来、苦労の代償として得られる味わいなんでしょうね。
ここでおもむろに山ちゃんが、これを擂ってくれとテーブルに何かを持ってきました。ごぼう???
擂るほどに鮮烈な香りが立ち上ります。目にも来ます。これはもしかして、ホースラディッシュ!! 正解です。清流に育つ本山葵に対して、西洋ワサビとか山ワサビとか言われていますね。でも、これは外来植物ですよね。ローストビーフの薬味にされたり、本山葵の代替品としての粉ワサビやチューブ入りワサビの原料とされています。これがなんで岩手の大東町で郷土料理になったのでしょう。
このように、薄めた麺つゆに混ぜ込んで餅に絡めて頂きます。揮発性の刺激がツーンと鼻腔を貫きます。
でも、そのツーンも爽やかに一瞬で消えてしますのです。このようなおろし山ワサビの醤油漬けは北海道ではよく見られるので、だれか北海道出身者が大東町へ伝えたのでしょうか。ともかく、これは癖になる美味しさです。この餅とのマッチングを最初に気付いた人、、、偉い!! \(^〇^)/
ところで、両奥方とも仙台屋食堂さんは初めてなので、餅だけで帰るわけには行きません。
お腹も餅で出来上がっていますので、点心を何品か。まず、金沙のかかった海老マヨと皮も自家製の春巻です。
千切り生野菜の下から顔を出す海老焼売。
山ワサビを練り込んだマヨネーズが使われています。
もうこうなったら、もう赤い悪魔でしょう。^^
呑み口の良い塔牌紹興酒、あっという間に2本が空に。
最後に仙台屋食堂名物、豚ロース湯麺。4人でシェアして頂きました。^^
よく巷で排骨麺が独り歩きしていますが、排骨は骨付きのバラ肉、すなわちスペアリブのこと。このようなロースの味付け揚げを本来、排骨とは言わないと山ちゃん。
本日のデザートは自家製のがんづきでした。
山胡桃も入っている贅沢な逸品です。でも、お腹いっぱいで苦しい。そりゃそうだよね。餅だけでも、5個くらい食べていますから。^^
お土産に頂いた山ワサビを自宅で擂って、辛みダレを作ってみます。
麺つゆだけだと甘味が強くなるので、醤油と半々にして水で割りました。これに擂り立ての山ワサビをたっぷり入れて。
さっそく、草餅で試します。擂り立ての山ワサビはさらに強烈。
鼻腔を通り越して、後頭部から頭頂部にまで刺激が走ります。それも一瞬だけ。そして、また、食べたくなるこのM的な味わいがこの辛み餅の醍醐味でしょうか。^^
山ワサビはホースラディッシュですから、当然、肉との相性は抜群。
藻塩味のポークソテーに山ワサビをたっぷり乗せて刺激的に頂きます。もっと、様々な肉や魚貝類で試してみたくなりました。
で、山ワサビの栽培を始めました。
半日陰のスペースに3株ほど定植しました。いつでも食べられるようになるには何年かかるでしょうか。^^
山ちゃんの実家がある岩手の大東町。なぜ、この地に外来植物である山ワサビが持ち込まれ、郷土料理、辛み餅として根付いたのかはわかりませんでした。明治以降に本種が日本に導入され、沢水がなくても丈夫に育つので全国の里に広まっていったことは想像に難くないのですが、これと草餅との組み合わせを発案した大東町の先人には頭が下がる思いです。こんな貴重な幻の餅を食べさせてくれた仙台屋食堂埠頭店の山ちゃんにも改めて感謝致します。
仙台屋食堂さんは本来、中国料理店ですので、餅料理はメニューにありません。なお、夜の部は完全予約制で一日に一組だけとなっております。以前利用させて頂いた時のお料理はこちらでご覧頂けます。
仙台屋食堂 埠頭売店
・所在地 :宮城県塩竈市貞山通1丁目6-67
・電 話 :022-363-2125
・営業時間 :11:30~15:00(夜は予約制)
・定休日 :日曜・祝日(予約あれば営業)
・駐車場 :あり
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