自家製塩辛の勧め(失敗しない作り方)
カテゴリー: 料理:甲殻・軟体・ほや
先日、東松島のちゃんこ萩乃井さんで、美味しい自家製塩辛を頂きましたが、それに触発され、無性に塩辛を作りたくなりました。我が家の塩辛は以前にも紹介(関連記事)したことがありますが、イカの身も腑も十分に脱水してから切り込むのが特徴です。こうしますと、生臭さが一切なく、味も濃いのに円やかな塩辛が出来上がるのです。さっそく市場に吹っ飛びました。
とりあえず、200円のスルメイカを3杯買ってきました。市場では全身がギンギンの赤褐色だったのに、ナイロン袋に入れて持ち帰ったら、色が呆けてしまいました。^^
色が褪せても市場から直行で帰ってきてますので鮮度はバッチリです。塩辛は生で食べるものですから、鮮度バッチリの物を求め、冬でも鮮度が落ちないように十分に気を遣いましょう。
イカを買って帰ったら、直ちに捌きます。胴、エンペラ、ゲソ、腑に分離します。胴は皮を剥き、ゲソからは目玉や嘴、硬いリング状の吸盤角質環を爪でしごいて取り除いておきます。
腑の部分は中身が流れ出さないように付け根を少し多めに付けて切り離します。ゲソの頭の部分は開いておきます。
腑以外は軽く塩を振ってよく馴染ませてから、風のある日中なら半日、夜なら一晩干し上げます。
右のようにエンペラが反り返り、ゲソの先が少しカリカリするくらいに干します。このまま焼いて食べたらどんだけ美味いんだろう。がまんがまん。^^
干し上がったイカの身は拍子木に切り込んでおきます。
頭の軟骨状の部分がコリコリして美味しいのです。胴の身だけでは単調で上品過ぎます。様々な部分が入るからサクマのドロップスみたいで楽しいのです。
一方、腑は張り付いているひも状の墨袋を取り除き、塩を満遍なく塗してキッチンペーパーにくるります。
さらに新聞紙で巻き込んで冷蔵庫に一晩保管します。塩の力で脱水、調味して、紙の吸水力で脱水と生臭い水が腑に戻らないようにするのです。
脱水の終わった腑です。周りの紙はじっとり湿っています。想像以上の水分が出ますのでキッチンペーパーは多めに巻いておきましょう。
続いて、根元の身を切り離し、まな板の上で袋から腑の中身をしごき出します。もちろん、根元の身も適当に切って塩辛に加えます。
擂り鉢に腑の中身と隠し味程度の味噌を入れてよく摺り合わせます。濃すぎる時は日本酒を少量加えて伸ばします。
よく味醂などの甘味を加えるレシピもありますが、イカ身にも甘味がありますので、余計な感じがします。
よく摺った腑の味加減を見て、切り込んだ身を混ぜ合わせます。
一晩塩に漬かった腑は十分に塩辛いので塩を加える必要はないと思います。
熱湯で滅菌した密閉容器に収容し、冷蔵庫で保管します。もう充分美味しいのですが、まだ熟れていないので塩味に少々刺があります。
好気的条件の方が熟成が進み安いので、一日一回、火炎滅菌した箸で上下をよく混ぜ返します。日に日に塩味が丸くなり、イカの身にも馴染んでいく変化が楽しいのです。七味唐辛子や柚子皮などを入れた変化球は小分けしてから作った方が良いでしょう。量が多いと意外と飽きるものです。
だいたい漬け込んで3日目くらいから食べられますが、味が本格的に馴染むのは5日目頃からでしょうか。
市販の加工品と違って防腐剤が入っていないので、2週間程度で食べ切りましょう。家族が2週間程度で食べ切れる量だけを作ります。昔と違ってこの作り方ですと塩分もかなり落としていますので、長期保存は出来きないのです。室温で保存するためには18%程度の塩分が必要でですが、口に入れた瞬間ビリッと来ます。
まずは塩辛で白の上善如水(吟醸;白瀧酒造)を軽く一献。
日本人に産まれてよかったぁと実感する一時ですね。
でも、塩辛ともっとも相性が良いのは、なんと言ってもご飯ですね。
これは日本人のソールフードですね。
皆さまもご家庭でイカの塩辛は作りますか?みちのくでも青森や秋田ではいまでも塩辛作りをする家庭が多いかも知れませんが、宮城では手作りで常備している家庭はほとんどないでしょうね。その背景には健康志向と面倒臭さが影響しているのかも知れません。かつての手作り塩辛も家庭によってそれぞれ異なる味があったことでしょう。今回ご紹介したように、干す=脱水という作業を加えることにより市販品をはるかに超える美味しくて低塩の塩辛が家庭で出来るのですから、これはやらなきゃ損でしょう。
ただ、イカ3杯分も作りますと消費が追いつかないでしょうね。保存料も使っていませんので2週間ぐらいで食べ切る必要もあります。そんな時のためにそのまま食べるだけはなく、様々な料理にイカの塩辛が使える凄さを次の記事から証明していきたいと思います。


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