柿膾(なます)をご存知ですか。正月によく食べる人参と大根の紅白膾に柿の果肉や干し柿を加えたものです。砂糖と違って、ほんのりとした自然な甘みが口に広がります。今回はお酢にもこだわり、自家製の柿酢で作っています。
今から3ヶ月近く前の12月上旬のことですが、昨年は柿が大豊作。
渋抜き柿や干し柿にとせっせと利用しましたが、とても使い切れません。そこで、3年ぶりに柿酢を作ることにしました。
大豊作だったためか、鳥にも啄かれないで綺麗なまま残っている実がほとんどです。
例年ですと、この時期に枝に残った柿の実はもうすっかり熟れてブヨブヨなのですが、昨年はまだ硬さが残ってます。柿酢にするためにはもっと熟していて欲しかったのですが、漬け込み容器の中で追熟させましょう。
柿の実は決して洗わず、ヘタだけを取り除きます。ヘタの影には小さな蜘蛛などが潜んでいますので。
柿の実の表面に酵母などの微生物が付着していますので、鳥の糞などの汚れを取り除く程度にしておきます。
アルコール消毒した瓶(かめ)にぎっしり詰め込みます。
蓋の周りをキッチンペーパーで封じて小蝿の侵入を防ぎます。
2週間ほどしますとすっかり追熟してトロントロンに。
柿のジャムといいますか、ピュレーみたいな状態です。また、封印して床下収納でひたすら発酵を待ちます。
これが2月下旬の状態。決して美しい光景ではありませんね。^^
表面には膜が張り、カビのようなものが覆っています。
表面の膜を突き破ると薄濁りの液体が溢れます。これが原酢です。
味見をすると、甘酸っぱい。新酒ならぬ新酢のフルーティーな芳香が立ちこめます。無事にアルコール発酵を経過して、酢酸発酵に移行したようです。
これを布で濾したものが一番酢。絞らないで滴り落ちるのを待ちます。
絞ると濁りが取れませんので。
二番酢は絞ったり重しをかけたりして、暴力的に搾出します。^^
布が厚くて緻密ならば、お酒のように最初から圧力をかけて絞っても良いのかも知れません。
左が自然に滴り落ちた柿酢。それでも薄濁りですが、数日もすると濁りも沈殿して澄んできます。
右のミルクのような液体が2番絞り。味に差はないのですが、見栄えにはかなりの違いがあります。そのままでも飲めるくらいの優しい味です。甘味も残っていますから、このあとも発酵が進んで酸っぱくなっていくでしょう。火入れをしないでもう少し醸します。
自分で育てた野菜と自家製の柿酢と干し柿で作った柿膾。感無量。^^
完全制覇したような満足感に浸っています。味は普通の柿膾ですが。。。
毎朝、小さじ1杯程度の柿酢を飲んでます。そのせいかどうか、飲んだ方が午前中の体調が良いように感じます。以前にお酢ブームがありましたが、熱しやすくて冷めやすい日本人、いまでも続けている方はいるのでしょうか。自分でお酢を造ると愛着がありますので長く続きます。それに柿酢はそんまま飲んでも美味しいのです。
よく晩秋に利用されないままの実がたわわになった庭先の柿の木を見かけますが、あれを容器で保存するだけでこんなに美味しいお酢ができるのに実に勿体ない話です。野鳥の餌としても大切ですが、ほとんどが鳥に啄まれる前に落下していますので。。。
コメントの投稿