このごちゃ混ぜめしは一体なんでしょう。猫まんまではありませんよ。^^ これは新潟市の人気居酒屋五郎さんの五郎めしを模倣して作ったものです。ご覧のように納豆が使われています。納豆に刻んだ漬物やとんぶりなどを混ぜ込んで食べる習慣はみちのくでも普通に見られますが、納豆以上に多くのご飯の友を混ぜ込んだ豪華さが越後の五郎めしの特徴です。
実はこの五郎さんにはまだ行ったことがないのですが、新潟出身のおおさんから情報を頂き、その存在を知りました。このお店ではお酒の〆にこの五郎めしをオーダーする方がほとんどとのこと。結構、重そうに思えますが、大盛りで具材の種類も多い大五郎めしというのもあるので驚きです。さすが米処新潟ですが、同じ米処の宮城ではこれといった〆の定番めしはありませんね。
ネット情報を基に五郎めしのデフォルトをまず作ってみます。
お店の解説や画像からベースとなるのは、スープで炊いてバターで味付けた新潟米。具材には筋子、鱈子、塩辛、漬物、花鰹、梅山葵などでこれらを納豆がリエゾンします。納豆がなくても十分にご飯を美味しく食べられるおかずばかりですが、まずは模倣から学びます。ご飯だけは宮城県産つや姫を和風のダシで炊きましたが、発芽玄米を30%を混ぜています。これは健康のために続けています。^^
まず、丼(小型すり鉢使いました)に盛ったご飯に納豆を乗せます。そして、その周囲に具材を並べます。
納豆にはだし醤油と芥子で薄く味を付けておきました。卵白も使うとの記載もありましたが省略。見栄えも考えて具材を丼の縁に沿って彩りよく配置します。
最後にこんもりと花鰹を盛り付けます。右の本物の五郎めし(五郎HPより借用)と遜色ないでしょ。^^
あまり乗せ過ぎますと猫まんまにしか見えなくなりますので要注意。^^ 青葱の小口切りもパラリと振ってみました。
さて、五郎めしの食べ方ですが、このようなオーバーライス物を記事にすると、いつもコメントで議論になります。つまり、親子丼やカツ丼のように具材をおかずとして食べ進むのか、それとも卵かけご飯や納豆ご飯のように最初に全てを混ぜて掻き込むのか。
今回は議論の余地はありません。五郎めしには納豆も使われており、最初に全てを掻き混ぜてしまうビビンパ(混ぜめし)タイプの料理なのです。その混ぜ方にもこだわりがある方がおられるようで、妙に納得できる混ぜ方がyou-tubeで紹介されていました。詳しくはこちらでご覧下さい。
その混ぜ方とは、最初に具材だけを納豆に満遍なく混ぜるのです。
一気に混ぜるとご飯に均一に混ざり難くなるのでしょうか。
その後、ご飯と混ぜ合わせていきます。一気にエントロピーが増大しました。^^
確かにこうしますと納豆もよく糸を引き、ご飯と具材の馴染みもよくなるようです。
食べ方は箸で掻き込むのもよし、匙で口に運ぶのもよしですが、箸だと最後の方が食べ難いですね。
レンゲを使ってみましたが、なかなかよい具合です。それにしても、これは美味いな。最初、納豆が筋子や塩辛の美味さを打ち消すのではないかと心配したのですが、要らぬ事でした。相乗効果で美味くなっている。それに、お茶漬けのようにスルスル喉を通ります。
これで終わったら、料理愛好家の名が廃ります。五郎めしの三陸バージョンを作ってみましょう。
納豆の替わりに走りのメカブトロロを使います。最初、ご飯の上に甘酢生姜の千切りと煎り白胡麻を振り、中央部にメカブトロロを平らに伸ばします。その上に焼き銀鮭のほぐし身、イカの刺身で紅白に彩ります。さらにイクラを振り掛けてキラキラ丼風に。青葱より香りのよい長葱の細々も散らしています。メカブには割り醤油で強めに調味しておきました。
これもこうして頂きます。納豆がないためか、掻き混ぜめしでも色合いに品がありますね。
銀鮭の脂とイカの歯応えをメカブが取り持ってくれて何ともよい具合です。甘酢生姜が入っているのでちらし寿司のような味わいも感じます。イカはスルメイカよりヤリイカの方が合うでしょうね。三陸にこだらなければ最近、見かける東南アジアのモンゴウイカの刺身でも合いそうです。
このような掻き混ぜめしは今まで料理屋の商品としてはなかったのではないでしょうか。韓国のビビンパは別として、ご飯に合う何種ものおかずを客が卓上で混ぜ込んで食べるスタイルは日本ではかなり珍しいと思います。おそらく、これは食事の作法が影響してきたのではないかと思います。特に武士や茶人から見れば、これは品のない食べ方で御法度とされてきたはずです。昭和の家庭でも子供がこのような食べ方をしたら、親は叱ったはずです。
以前、大阪人のカレーライスの食べ方が、この掻き混ぜスタイルでカルチャーショックを受けたことを書きましたが、調べてみますと、現在の大阪でも決して品のよい食べ方とはされていないようです(関連記事)。ただ、料理として種々の具材がご飯に混ざった五目寿司や炊き込みご飯などは認知されているので、混ざった状態が悪いのではなく、卓上でおかずをご飯に混ぜ込む食べ方が下品とされてきたのでしょう。
確かに別々に作られた惣菜を一遍にご飯混ぜ混んで食べられたら、料理を作った側としてはムッと来ますよね。一品一品がそのままで美味しいように作っているのですから。でも、ビビンパや五郎めしのように最初から混ぜることを前提に少しずつのおかずを乗せたオーバーライスは発想を変えねばならないでしょう。これはこういう料理なのだと。それによって、このような新しい味わいに到達したのですから。それに地方ごとの五郎めしが創製できる発展性もありますしね。
旬魚酒菜五郎万代店 http://www.563.jp/
所在地 :新潟県新潟市中央区東大通2-3-15
電 話 :025-241-5601
営業時間 :17:30~翌1:30
定休日 :年中無休
駐車場 :なし
※ 古町店もあります。
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