仙台牛の脛肉で煮込み二品
カテゴリー: 料理:肉・卵・乳
昨年中はご閲覧、コメントありがとうございました。
寒さもこれからが本番。お酒を適度に呑んで乗り切りましょう。
喪中のため新年のご挨拶はご遠慮させていただきます。
今年、最初の記事は肉料理となりました。お肉屋さんにお願いして牛脛(すね)肉のブロックを買い求めました。スーパーでは時折、外国産の牛筋肉は見かけますが、国産牛の脛肉ともなりますと、滅多に並ぶことはないでしょう。
ただ、食肉市場からは片足分の塊でしか手に入らず、お肉屋さんでも滅多に売れるものではないのでその塊を買い取ることになりました。そして、半分を先月末の有馬記念パーティー(関連記事)で使い、半分は我が家で買い取ることにしました。年末年始に母や東京から帰ってくる子供達に馳走したいと思います。
脛肉と言いますと、安い肉というイメージがあります。実際に今回の脛肉も単価はたったの190円/100gでした。
肉の味は変わらないのに、硬いのと筋が多いので調理が大変なのです。でも、これをじっくり煮込んで、スプーンで食べられるほどに柔らかくしますともう、夢心地の味わいになるのです。
しかも、そんじょそこらの牛肉ではありませんぞ。黒毛和牛の銘柄の中でも特に基準が厳しい仙台牛の脛肉なのです。
仙台牛はA-5級かB-5級、畜産試験場が改良した銘牛茂洋号の血を引く最高級牛肉の味がする脛肉です。しっかりと気合を入れて調理させて頂きます。友スネと記載してありますが、後足の脛という意味です。船の艫と同じ語源でしょう。
脛と言っても牛ですから流石にでかい。原型のように立てるとその大きさに圧倒されます。私の太腿くらいありますね。^^
周囲に脂が覆っており、これらを掃除して歩留まりがどれくらいになるでしょうか。
特に堅そうな筋だけを外します。
加熱時間が異なりますので、別に扱います。
掃除して1人前ずつに切り分けます。
よく見ますと、透明な筋が何本か走っているのがわかります。
肉自体も硬いので、白ワインに擂り下ろしたキウイフルーツを混ぜた液に一晩浸します。
キウイの酵素を使った肉の軟化作戦です。風味付けに庭のベイリーフと畑のイタリアンパセリを使います。
翌日、キッチンペーパーで水気を取った脛肉の表面をフライパンで焼きます。
少し焦げるくらい周囲を焼き固めます。脂が溶け出てきますので、油は引かないでも大丈夫です。
2種類の煮込み料理にしますので、下煮の香り付けも変えています。
上は塩麹煮になる予定ですので、甘味付けに玉葱や人参、香り付けに長葱の葉、セロリ、ベイリーフを使いました。下はビーフシチューになりますので、炒めたフライパンをデグラッセして、焦げや旨みも回収して加えています。野菜のピュレも作りますので多めに入れています。香りも強めにニンニクやイタリアンパセリ、スパイス類もたっぷり使います。
両方とも最初強火、沸騰したら弱火で90分ほど煮込みます。
崩れるくらい柔らかく煮てしまいますと、引き続く、本煮に耐えられませんので、少し硬さが残るくらいで止めておきます。
下煮が終わりましたら、いよいよ、調味して本煮です。
引き続いて調理しない場合はスープと脛肉を分けて冷凍保存します。一緒でも良いかと思いますが、冷凍庫内で場所を取りますので。
こちらは塩麹の塩味だけで煮込んだ脛肉の塩麹煮。キノコ類と蕪を炊き合わせ、仕上げに菊花と春菊を散らします。
この料理は、昨年末の有馬記念パーティーでお出ししたものです(関連記事)。
もう一品は、定番のビーフシチュー。脛肉の本領発揮です。
下煮で取ったスープに赤ワインやトマトピュレーを加えて煮込んでいきます。
皿に盛り付けてあしらい物を添えて完成です。
時間をかけた甲斐のある逸品です。スプーンで食べられるくらいに煮込まれた脛肉は味も染みて大好評。これがただの牛肉では物足りません。脛肉は強い筋繊維とプルンとしたゼラチン質の筋が同居する食感の妙が実に素晴らしい。
お肉屋さんも脛肉を取り寄せられたことに感激したようで、今時、脛肉を料理してくれる一般の方なんて滅多にいないと仰ってましたね。そして、いつまでも肉談義をしてしまいました。^^ 精肉店としては手間は掛かりますが、このような安くて美味しい肉をもっともっと食べて欲しいのでしょう。日頃の生活に追われこのような面倒な料理はなかなかできませんが、記念すべき日やここぞという週末には脛肉をじっくり煮込んでみませんか。必ず苦労が報われますよ。全国チェーンの大手量販店ではなく、小回りの効く地元の精肉店も大切にしていきましょう。
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