前記事では玉葱をじっくり小一時間炒めてオニオングラタンスープを作りました。その過程で炒め玉葱を半量取り分けておきましたが、この炒め玉葱を使った素敵なピッツァをご紹介したいと思います。トマトソースもチーズも使わないさっぱりとしたピッツァです。このピッツァに初めて出会ったのは、フランスの地中海沿岸にポツンと存在する小さな国家モナコ公国のマルシェでした。
フランスのイタリアに近いプロヴァンス地域は、モナコも含めてイタリアと食習慣がよく似ています。言葉こそ違いますが、イタリア発祥のピッツァもあり、パスタもよく食べます。今回ご紹介しますのは、Pissaladière Niçoise(ピサラディエール・ニソワーズ)、つまりニース風ピッツァです。ニースはモナコに隣接するフランスの観光都市ですが、モナコでもそう呼んでいました。
モナコに行ったのはもう、二昔も前になります。色鮮やかなマルシェを散策するのがとても楽しかったです。
マルシェの片隅で例のニース風ピッツァを見つけて買って帰り、居候先でワインとともに楽しんでいるとマダムがチョリソーやホルモンの巻物(名称不明;白モツを何重にも巻き込んで加熱した物。バームクーヘンのように輪切りにして食べる)出してくれて、結局昼間から酒盛りになるのでした。とても懐かしい思い出です。
さて、ニース風ピッツァの作り方ですが、生地は通常のパン生地を使います。生地作りはこちらを参考にして下さい。生地は通常のピッツァより薄めに伸ばします。
生地をピッツァ・ストーンに合わせて四角く伸ばしています。ピッツア・ストーンを使いますと石釜焼きのように生地の裏側までカリッと焼くことが出来ますよ。左の写真のようにピッツァストーンの裏面はラジエターのように熱交換がしやすい構造となってます。ピッツァ・ストーンは生地を乗せる前に200℃で15分ほど予熱しておきます。
熱したピッツァ・ストーンに生地を乗せて、炒め玉葱を伸ばし、黒オリーブと細切りにしたアンチョビーを飾ります。
ピッツァ・ストーンが熱いので、注意しましょう。アンチョビーが塩辛いので炒め玉葱には塩胡椒でごく軽めに味付けしておきます。オリーブは必須で、この場合は風味の強い黒でなければなりません。
200℃で15分ほど焼き上げます。これは小型ながら高性能のイタリア製デロンギコンベクションオーブンです。
このサイズのピッツァなら2枚同時に焼けます。このオーブンは場所も取らないので実に重宝しています。かれこれ10年は使っているでしょう。
焼き上がりました。ピッツアァ・ストーンの威力はこの裏面の焼き上がりです。
本当に生地がクリスピーに焼き上がります。ストーンの素材も多孔質なので生地の下側に水蒸気が籠もりません。ピッツアァ・ストーンにも色々種類があるようですが、こちらを参考にしてみて下さい。冷凍ピッツァも石釜焼きのようになりますよ。
ピッツァ・ストーンのまま食卓に出せば、保温効果もあって、食べ終わりまで熱いピッツァが頂けます。
炒め玉葱の濃厚な甘さとアンチョビーの塩辛さが口の中で絶妙に融和して奥の深い味わいとなってます。仕上げに粗挽きの黒胡椒を振っても合いそうです。
生地が余りましたので、即興でフォカッチャも焼いてみましょう。
平たく伸ばした生地に黒オリーブと庭のローズマリーを差し込みます。続いて、オリーブオイルを塗ってから、粗塩をパラパラっと振ってからオーブンに入れます。
フォカッチャは少しふっくら焼き上げます。
ローズマリーの香りが全体に行き渡って、日常的なパンとは異なるオーラを発しています。ローズマリーの代わりにニンニクの細切りを差し込んでも美味しいですよ。
本日のランチは懐かしいプロヴァンスへの憧憬からオニグラスープとニース風ピッツァを作りました。おまけにイタリアのフォカッチャまで添えました。
この後、車で出かける用事がありましたのでワインは開けられませんでしたが、なにか物足りないですね。^^ これにツナとゆで卵が入ったニース風サラダも加えますと立派な食事になりますね。
炒め玉葱の魅力が最大に発揮できるオニグラスープとニース風のピッツァ Pissaladière Niçoise。オニグラは熱々が命ですが、ピサラディエールはチーズが乗っていないので冷めても美味しく頂けます。これらを同時に作る場合、生地を一次発酵させている間に玉葱を炒めれば、だいたい1時間半で仕上がります。休日のブランチや遅めのランチにもピッタリですよ。


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