からすみ 2012

カテゴリー: 料理:買い魚

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 今年もまた唐墨(からすみ)を作りました。今回で何度目でしょう。過去にも二度ほど記事にしたことがありました。もちろん、ボラの卵巣はみちのくでは手に入りませんので、スズキ天然ブリの卵巣で代用しています。極上品のからすみの味は知りませんが、熟成した魚卵の味わいには変わりなく、日本酒とのマリアージュは天下一と言えましょう。


  過去のからすみ作りの記事はこちらです。


 唐墨(からすみ)作りに挑戦しました(ブリ卵巣)

 自家製からすみの勧め(スズキ卵巣)


 仙台湾のスズキの産卵は冬なので、からすみを天日干しする時に気温の心配は要らないのですが、天然ブリですとこの季節になりますので、半月以上も暖かい空気に曝して大丈夫かといつも不安になります。でも、長崎近海でボラの産卵群が漁獲され始めるのが10~11月頃ですから、この時期の長崎の気温が当地の5月の気温より高ければ問題ないわけです。
で、早速比較してみました。



 長崎と仙台の年間気温を比較しました。データは気象庁のHPからダウンしました。 
気温比較

 結果はこのグラフのとおりで、長崎の10月下旬から11月上旬は仙台の5月より暖かいのです。要らぬ心配でしたが、これで不安は解消されました。仙台湾のスズキはしばらく入手できないでしょうから、今後はこの時期に獲れる天然ブリの卵巣を原料としてからすみを作っていきます。





 からすみの作り方は上記の過去記事にも詳解していますが、軽くおさらいです。まず材料の卵巣ですが、破けていないものを求めます。ちなみにこれは天然ブリ卵巣で一腹380円でした。
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 たぶん、煮付け用として販売されているのでしょう。1カ月近くの時間と手間のかかる作業ですので、まとめて何腹分も作っておきたいところですが、残念ながらこの1パックしか残っていませんでした。





 まずは、水道水でそっと洗います。細い血管を太い方へと押しやるとが流れ出します。
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 商品にする場合は血抜きを完全にしますが、やり過ぎて卵巣膜に傷でも付けたら元も子もなくなります。仕上がりが血走って多少見栄えが悪いのですが、味は変わりありません。気にしないで行きましょう。




 洗った卵巣にたっぷり自然塩を塗して、2~3日置きますと生臭い水が出てきますので一旦捨てます。
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 塩を足してさらに4~5日漬け込めば、潰れてシワシワになってきます。漬け始めから1週間ですね。


その後、水道水で半日から1日かけて塩抜きします。 
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 塩抜きの加減はどうしても経験が要ります。私は1週間塩漬けしたら、1日塩抜きをしています。流水ではなく、時々水を換えています。以前、塩抜きの後に日本酒に漬けたりもしていましたが、今回は抜きで味を確認します。





 いよいよ、乾燥作業に入りますが、これは長期戦です。雨・蠅・猫との長い闘いが始まるのです。最近は網カゴを使ってますので蠅と猫は敵ではなくなりました。^^
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 冷蔵庫の中だけでも紙干しを併用すれば乾燥は進むのですが、やはり太陽の力による味の熟成を信じたいですね。単身赴任なので週末は自宅で、平日は気仙沼で干し上げます。




 そして雨の降りそうな日には冷蔵庫に仕舞うを繰り返します。2012karasumi7.jpg
 10日ほど経過しますと色が濃くなってきて周辺部が硬くなってきますが、まだ中心部はぶよぶよです。さらにこまめな管理を続けます。

 



 干し続けて2週間、ギリギリで先日のダービーパーティーに間に合いました。
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ベッコウ色で艶やかに干し上がれば完成です。ゴムの板くらいの硬さになればよいのです。途中、板に挟んで重しをして形を整えます。中心部分と外側とでは硬さに差がありますが、酒を塗りラップに包んで冷蔵庫でしばらく寝かせれば均一になります。



 ねっとりとした食感と魚卵の熟れた味わいが素晴らしい。
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 血管の血走りはご愛嬌。味は少なくとも台湾やイタリアのカラスミには引けを取りません。




 お披露目の当日にはこのような大皿盛になりました。
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 食通の皆さんにご賞味頂きましたが、悪い評価はなかったようで一安心。
 




 
からすみを自分で作るまでは、手の届かない天上の佳肴と思い込んでいましたが、手間を惜しまなければ、比較的失敗なく作れるのです。ポイントはの破れていない卵巣を選ぶことと塩抜きの加減、それに天候を見て太陽に当てながら干し上げることでしょうか。3週間近くかかりますので、一度に数腹分以上の卵巣で作りたいものです。その苦労が報われる口福を体験できるでしょう。一口齧ってよく噛んで、旨味と塩味が回った頃、冷や酒の追い打ちをかけると昇天するほどの感動があります。^^

2012/06/02(土) 05:00 | trackback(0) | comment(6)
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あいしゅ

URL | [ 編集 ] 2012/06/02(土) 09:52:41

おはようございます、サエモンさん

産地表示すれば、気仙沼産になるんでしょうね

昇天してみたいワ ( ̄▽ ̄;)!!ガーン

サエモン

URL | [ 編集 ] 2012/06/03(日) 09:42:42

 >あいしゅさん

 こんにちは。そういえば、ブリの卵巣の産地を
確認しませんでしたね。でも、加工食品ですから
原料の産地表示はなくてもOKなんです。^^

 からすみが高いのは手間なんですね。原理は
簡単なので、大きな卵巣を見つけたら是非トライ
してみましょう。

anego

URL | [ 編集 ] 2012/06/03(日) 12:16:22

唐墨が高価な珍味というのもナットクです。。
これだけの手間ひまかかったものを、ぱくりとひとくちでゴックンしたら
バチがあたるというものですね^^
ところで、一腹(左右)の切り離しのタイミングは乾燥前ですか?

サエモン

URL | [ 編集 ] 2012/06/03(日) 13:29:26

 >anegoさん

 さすが、着目点が鋭いですね。そうなんです。
卵巣膜が破れたり、穴が開いていますと、塩抜きの時に
内部に水が入り過ぎてしまいます。それに塩抜きのムラ
も大きくなるのです。

 ですので、一腹分を繋げたまま塩抜きし、そのまま
乾燥させて、表面が固まってきたら切り離します。

 からすみ用に卵巣を取り出す場合は、総排泄孔
(肛門と輸卵管が合体)の周辺の肉も付けて切り離し
ます。長崎の生産現場ではくっ付いた一腹卵巣の
間に白い皮の欠片がついている光景が見られます。
これも後で取り除きますけど。

びーえむあい

URL | [ 編集 ] 2012/06/10(日) 00:20:23

からすみ” と言ってもいろいろあるのでしょうね
以前スペインの市場でからすみ専門店のようなお店に遭遇いろんな味”に出会ったのを思いだしました ♪

サエモンさんのからすみ” んまかったですねえ~
手間がかかるからこそ なをんまい♪
酒に どんぴしゃ!
※ レシピ 記事 んまいもんにリンクさせていただいてもよろしいでしょうか? お願いいたします。

サエモン

URL | [ 編集 ] 2012/06/10(日) 14:52:37

 >びーえむあいさん

 海外にはタラやマグロの卵巣で作ったカラスミもありましたね。
最近、日本でもマグロのカラスミ作りが始められています。

 イタリアで作られるボッタルガは日本と同じ種類のボラの
卵巣を使っています。ただ、作り方は日本の方が上ですね。
パルメジャーノのように擂り下ろしてパスタに使ってました。

 仲間内でのリンクはどうぞお気軽に。^^











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