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焼きメカブか、炒めメカブか。。。

カテゴリー: 料理:海藻

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 またまた、メカブの話題です。再生しつつあるワカメ養殖も順調な水揚げが続き、品薄のため高値で推移しています。養殖ワカメも間もなく終盤戦。名残のメカブでどうしても決着を付けておきたいことがあります。


 近頃、メカブを焼いて食べる焼きメカブが家庭にも広まりつつありますね。沿岸域で働く私たちは、焼きメカブと言いますと、浜で養殖業者から長い茎がついたまま1本頂き、茎を持って焚火で焼いて、そのままかぶり付くものです。真水で洗わないのでかなり塩辛いのですが、甘みも湯がいたものより強く感じます。

 湯がいたメカブは粘りが強調されるのでとろろには良いのですが、甘味は少し薄れるように感じます。茹でるのと焼くのは何が違うかと言いますと、同じ加熱でもその媒体がであるか空気であるかという点です。焼きますと空気中には甘味が逃げないし、脱水も進みますので味も濃くなるのでしょう。

 とすると、加熱媒体を鉄板にしても同じメリットが得られないか。。。つまり、炒めるですね。ちょっと、気になり始め、さっそくメカブを買い求めてきました。握り拳位のが3つで200円。あまり大きなメカブは硬いので、これくらいの大きさを選びます。



 よく洗って少し乾かしたメカブはまな板の上に立てて、包丁の刃先で茎と耳(成実葉)を切り離します。
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 この状態のメカブを削ぎメカブと言って、浜から出荷される一形態です。付加価値が付いて丸物より高くなります。洗ったばかりのメカブは粘液でヌルヌルして扱い辛いので少し乾かします。


 今日は焼きメカブ炒めメカブの比較を行います。それぞれの前処理は異なります。
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 焼きは長いままの方が扱いやすく、炒めは一口大に切らない加熱むらが生じます。もちろん焼きメカブも加熱してから、食べやすく切る予定です。



 まずは、焼きメカブから。焚火と言うわけには行きませんので、魚焼き用グリルを使います。
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中火で5~6分を目安として、焼きむらがあるようでしたら、位置や向きを変えてあと1~2分焼いて下さい。綺麗な緑に焼き上がりましたら、一口大に切り分けます。


 続いてこちらは炒めです。味も比較しますので油は使いません。
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 油なしで炒めたのは初めてなのですが、粘液がフライパンに張り付いて乾き、オブラートのようになっています。


 判定です。左が焼きメカブで右が炒めメカブです。
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 見た目は全く変わりありません。ただ、出来立ては炒めの方が少し粘りが強かったのですが、時間が経つとこれも差がなくなりました。食感や食味ですが、目を瞑って全神経を集中させて食べても殆ど差がありません。僅かに焼きメカブの方が甘いようにも思えますが、メカブ自身の個体差の範囲内でしょう。


 結論です。焼きメカブ炒めメカブも水分が飛んだ分、茹でより甘味・旨味も濃くなりますが、焼き炒めとでは食感・食味に差は見られません。と言うことは、フライパンにこびり付いた粘液を洗う手間を考えると焼きメカブの方が調理法としては優れていると思います。



 で、仕切り直して焼きメカブを料理として仕上げます。刻みネギと削り節を天盛りして、甘味なしの薄味ダシ醤油を添えます。
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 これが私の食べ方ですが、気仙沼市民は信じられないものをメカブにかけて食べています。




 気仙沼市民 カミングアウト!!


 気仙沼市民はメカブに浅漬けの素をかけて食べるのが大好きなんです。




 これです。これはうま造りという浅漬けの素なのです。ベタなネーミングにも好感が持てますね。^^
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地元の(株)平野本店さんが製造しています旨味調味料(1ℓ498円)です。スーパーのダシ醤油の棚でも、このうま造りだけが飛ぶように売れる気仙沼市民の必須アイテムなのです。使用方法の解説にもちゃんとメカブ(芽かぶ)が記載されていました。



 これが気仙沼流メカブの食べ方なのです。市民に「気仙沼以外では、だれもメカブに浅漬けの素をかけませんよ。」と言いますと、「うそだべ!?」となります。^^
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唐辛子の粉が入っているのでピリッとした刺激があり、これも気仙沼市民を惹き付けて止まない一要素かも知れません。添加された甘味がメカブの仄かな甘さを感じさせなくなるような気もしますが、ダシを取る手間が要らず独り暮らしには何かと便利そうです。


本来の使い方はこのような浅漬けなので、さっそく使ってみると確かに佳い具合。yakimeka12.jpg
 
春キャベツにメカブも加えて、少し粘る浅漬けになりました。気仙沼での朝ごはん用にたっぷり作って持っていきます。



 試しにカツオの刺身の余りを浸して漬けにしてみました。
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 ん~、ちょっと微妙かなぁ。複雑な旨味や甘味がカツオ本来の味をわからなくさせます。癖のある青魚の漬込み液としては使えるかも。サバなんかを漬けて焼いたら美味しそう。

 名残のメカブ焼きメカブ炒めメカブを検証しましたが、食味食感とも差がないことが判明しました。炒めメカブはフライパンに焼き付いた粘液の掃除が余計であるとしましたが、を用いた通常の炒め物であれば、そのようなこともなく、炒め物の具合としてメカブは適しています。過去の記事でもいくつかメカブ炒め物を紹介していますので、最後にそれらをご紹介しておきます。




   炒めメカブのオーバーライス               メカブ炒飯
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 作り方
はそれぞれの料理名から掲載記事に飛んでご参照下さい。
   

2012/03/27(火) 05:00 | trackback(0) | comment(6)
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とあ

URL | [ 編集 ] 2012/03/27(火) 09:39:17

めかぶと浅漬けのもと(@_@;)
そうなんですね、トコロ変われば食べ方も
変わりますね、面白い(笑)

ぺこりん

URL | [ 編集 ] 2012/03/27(火) 12:34:52

この浅漬けのもとは結構しょうゆが多そうですね。
私は前はポン酢でしたが、最近はほとんど麺つゆかけてオンザライスですね~。

サエモン

URL | [ 編集 ] 2012/03/28(水) 06:40:51

  >とあさん

 おはようございます。
浅漬けの素も考えようによっては
ダシ醤油と似た旨味調味液ですね。
唐辛子の刺激もよい具合です
色々試してみようと思ってます。

サエモン

URL | [ 編集 ] 2012/03/28(水) 06:56:31

  >ぺこりんさん

 コメントありがとうございます。
はい、醤油がベースのようですが、
浅漬け用なので薄口のように色が
淡いのです。もちろん、旨味調味料
は添加されていますが、それほど
どぎつい味ではありません。
 メカブポン酢も美味しいですね。
私も時々やってます。

lucky

URL | [ 編集 ] 2012/03/29(木) 10:19:42

浅漬けの素(笑)(笑)
飲んでいたお茶を吹きそうになりましたよ!
でもまぁ麺つゆみたいなもんかぁと思うと分からなくもないですが・・・。
なんだかせっかくのメカブが化調味になっちゃうのかなぁと思ったら、
美味しそうな浅漬けの素なんですね。
気仙沼っ子の必須アイテムなんでしょうか。なんだか微笑ましいです^^

安曇野にいた時、地元の人は「テンヨのビミサン」が家にないと不安になるって言ってました。私にしてみれば何それ?って調味料だったので、県民性というか所変わればだなぁと笑ってしまったのを思い出しました。
テンヨのビミサンとはコレ↓です。要は醤油辛いつゆです(笑)
http://www.tenyo-takeda.co.jp/syouhin/sihan/syouhin_info_bimisan.html

サエモン

URL | [ 編集 ] 2012/03/29(木) 21:10:03

 >luckyさん おばんです。

 仰る通りで、この製品も化調は含みますが、
あの独特の不快さはあまり感じませんでした。
ただ、焼き物や炒め物でどうなるか今後の懸案
です。^^

 一応、メーカーの謳い文句をかりますと、、、

当社の看板商品、浅漬けの素「うま造り」は従来の一品料理専用調味料と異なり、浅漬けの素の商標にこだわらず、どんなお料理にでもお使いいただける”万能うま味調味液”です。唐辛子の入った甘辛~い、塩分を控えめにしたうすくちのお醤油です。ダシの旨味に唐辛子がピリッと効いて、お料理の手助け間違いなし!食材の持ち味を引き立てるプロも認める評判の逸品です。一般のお醤油と比べると唐辛子の赤みがかかった透明感のある淡い色で、食材の色や風味を大切に仕上げます。
http://hiranohonten.com/?mode=f6


 だそうです。^^

 テンヨのビミサンも成分はかなり似通ってます。ご当地にはそれぞれ
昔ながらのインスタント旨味醤油が根付いているかも知れませんね。



 











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