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【保存版】フィデウアFideuaに関する考察(2)

カテゴリー: 料理:麺類

 前記事に引き続きフィデオFideoやフィデウアFideuaに関する話題です。前の記事で日本に広まっているフィデウアスペインのものとはかけ離れており、スペインではマカロニタイプのパスタを使うフィデウアカッペリーニような極細パスタを使うフィデオがあることが明らかとなりました。


 どちらもお米で作るパエリアPaellaを細かいパスタに替えたものであり、長いパスタは使われません。作り方も両者ともパエリア同様、パエジャーラ(パエリア鍋)で具材とともにスープで炊き上げるのです。そこで、バルセロナの懐かしのフィデオを再現してみましたが、パスタ水分の量的関係がレシピごとに違っていて納得の行くものは出来ませんでした。なにせスペインのレシピではスープの分量はパスタの重さの2倍から4倍までと滅茶苦茶幅広い。


 スペイン人がアバウトなのか、仕上がりのストライクゾーンが広い料理なのかわかりませんが、今後のために自分で見つけ出すしかないようです。そこで、実験です。一定量のパスタに重量倍率で×2×3×4スープを加えて煮てみようと思います。





 まずはフィデオに使う極細パスタの代用として、0.9mm(標準茹で時間2分)のカッペリーニを用います。
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 150gのカッペリーニを長さ2~3cmにポキポキ折りました。これを50gずつに分けて、それらを100g(×2)150g(×3)200g(×4)のスープで煮て行きます。煮詰まって水分がなくなり、パスタがチリチリと鳴り出したら終了で、途中での追いスープはしません。煮詰めるのでスープもかなり薄味にしています。



 
 最初はスープ100g(麺重量×2)で試します。
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 実験ですからパスタも少量となります。この量に見合うフライパンがないので、卵焼き器を用いました。^^
  



 弱火にしていますが、水分がどんどんなくなります。
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 煮始めからチリチリ鳴り出すまでの時間も測定します。




 標準茹で時間の2分を過ぎて、2分30秒でゴール。テフロンでもパスタがくっ付き始めています。
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 たっぷりのお湯で茹でるのと違い、空気に触れている部分が多いためか、茹で時間を過ぎてもドンピシャリのアルデンテ。パスタの歯応えが楽しめます。





 続いて、スープ150g(麺重量×3)の実験です。先ほどと違って茹でる感じのスタートです。
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 ヒタヒタよりも少し被り気味のスープです。





 茹で時間の2分を経過してもまだ水分がかなりあります。
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 これは柔らかくなりそうです。



 
 予想通りパスタとしては茹で過ぎですが、食感は良い具合に茹った素麺のようです。
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 これはこれで美味しく食べられますね。パスタだと思うと許せませんが。^^





 結果が見えてますので気が進みませんが、スープ200g(麺重量×4)です。普通にパスタを茹でる感じです。
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4分経過してもしゃぶしゃぶです。何だかつらいなぁ。^^





 想像できますね。下手な人が作った沖縄のソーミンチャンプルーのようでヘタレた麺がベト付いています。
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これはあり得ないでしょう。でも、食べ物を粗末には出来ないタイプなので食べましたけれど。^^





 もう一度出来上がりを一括掲載して比較します。
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 ×2(上)はまだパスタがシャキッとして張りがあり、歯応えも楽しめます。×3(中)は色も白くなり、ボリュームも出てきますが、素麺の食感。×4(下)は延びた素麺、この分量はあり得ません。


 結論として、極細麺のフィデオにはパスタ重量の2倍の水分が適量となりました。もちろんトマトの水煮缶などを使う場合もそのジュースも水分量に加えます。そして、水分の多い具材を用いる時は水分量も加減します。仕上げにオーブンで焼く場合は、2分で火から下ろし、210℃のオーブンの中へ速攻で放り込みましょう。


 フィデオは極細パスタで作りますから、今回の結果が使えますが、マカロニタイプのパスタを使うフィデウアの場合は、また異なる水分量になるでしょう。スペイン産フィデウア用のパスタが手に入ったら、また試してみます。ちなみに日本で広まっているフィデウアもどきスパゲティーニの場合はどうでしょうか。ちょっと、気になりましたので、同じ実験をやってみました。





 使いましたのは、1.4mm、標準茹で時間6分のスパゲティーニです。
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 フィデウアですから、当然、細かく折っておきます。カッペリーニと同様、50gずつ3セットに分けます。




 結果だけお見せします。これはスープ100g(麺重量×2)ですが、茹で時間以前の5分20秒で水分がなくなりました。
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 従って、アルデンテどころか、芯がガチガチして食べられません。




 続いて、スープ150g(麺重量×3)ですが、茹で時間をかなり過ぎた7分40秒でゴール。
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 ところが、これがドンピシャリのアルデンテ。カチカチもせず、腰があって芯が少し硬い最高の茹で上がりです。




 これはスープ200g(麺重量×4)の仕上がりです。9分45秒も掛かりました。
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 アルデンテは通り越していますが、昔の日本のスパゲティーはこんな感じでした。食べられないことはありませんが、パスタの本来の美味しさを発現できていません。






 カッペリーニスパゲッティーニの水分重量倍率と出来上がりの時間の関係をグラフにしてみました。
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 カッペリーニスパゲッティーニも当然ながら、水分が多くなるほど仕上がりの時間はかかります。メーカー推奨の標準茹で時間はカッペリーニが2分で、 スパゲッティーニが6分です。最も美味しくパスタが仕上がるエリアを緑の破線楕円で囲っています。カッペリーニでは水分倍率2倍だと大体2~3分で食べ頃になりましたが、スパゲッティーニでは約6分で水分がなくなる2倍量では食べられず、7分半かかる水分倍率3倍がベストとなりました。カッペリーニより太さが増して、2倍量では芯まで水分が行き着く前に蒸発してしまうからです。

 
 従いまして、カッペリーニの場合は、水分量を重量の2倍を中心にして加える具材の水分も勘案しながら決定します。1.4mmのスパゲッティーニの場合は3倍量の水分を中心にして加減します。特にオーブンで仕上げるフィデオの場合は、その間にもパスタは延びますので水分は少な目にするのがコツのようです。


 この基準があれば、少量ずつスープを足しながら焦げ付きを気にして絶えず掻き回さなくて済むでしょう。掻き回せば掻き回すほど粘りが出てきますので。次の記事では、日本に広がったフィデウアもどきにも挑戦します。^^



 【追 記】

 同じ1.4mmのスパゲッティーニでも、DE CECCO (ディチェコ)のように硬質なデュラム小麦100%で製造されたものはメーカー指定茹で時間が9分と長くなります。この場合は一応3倍で煮始めて、水分がなくなった頃に歯で確かめて、必要であればスープを足してください。

2012/04/08(日) 05:00 | trackback(0) | comment(0)
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