【気仙沼市】龍伝説と布海苔
カテゴリー: 料理:海藻
気仙沼湾の湾口部に位置する岩井崎に龍の形をした松があると新年早々話題となりました。近くの琴平神社に初詣に来た方が見つけたとされています。私も昨年からここには何回も足を運んでいますが、さっぱり気付きませんでした。さっそく行ってきましたが、津波によって折れ残った松の木が見ようによっては龍に見えるのです。でも、言われてみて初めて、「なるほどね。」という感じですね。
口の辺りはチェーンソーで切られていますが、それが絶妙な位置に決まり、目の部分も折れた小枝の跡であり、偶然がうまい具合に重なっています。
今年は辰年ですから、この海を睨む龍松を災害からの守り神として、また、復興のシンボルとして崇めることは日本人の心を動かしますね。
実は気仙沼には以前から、龍にまつわる伝説が多く残されています。これは気仙沼湾を一望できる安波山(239m)の展望台からの光景です。
山の中腹に駐車場があり、そこから少し登れば展望台『ひのでのてらす』があります。この安波山を含む山並みは龍に例えられており、その先端が大島の最南に位置する龍舞崎になります。大島には乙姫窟や亀島など浦島太郎伝説に所縁のある地名も残っており、龍神信仰もあります。そういえば、浦島太郎は竜宮城へ行ったのでしたね。竜宮城=竜+宮城。。。偶然ですね。^^ なお、大船渡線の愛称をドラゴンレールとしたのは、当時流行っていたドラゴンボールともかけてあるのですが、沿線に龍にまつわる伝説が多かったからだそうです。
展望台への登り口には夫婦(めおと)と思わせる青と赤の龍の胸像が狛犬のように配置されています。
登山道を上ると所々に龍の背中を表現したオブジェも見え隠れして、なかなか憎い演出です。
再び岩井崎に戻りますが、先端の潮吹き岩周辺の岩礁にはたくさんの布海苔(ふのり)が生えておりました。マツモとともに春告藻ですねぇ。
ただ、これを採ってはなりません。磯の海藻も漁業を営む方々の収入源となってますし、共同漁業権で守られています。手を出しますと、場合によっては、官憲の介入を招くことになります。^^
この周辺は他の海藻類はあまり見かけず、この布海苔が優占しています。
茎が中空になっておりますので、正確にはフクロフノリですね。マフノリとともに食用とされています。よく、乾燥された紫色の布海苔が流通していますが、生きている時はこのように少し焦げ茶色がかっています。生の布海苔はチャキチャキ、カリカリとした食感が歯に心地よく、初春の嬉しい味覚です。
さっそく、仕事帰りにスーパーに寄りますと、案の定、生布海苔が並べてありました。これも海辺に住む者の特権ですね。^^
ワンパック買い求めましたが、100gで100円もしませんでした。布海苔の料理としてキャベツとの酢醤油漬けや新潟のへぎそばなどを過去の記事でご紹介しましたので、今回はまた別なものにしませんと・・・。
とは申しましても初物は、まず、オーソドックスな定番料理でシンプルに楽しみます。
朝ご飯のおかずに、布海苔納豆と布海苔の味噌汁です。どちらも生布海苔をぱっと盛り付けただけです。^^ 暗くて寒いのですが、朝ご飯も五穀米を炊いて、しっかり食べています。納豆に生布海苔のようなカリカリした食感の物を加えて食べるのが好きなんです。布海苔以外では、人参の千切りなんかもいいですね。汁物の場合は、出来上がりにさっと加えれば、歯触りが楽しめ、少し煮込めばとろみが付いた汁となります。
こんな食べ方も面白いですよ。布海苔入りの焼きそばなのですが、味は付けておりません。
これは山口県の瓦そばのように、温かいやや薄味なそばつゆに浸けながら頂きます。焼きそば用の蒸し麺を弱火で両面こんがりするまでじっくり炒め、好みの野菜を加えて炒め合わせ、最後に生布海苔を加えます。布海苔の食感が良い変化を与えてくれます。そうそう、焼きそば用の麺を買いますと粉末のソースが付いてきますね。それを上記のそばつゆに少し加えますと、つけ麺風黒石つゆ焼きそばの味になりますよ。^^ ほんと、やってみて。
これもご飯の友として最適。薄めた麺つゆで布海苔を炊いてライトな佃煮風にしました。
出来立てはマツモの佃煮と似ていますが、冷めるとお餅のように固まります。いわば布海苔の煮凝りですね。これをアツアツご飯に乗せて溶かしながら食べるのです。これはなかなかの妙味ですよ。手に入れやすい乾燥布海苔でも作ることができますので、是非やってみて下さい。
ドラゴン伝説の街、気仙沼にもやがて春が来て、日中に潮が引くようになりますと、浜では海藻やツブ(食用小型巻貝)の採捕が本格化します。幸い布海苔は震災の影響を受けていないようなので安心しましたが、マツモやツブは大丈夫でしょうか。これらは女性や高齢者でも採ることのできる手軽な漁業で大切な浜の副収入源なんです。昨年は各浜で収穫が始まったばかりの時に大震災が発生し、それからは無我夢中の日々が続きました。あれから、間もなく1年。漁業や養殖の復興はまだ時間がかかりますが、磯の布海苔はまた今年も生えてきてくれました。お店で布海苔を見かけましたら、こんなことも思い浮かべて買い求めて下さいませ。
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