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【気仙沼市】復興屋台村 気仙沼横丁

カテゴリー: 外食:居酒屋・割烹

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 気仙沼
で過ごす休日に安波山から望む気仙沼湾は実に穏やかに煌めいております。今年は日本の歴史において、また、私の人生においても忘れることのできない年となりました。あれから、9カ月が過ぎ、あのような悪夢があったことを忘れている時間も多くなりました。被災地で働いていてもそうですから、被災のなかった地域の方々にはもう過去の出来事となりつつあるのかも知れません。



 でも、2万人近い尊いを瞬時に失うという歴史的な惨事に遭遇した私たちは、この悲劇を繰り返さないためにも次の世代、また次の世代へと語り継いで行かねばなりません。それと大震災の後に何が使えて何が役に立たなかったか、さらに何を備蓄しておくべだったか、喉元過ぎても熱さを忘れないようにしましょう。何百年に亘り、言い伝えを忠実に継承した神社仏閣は沿岸部でも被災を逃れている所が多く見られます。産業活動を考えますと沿岸の平地が便利ですが、住居は高台に置くべき事を示唆しています。



 さて、この大震災の年が過ぎゆく前に現在の気仙沼の状況を記録しておきたいと思います。9カ月が過ぎてここまで片付いたと見るか、9カ月で出来ることはこれだけかと見るか、評価は様々あると思いますが、現実を記録しておくことは、今後、いつどこで起こるとも知れない大震災の復旧に資するものと考えます。




 

 これは安波山の登り口に近い気仙沼の鹿折地区です。最も湾奥にあるこの地区は、大型漁船がいくつも陸地に乗り上げました。
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 津波で破壊された燃料タンクの油に火が付き、陸上にも類焼した地域です。3月11日の夜には自衛隊のヘリからの中継が流れました。現在もまだ、大きな船が被災した住宅の横に取り残されています。





 ここは大島へ渡るフェリーの発着所、エースポートの角となる魚町の交差点です。後方のレトロな建物は酒造メーカーの男山本店さん。写真左上の絵は被災前の本店です。 
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 資材不足のためか、交通量が多いにもかかわらず、未だに信号は復旧しておらず、全国から派遣された警察官が手信号で捌いています。男山本店さんは歴史的な建造物ですが、津波で1階と2階の部分が潰れて3階部分だけがそのまま残りました。幸い酒蔵は海岸より200mほど離れており浸水しなかったので、銘酒伏見男山は今も生産が続けられています。写真中の絵は男山本店さんのHPより引用させて頂きました。 




 

 エースポート前の道路はこのように70cmほど嵩上げられました。
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 しかし、側溝を通じて満潮時には海水が入ってきて道路以外は海になります。嵩上げ道路以外の所へ行くためには潮が引くまで待つしかありません。




 
  エースポート背後の南町周辺ですが、かなり空き地が目立つようになりました。
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 倒壊した店舗もまだ全部撤去されず、震災直後の痛々しい姿が所々で見られます。


 




 南町交番の所までやってきました。前方に紅白の幟旗がいくつも見えますね。
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 いっぱい車も集っています。被災した地域に何やら元気なオーラを感じます。


 
 
 ここは去る11月26日にグランドオープンいたしました復興屋台村気仙沼横丁です。
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 プレハブの横丁風屋台村です。私が拙い文章で説明するより、公式サイトの宣伝文を引用しましょう。
 
      3.11で店を失った店主たち。店はない、包丁すら流された。
    でも「腕」はある。

    そんな店主たちが、再起をかけて挑む屋台村での奮闘。
    思うように調理器具も揃わないけれど、それでも「おもてなし」
    の心と、港の味は健在。

 



 それでは、ご案内しましょう。赤提灯が連なる夜の街の雰囲気ですが、ランチタイムにも営業しているお店も多いのです。
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 ラーメンや手打ちうどん、寿司に韓国料理まであります。16の屋台風飲食店(3店準備中)に6つの水産物・農産物販売店で構成されます。



 
 まぐろ中落ち丼800円に惹かれてこのお店に吸い込まれます。
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 元マグロ漁船の料理長だった菊池さんが腕を振るいます。夜の部ではマグロの漁師料理やマグロ漁船ならではの珍味で酒が呑めるそうです。



 
 店に入りますと思いっきり居酒屋でした。^^
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 と、いきなり先客が「おーい、お客さんだよ~」。。。えっ! どうやら、漁師仲間のたまり場にもなっているようです。すぐに奥さんが出てきて、「今朝は寒かったねぇ~」。まるで常連さんのように扱ってくれました。



 

 もちろんお目当てはまぐろ中落ち丼です。
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 味噌汁と香の物も付いてます。他のお客様も大体こちらを頼まれているようですね。



 
 あれ、、、ずいぶん白っぽい剥き身ですねぇ。これがマグロだとしたら、ビンチョウかキハダか。
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 ところがどっこい、脂も適度に乗って、肉質もぷりんとした硬さがあります。なんだろう、食べたとことのない剥き身です。



 
 醤油を垂らしながら食べ進みますが、この剥き身の謎が深まります。
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 ご飯は酢飯ではなく普通の白飯ですが、この大量の剥き身には白飯の方が合っています。それにしてもこの歯応えの正体は何だろう。帰り際に奥さんに、「あのぉ、今日の中落ちはビンチョウでしょうか?」と尋ねると、奥さんもわからなく、親方が「メカだ。」と一言。


 な~るほど、頭の中にメカ、すなわちメカジキの剥き身という想定が全くなかったです。ですから、あの強い食感と脂が同居したのですね。いやはや、確かに世間では、カジキのことをカジキマグロとも言いますよね。意表を突かれた美味しさでした。^^




 

 どーしても、この横丁の夜を知りたくて、寒空を眺めつつ3Kmほど歩いてきました。要するにここで呑んでみたいということですね。^^
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 夜は周りの悲惨な光景が闇に隠れて、お祭りのような華やぎを感じます。



 
 まさに呑兵衛横丁の雰囲気を演出してますね。
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 赤提灯にすぐ反応してしまうのが、呑兵衛の性ですね。^^ でも、実にありがたい。この横丁がなかったら、単なる被災した空き地だったわけですから。
 


 

 
 どのお店も魅力的で迷ってしまいます。今日はご当地グルメの気仙沼ホルモンワインが楽しめる狼煙(のろし)さんに入ってみます。
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 他にも暖簾をくぐりたいお店がたくさんあるのですが、一人で梯子していると無事に帰れなくなる危険性がありますので、お店選びも慎重になります。^^



 
 どちらのお店も店内の造りはパターンが決まっているのですが、装飾は経営者が工夫を凝らします。
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 こちらはテーブルとカウンターにコンロを乗せて、洒落た焼肉屋さんの装備ですね。



 
 壁には気仙沼ホルモンの宣伝が。カラフルな味わいが魅力とか。
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 そういえば、震災後に気仙沼に来てから気仙沼ホルモンを食べていませんでした。気仙沼ホルモンは味噌で下味を付けた数種の内臓を焼いてキャベツと一緒に食べるのが特徴です。



 

 白モツだけではなくレバーや他の内臓も混ぜられています。一人前たったの450円。
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 こちらのマスターである小山さんは岩手県の有名なステーキチェーン店で働いていました。震災前から気仙沼に住み、岩手県のお店に通っていたそうですが、地元の復興のためにこの屋台村に参加したそうです。肉の仕入れやホルモンの処理は身に付いていますので、すんなり開業できたようですが、この仮設店舗の後のことはまだ考えていないと仰ってました。


 

 加熱具合が部位により異なるので、焼け具合を見極めながら食べて行きます。
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 ホルモンには味が付いていますので焼けたらそのまま食べられます。キャベツの千切りにちょいとソースをかけて、焼けたホルモンと一緒に食べるのが気仙沼流らしいのですが、ソースなしでも十分に美味しいですよ。


 

 ワインはお奨めのMISIONES D RENGO (ミシオネス・デ・レンゴ)。最近、チリでめきめきと頭角を表してきたワイナリーですね。
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 ミシオネス
は、高い品質の割にリーズナブルな価格なので、今後、日本でも人気が出るでしょう。エチケットのデザインも斬新です。これはメルローですが、スッキリしていてホルモンの後を追うのにぴったりです。

 


 もう一皿、豚バラ肉550円を塩胡椒で頂きます。
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 中高年には危険な食べ物ですが、万遍なく広く食べるのが長生きの秘訣とか。もちろん、腹8分目ですが・・・。肉のアラキドン酸は、至福物質を作るのでしばし、幸せになれますし。こちらでは門崎丑という銘柄牛も頂けます。小山さんが以前に働いていたお店の看板商品ですね。


 

 ここで、ハイボールに切り替えて、バラ肉を楽しみます。
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 脂身がコリッと締まって、甘さを感じます。きっと、どこかの銘柄豚なのでしょう。教えて頂いたような気もしますが、失念しました。^^ ホルモンや焼き肉をランチにも食べたいとのリクエストが多いのですが、仕入れからホルモンの前処理までをすべて一人でやっているため、とてもランチまでやっているゆとりがないそうです。




 

 横丁の中央は中庭のような広場になっていて、この季節、電飾ツリーがそびえます。
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 どのお店も18時を過ぎる頃より混雑してきました。それと、驚いたのですが、他のお店からも気仙沼ホルモンのオーダーが入りました。お店間で献立のやりとりもあるようです。こういうのって、横丁ならではの連携プレーですね。


 

 昼間はこの横丁の周辺も津波の爪痕が目立ちますが、夜になりますと別世界です。被災地域の中にポッとがともったようで心が温まります。是非、復興支援を兼ねて気仙沼の味覚を楽しみにいらして下さい。呑むためには宿が必要になります。ですが、現在は復興支援の方々が全国から集まり、予約が難しくなっています。取れないわけではありませんので気長に探してみて下さい。ランチタイムであれば、駐車場もありますのでドライブがてらにどうでしょう。
 

 


 復興屋台村気仙沼横丁事務局  http://www.fukko-yatai.com/


・所在地  :宮城県気仙沼市南町4丁目2-19
・電 話  :080-1692-8000

 


 大漁丸


・電 話  :090-2888-2011、090-7562-3515
・営業時間 :11:30~14:00/17:00~22:00
・定休日  :年中無休



 狼煙(のろし)


・電 話  :非公開
・営業時間 :17:00~23:00
・定休日  :水曜

2011/12/28(水) 05:00 | trackback(0) | comment(10)
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風写

URL | [ 編集 ] 2011/12/28(水) 07:07:05

お疲れ様です

半世紀以上前に、空襲を受けた街の多くに、今も戦後のバラックから続く商店街や呑み屋横丁がありますね。
このあたり、いろいろと考えさせられます。

ニュースによると、気仙沼には七カ所の仮設商店街があるそうです。
ぜひ復興支援に行きたいものです。

男山本店。
先日も蒼天伝を一本開けたばかりですが、本店の建物、残っているのは3階部分なんですね。
http://d.hatena.ne.jp/kyotosgkesennuma/20111103/1320316107

とあ

URL | [ 編集 ] 2011/12/28(水) 15:31:09

ほ~、色々美味しそうじゃないですか(笑)

ホルモン食べながらワイン
いいですねぇ~

あいしゅ

URL | [ 編集 ] 2011/12/28(水) 15:43:08

先日は、お世話様でした

気仙沼レポートありがとうございます
同僚に気仙沼出身者おります
被災して家がなくなりました

両親を長町に引越しさせ
新しい生活環境にうまく適用できれば
いいなと、と言っておりました

日々復旧は進むでしょうが、3.11を忘れることなく
後継に伝えるのも私たちの役目なんでしょうね

来年がよい年でありますように

サエモン

URL | [ 編集 ] 2011/12/28(水) 22:14:33

  >風写さん

 男山本店、言われてみると何か短くなったなって気がしていたんですよ。
でも、前からこんなんだったかなと思わせるくらい奇麗に着地しています。
左右の建物に挟まれていたためでしょうかね。少し説明を書き足しました。

 復興市場や復興横丁がいくつも出来て来ていますが、居酒屋的な
呑み処があるところは限られます。港町はやはりスナック系が多いですね。
私はあまり縁がないのですが・・・。

サエモン

URL | [ 編集 ] 2011/12/28(水) 22:28:11

 >とあさん

 魅力的でしょ。気仙沼ホルモンとワインは
絶対合いますよ。どうですか、復興支援を兼ねて
三陸の美味いもの巡りは。^^

サエモン

URL | [ 編集 ] 2011/12/28(水) 22:30:00

>あいしゅさん

 先日はお疲れ様でした。二次会まで行かれたのですね。
情けないことに行ったはずの私も記憶がありません。(涙)

 気仙沼には数々の復興市場や商店街が出来つつあります。
年明けから少しづつ、その繁盛の様子をレポートして行きたい
と思っています。そして、出来る限り利用してささやかな
復興支援をしていきたいと思っております。

ぺこりん

URL | [ 編集 ] 2011/12/29(木) 09:12:22

ビンチョウかー↓と、メカか!↑では大きな違いですよね。ふつうはビンチョウと思っちゃうでしょうから、メカジキなら先に教えてほしいですよね。

anego

URL | [ 編集 ] 2011/12/29(木) 10:29:06

今年1月末、仕事で南町や八日町界隈を歩きました。
男山本店の社長にもお会いして、魚町方面にも行きました。
あの日みた街と同じ街なのに、変わり果てた光景を目にすると
何度も報道などで見て状況は分かっていても、また勝手に涙が出てきます。

先日、他地域の知人の言葉に唖然としました。
「まだ震災の影響ってあるの?」と・・。
直接被害のなかった私でさえ、苛立ちました。
悲しい光景はもう見たくないし、語るのも辛い。
けれど、伝えることが「忘れないこと」に繋がるとも感じます。

泊まるところさえあれば、気仙沼で呑みたいんですけどね。
あっ、大山呑んべツアーみたくバスをチャーターすれば日帰りでも可能かも!?

サエモン

URL | [ 編集 ] 2011/12/30(金) 09:09:31

  >ぺこりんさん

 そうそう、私も最初からメカ丼って書いてあっても
きっと喜んで食べたでしょう。メカジキは美味しい魚
ですからね。でも、一般の方々はまぐろ丼の方が安心感
があるのかも知れません。メカ丼、焼きメカ、メカ汁の
3点セット=3メカ定食なんてどうでしょう。^^

サエモン

URL | [ 編集 ] 2011/12/30(金) 09:13:44

 >anegoさん

 今年は大変お世話になりました。
 気仙沼に限らず、宮城県の沿岸部はどこも壊滅的でした。
他県より震源から近いため、全沿岸が激しく被災しています。
リアス式海岸では湾奥ほど津波が高くなり集落を直撃、仙台湾
では海岸から平野が広がるので、何キロも内陸部まで津波が
侵入しました。

 今回の震災で特に忘れてならないのは、世界の原発事故
ワースト3に列挙された東京電力の福島第一原発の事故でしょう。
津波が来る前の地震でもかなりのダメージがあったことが
わかってきていますが、その耐震性については以前より改善が
指摘されていたわけですが、予算を理由に黙殺され続けて
きました。

 そのツケが福島県民に覆いかぶさっています。東京電力の
世話になっている方々もその仕打ちの苦痛や無念さを理解し、
いつまでも忘れないようにしてもらいたいです。原発が千葉
や神奈川にあったら、首都圏は崩壊したでしょう。それゆえ、
人口の少ない地方に建設してきたのですから。

 寝袋をご持参頂ければ、私の部屋でも5~6人くらいは
寝られますけど。。。^^











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