宿儺南瓜ってご存じですか?
カテゴリー: 料理:野菜・果物
細君が近所の八百屋さんからへんてこな物を買ってきました。どうみてもヘチマなのですが、山形県天童市辺りで採れたカボチャだと言われたそうです。山形でこんな細長いカボチャを作っていたなんて今まで全く知りませんでした。八百屋さんも何という品種か知らなかったそうです。こうなりますと料理愛好家魂がムクムクと湧き上がります。カボチャの品種から徹底的に調べて、ついに探し当てました。このカボチャは宿儺(すくな)カボチャと言いまして、飛騨高山の名産らしいのです。
それがなんで山形県なのでしょう。それも調べましたよ。全国有機農法連絡会(所在地:山形県天童市)が直営農場に導入したらしいのです。でも、通販以外で流通に乗ることは滅多にないらしいので、その八百屋さんが特殊なルートを押さえているか、他の生産者にお願いしているのかも知れません。でも、それだったら、名前ぐらい知っていますよね。(謎)
さて、調理に取り掛かる前に相手をよく知っておきましょう。外見と裏腹に断面は普通にカボチャでした。
皮もそれほど厚くなく、身も黄色が濃くて美味しそうです。
取りあえず、さっと煮物を作ってみましょう。と言ってもお試しなのでレンジでチンの手抜きです。
市販の麺つゆをさっと塗して15分ほど置きます。ジップロックやビニール袋を使った方がよく馴染むかも知れません。皿に移してラップをかけて、レンジでチンします。時間は切り方や量によっても異なりますので、好みの硬さになるまで続けて下さい。600Wで最低6分くらいは必要です。早速、試食しましたが、栗より美味しいと言われているほど、ホクホクではありませんね。少し水分を多く感じましたが、甘みは強いです。
では、色々料理にしてみましょう。チンしたカボチャに炒めた玉葱とチキンスープ、豆乳を加えてハンディーミキサーで一気に攪拌します。
味付けは塩胡椒で調え、さっと温めます。このところ、牛乳より豆乳の方が美味しく感じられるようになり、クリーム系のソースやスープはみんな豆乳で作っています。
トロントロンですが、バターや生クリームを使っていませんので、透き通った味わいです。
濃度は好みですが、薄めてしまうと戻せませんので、スープや豆乳は少量ずつ加えていきましょう。
続いて、宿儺カボチャの形を活かした料理を考えてみました。
厚さ2cmほどの輪切りにしたカボチャをレンジで硬めにチンしてから、ニンニクとオリーブオイルでカリッと焼きます。軽く塩胡椒で味を付けておきます。付け合わせの小ナスやカボチャの賽の目も同時に炒めています。
断面が香ばしくカリッとしましたら、皿に盛って中央の穴にカボチャのサラダを詰め込みます。周囲に適宜のあしらいを並べます。
カボチャのサラダはポテトサラダのポテトをカボチャに替えた物です。今回はシンプルに玉葱とハムだけを加えてマヨネーズで和えています。そういえば、ポテトサラダのことを英語ではロシアン・サラダと呼び、イタリアやスペイン系の国でも同じくロシアのサラダと呼んでいました。当のロシアでは食べたことがありませんが、ロシア発祥のサラダなんでしょうか。
最後にレタスやフノリなどをこんもり盛って、炒めておいたカボチャと豆腐の賽の目をパラパラと散らします。
土台のカボチャリングが温かくて、サラダがキリッと冷たいという温度のコントラストが秋らしくてよいのです。季節の変わり目はこのような料理も喜ばれます。
もう1品、宿儺カボチャの形を活かした和食を作ってみます。
高さ10cmほどの筒状に切ったカボチャの中を掃除して、金串で壁を所々、突き刺しておきます。
鶏挽肉に擂った人参と玉葱、生姜、豆乳を浸したパン粉などを練り合わせ柚子胡椒と味噌で調味した和風の肉餡を中に詰めて、蒸し器で30分ほど蒸し上げます。
加熱しますとこんもり膨らみますので、擦り切り一杯で十分です。余った肉餡はハンバーグとして弁当のおかずにでもしましょう。蒸す際にオーブンシートを敷いておきますと柔らかくなったカボチャの取り上げが楽になります。
蒸した際に出た肉汁を回収し、好きなキノコ類をさっと煮て味醂と醤油で調味します。これにとろみを付けたきのこ餡をかけて完成です。
栄養のバランスから茹でた小松菜を周囲に配し、スダチを絞って頂きます。
秋の夜の宿儺カボチャの夕餉です。
材料費はあまり掛かっていませんが、一点豪華な主菜となりました。
ちょっとピントが甘いですが、中はこのような感じになっております。
カボチャにも肉汁が染みてさらに美味しくなっています。キノコ餡との相性も抜群で、スダチの香りが全体を引き締めます。
私はまず、ちょろりさんから頂いた岩手県花巻の銘酒よ右衛門(よ=酉+与)をビンチョウの山かけで軽く一杯。
よ右衛門の赤ラベル美山錦です。無濾過の生酒ですので、酵母まだ生きていて発酵を続けています。そのため、二酸化炭素を発生して、微炭酸状態となっています。山かけはマグロに酒と醤油で下味を付けておくのがポイント。トロロのコーティングで醤油がマグロに付き難くなるからです。
山形の新しい農産物、宿儺カボチャ。山形の風土に合うように、さらに美味しく品種改良して独自のネーミングをした方が良いですね。独特の形態を活かした様々な山形なりの料理が開発されれば、地域ブランドの創出にも繋がります。さらに、それらが定着すれば、伝統的な郷土料理にもなって、観光にも役立ってくれることでしょう。日本には地域で伝承される伝統野菜が数々ありますが、どれも美味しいものばかりです。狭い国ですが、これらを作り上げてきた先人たちの苦労にひたすら頭が下がります。
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