西国より美味来たる 絶品干物の数々
カテゴリー: 料理:買い魚
週末、戻った自宅に宅配便が届きました。震災見舞いの熨斗も付いています。何だろうと逸る心を抑えて箱を開けますと中からお魚が顔を出しました。嬉しいですねぇ。長州藩の釣り友達、wok姐さんが伊達藩では漁業もままならず、魚に飢えているだろうと気遣って、干物の詰め合わせを送って下さったのです。その通りなのです。漁業者の船は9割方なくなりなり、現在、急ピッチで建造中。他県のカツオ船は水揚げするようになりましたが、沿岸の地魚がまだ水揚げされないのです。それに現在でも週に2~3体のご遺体が海から引き揚げられており、海釣りも自粛していましたので、沿岸の小魚の禁断症状が出始めていたところだったのです。^^
干物は全部で5種類も詰合わされていました。嬉しいなぁ。
上の写真左上から時計回りでアカカマス、スルメイカ、マアジ、ソウハチ(鰈)にアカムツです。どれも本当に美味しそう。どれから食べよう、悩みます。
中でも特筆すべきはこのアカムツ。ノドグロと言った方が通りが良いですね。
みちのくではあまりなじみのない魚です。下の写真のように口の中から喉にかけて黒い膜が覆っています。それからノドグロと呼ばれています。白身のトロとも称されるように、脂も多く、北のキチジに対して、西のノドグロとして張り合っている高級魚です。ちなみにみちのくでもノドグロと呼ばれる魚がいますが、それはユメカサゴである場合が多いですね。分類学的には遠いのですが、これも喉が黒いのです。
ところで、清廉で爽やかなイメージのあるサヨリですが、実は喉ではなく、腹腔内面が真っ黒なんです。つまり腹黒いのですが、だれもサヨリをハラグロと呼ぶ人はおりません。やっぱし、人間と同じで美人が得するのは世の常なんですね。余計な話でした。 m(..)m 余計ついでに、私の先輩は沖縄で発見した新種のサヨリにミナミサヨリと命名しました。^^
で、欲張って一通り焼いてみました。
気仙沼では調理器具の関係で焼き物ができないのです。ですから、焼き魚は飢えに飢えていました。
まずは西日本の高級魚ノドグロから・・・。 な、なんなの、この美味さ。キチジのトロリとした脂と違って噛み締めるほどに旨味と一緒にじんわりと口いっぱいに広がります。
これは、美味い魚は北に在りとあぐらをかいている場合ではありません。正座して食べねばならぬ美味しさです。さすが、wok姐さん、こいつぁ、一本とられやしたぁ。^^
続いて、これもみちのくでは珍しいアカカマス。東京ではよく食べていた懐かしい味です。
淡泊でありながら、ほんのりとした脂と追い打ちをかける旨味が堪らないですね。仙台湾でもカマスが釣れたら嬉しいなぁ。このカマスの干物のもう一つのお楽しみはもう少し下の方でご披露します。^^
さて、後日。今晩はソウハチ(鰈)とスルメイカの生干しです。どっちも酒に合うんだなぁ、これが。
ソウハチはみちのくでも沖合底引きで獲れるカレイで、干すことにより旨味が倍増するのです。
呑兵衛の性をよく御存じのwok姐さん、泣かせる心配りです。美味い魚を追いかけて長州の美酒獺祭DASSAIがやってきたではありませんか。(感涙TT)
この波状攻撃にすっかりやられました。姐さん、しっかりと味あわせていただきやすぜ。このお酒は長州は岩国の旭酒造さんが丹精込めて醸した純米大吟醸。みちのくの酒より、甘味、酸味、苦味、辛みがすべて強く、ワイン界でいうフルボディな美酒です。これならロックでも物ともせず、豚の角煮でも張り合えそうな気がします。旭酒造さんのHPをご覧下さい。西国よりみちのくの大震災復興をご支援下さっています。幕末は不幸にして敵対しましたが、長州の皆様はみちのくのことを想って下さっていますよ。
ちょろりさんから頂いた南部藩の小久慈焼きの片口で長州の獺祭を楽しみます。
日本の東西のコラボによる小宴会の開催です。^^
副菜には畑の蒸し茄子と夏野菜のだしです。
ここに山形の郷土料理も参入です。今宵は呑み過ぎること必至でしょう。^^
明けて翌日・・・。昼近くのブランチには氷を浮かべたカマスの茶漬け。いや、冷やしだし漬けが正しい。作り方は下の4コマの通りです。
カマスの干物をこんがり焼いて身をほぐし、皮や骨をダシ昆布とともに煮てだしを取ります。これを濾して塩で調味し、冷蔵庫で冷やします。ご飯は水で洗い、茶碗に盛り、キュウリの塩もみとカマスの身を乗せてから、冷やしただし汁を張ります。この冷たいカマスのだし漬けは夏の清涼剤なのです。特に呑んだ翌朝がよろしい。アジの干物ではだしが野暮ったく、カマスだからこそ成せる逸品なのです。
wok姐さん、この度のお心遣い痛み入ります。誠にありがとうございました。また、仙台湾でご一緒に釣り糸を垂らしたいのですが、多くの知り合いの漁師さんも船を失い、漁ができない状況にあります。我ら釣り師が何の気兼ねもなく海で遊ぶのはもう少し先になるでしょう。伊達藩の漁師さんも高齢化が進んでいますが、みなさん元気です。やがて以前のように漁を再開するでしょう。その折りには、最高のポイントにご案内いたしますのでお達者でいて下さいましよ。
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