畑から直行 夏野菜のペペロンチーノ
カテゴリー: 料理:麺類
暑い昼には素麺か冷や麦に頼りがちになりますが、こういう時こそしっかり食べなくてはいけません。週末、家に戻りますと夏野菜たちが早く食べてくれと言わんばかり生っています。さすがに独り暮らしなので食べ切れず、ご近所への配布が毎週末の行事となってしまいました。^^ 東京の妻や子供たちに送る手もあるのですが、送料の方が高くなり、着いた頃にはもぎ立ての味わいではなくなっているでしょう。夏休みで帰ってきた時でもたっぷり食べさせましょう。今日も暑いですが、もぎたて夏野菜を使ったパスタにしてみます。
畑に出るといい香り。クチナシが純白の花を咲かせていました。
このクチナシの香りは、甘さも感じますが、体が解毒されるような不思議な力を感じます。トイレに一輪活けておくだけでトイレの格が上がったように思えます。ケミカルな臭いが嫌で芳香剤は置いていないのですが、クチナシ、金木犀、沈丁花の季節は花の香りをトイレでも楽しんでいます。
畑ではキュウリの最盛期ですが、今日はナスとズッキーニを使います。
両方とも油に合うのでパスタにも合わせやすいのです。
バジリコももう利用可能ですが、今日は日本の夏に相応しい大葉(青紫蘇)の香りでキリッとしたパスタにします。
青紫蘇には写真のような縮緬葉と刺身の添え物として使われる平葉がありますが、柔らかく口当たりが良いのは縮緬葉の方なんです。
今年のビワも食べきれないくらいの房なり。
これも片っ端からご近所へ。家を留守にしている間に鳥や蟻に随分やられました。
さて、調理に取りかかります。夏野菜のスパですが、ベースはアーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ(aglio olio e peperoncino)になります。
アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノは、イタリア語でニンニク、オリーブオイルと唐辛子という意味のパスタです。シンプルな基本中の基本パスタですね。調味は塩だけになりますので、旨味のある天日干し塩などの天然塩を使いましょう。今日のパスタはアルチェネロのオーガニックスパ、1.6mmを使います。
まず、トッピングになるナスとズッキーニを炒めます。
軽く塩を振りオーリオで炒めますが、決して掻き混ぜず、じっくり裏表を炒めて断面はカリッと中はトロっとに仕上げます。
大葉は一人前で3枚ほどを微塵切りと千切りにしておきます。
市販の大葉は見栄えの良い平葉がほとんどですが、やや細めの千切りにすれば口当たりもよくなります。
さて、これからが本番です。パスタの茹で方とソース作りが同時進行となります。
アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノを茹でたパスタをニンニクと唐辛子を効かせたオリーブオイルで炒めたものと勘違いをされている方が多いのですが、そうではありません。ちゃんとソースを作るのです。まずは、オリーブオイルで潰したニンニクをフライパンを傾けて熱します。焦がさないように中火でやりましょう。
ニンニクを取り出したオーリオに唐辛子を入れて辛みを移します。スパはたっぷりの2%食塩水で茹で上げます。
美味しいと感じる汁物の塩分濃度は体液と同じ0.8~0.9%ですから、かなり塩分が濃いめの茹で湯です。ですが、パスタの中まで味が付くわけではなく、表面に軽く塩味を付けるのが目的です。
炒めたアーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ(ニンニク唐辛子油)に少しずつパスタの茹で汁を加えます。
それをよく掻き混ぜることで油の一部が水分と馴染んで乳化します。少し白濁し、何となく粘性も出ます。これが、アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノのソースになるのです。パスタにも塩味が付いていますし、茹で汁にも塩分がありますので、これで調味は十分なのです。
茹で上がったスパは速攻でソースに和えます。
パスタを待たせてはいけません。ソースは茹で上がる前に完成させておくのが鉄則です。ここで、微塵切りの方の大葉を混ぜ合わせます。
皿に盛り付け、炒めたナスとズッキーニ、千切り大葉も天に盛り夏野菜のスパゲッティの完成です。
バジリコを使わず、大葉の香りを強調したのは、日本人にとっての涼味を意識したからです。
大葉の香りが効いた夏野菜のスパゲッティ。冷たい水出し緑茶とともに頂きます。
今日も暑いですが、多少風があります。室内に天然の風を通してランチを楽しみます。
デザートはもぎ立てのビワです。果汁が噴出します。
ビワの収穫時期は短くて2週間位です。この間に楽しんでおかねばならないのですが、今年はちょっと時間が足りません。
青紫蘇の香りたっぷりのアーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ。暑い夏のランチでも紫蘇の香りが食欲を湧き上げてくれます。このアーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノと初めてであったのは、今から四半世紀前の学生時代。イタリア人留学生から金がなくても美味しく食べられるパスタがあると言って伝授されました。ところが、あの頃は肉たっぷりのボロネーゼの方が憧れで、この貧乏臭いパスタを大して美味いとは感じませんでした。その後、お互い社会人となって何度か行ったり来たりしましたが、彼が我が家にやってきたのを最後にしばらく会っておりません。今度はこちらが訪ねる番なのですが、とてもとても、そんなゆとりがなくなりました。(涙)
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