待望のカツオの水揚げが始まりました
カテゴリー: 料理:買い魚
気仙沼魚市場の建物は東日本大震災の津波でも流されることなく耐えましたが、70cmもの地盤沈下によって岸壁や地盤は満潮時に冠水するようになってしまいました。その復旧が5月から急ピッチで行われていましたが、6月23日には魚市場が再開され、28日には待望のカツオの水揚げが始まりました。生鮮カツオ水揚げ日本一を誇る気仙沼魚市場ではカツオはサンマと並ぶ主力魚種、昨年は4万トンもの水揚げがありましたが、今年はまだ処理能力が完全に回復していませんので、半分以下の水揚げとなる見込みです。
これは6月初旬における気仙沼魚市場前の道路の様子です。
この界隈も地盤沈下よって満潮時には海水が上がってきますので、道路の嵩上げが進められていました。背後の街の木造家屋や倉庫は津波により激しく破壊されています。
こちらは魚市場再開直後の様子です。
道路にはアスファルトが張られ、瓦礫や倒壊寸前の家屋は撤去されています。
市場の上屋の下はコンクリートを打設して嵩上げし、船が接岸するエプロン部は重量に耐えられないため、鉄製のステップが並べられました。
70cmも地盤沈下したのですから、その嵩上げも大変な工事となります。市場の背後地はいまでも満潮時には冠水しています。
埼玉県の個人より魚を収容する水槽10個が寄贈されました。
2000個ほどあった水槽はすべて津波で流れ去りました。懸命の回収作業でも200個ほどしか使える物が集まらなかったそうです。それでも嵩上げされた床には水槽が整然と並べられ、カツオの水揚げにスタンバっています。
待望のカツオの水揚げが始まりました。カツオの北上が遅れていましたので開場から5日目の28日に初水揚げとなりました。
初入札はご祝儀相場で大型魚はキロ当たり3000円前後もしたそうです。末端価格を考えますと、我々庶民の口にはちょっと入りそうもありません。^^
こちらはメジマグロです。クロマグロの幼魚で、その模様からヨコワ(横輪)とも呼ばれます。
今日の水揚げは旋網船でした。カツオに混じってクロマグロも漁獲されるのですね。
その後、入港する船も順調に続き、市内のスーパーでも気仙沼産のカツオの刺身が販売されるようになりました。
四半身で498円、腹側の脂の乗った美味しそうなさくをゲットできました。まだ、価格も高めですが、地元の市場に揚がった初鰹は食べないわけには行きません。
ろくな調理器具もない部屋でとりあえず刺身らしく造ります。初鰹なのにみちのく沖まで来ると皮下脂肪もたっぷり。
気前よく厚めに切って、カツオの味を堪能しましょう。おろし金はないので、チューブの練り山葵と芥子で頂きます。
折角ですので、気仙沼の地酒でお祝いです。
やはり刺身には日本酒がないと始まりませんね。これがビールやウイスキーではちょっと違和感があります。
気仙沼の地酒、男山本店さんの特別純米酒華心です。ふくよかな味わいがカツオにも合いそうです。
男山本店さんは社屋が津波で破壊されましたが、蔵はあと数mの所で助かりました。
それでは、頂きます。まずは島寿司風に練り芥子で。厚めに切ってありますので、モッチモチです。^^
新緑の頃の初鰹のようにサッパリではなく、かと言って戻り鰹のようにコッテリでもなく、絶妙な脂の乗り具合です。時期的にもその中間ですから、ちょうど中トロのような美味しさですね。
今年はカツオの北上もひと月ほど遅れ、まるで気仙沼魚市場の復旧を待っていてくれたかのようです。港町気仙沼は魚市場が稼働してこそ、街が活気付くのです。魚関係の業種だけではなく、入港する漁船への燃料や食料の供給、漁船員たちを癒すネオン街も含めて活性化します。魚市場の運搬機能や製氷施設はまだ完全には復旧していませんが、5月からの懸命な嵩上げ工事がカツオの水揚げに間に合ったことは、今後の復興への第一歩として感慨深いものがあります。そしてなにより、今年も美味しいカツオが食べられたことに心から感謝しています。
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