毎年、花見のシーズンともなりますと宮城の牡蠣もこのようにぷっくりと大粒になります。シーズン的に生食用としては出荷されていませんし、大きさからも生食よりフライや焼き物、燻製などに向いています。残念ながら、今年は3月11日の大津波によって、県内の牡蠣はことごとく流されてしまいました。それに現在、漁場の復旧を最優先にするために5月末まで県内の漁業も養殖も水揚げが停止されています。
このぷっくり牡蠣が食べられないのは残念ですが、事態はもっと深刻です。今年の夏に産卵するはずの親牡蠣が津波で持って行かれてしまったからです。流された牡蠣はどこかの海底で生きているかも知れませんが、海底の泥に埋まってしまったら、恐らく死んでしまいます。
そんな時にマリンピア松島水族館さんが救援の手を差し延べて下さいました。
実はこちらの水族館では今年の夏に2歳になる大きな牡蠣を水槽で畜養していたのでした。それを知り合いの牡蠣屋さんを通じて松島湾に返したいという申し入れがあったのです。牡蠣屋さんに立ち会ってくれと頼まれましたので行ってきました。
実は松島水族館さんも甚大な津波の被害を受けています。
津波は松島湾の奥にもやって来て、エントランスの窓口の青いテープが貼ってある高さまで水に浸かったそうです。
エントランスの正面にはペンギンの水槽がありますが、津波は水槽の高さギリギリまで上がったそうです。
もし、これ以上、海水が上がっていれば、ペンギンは逃げ出していたことでしょう。
職員総掛かりで復旧に当たっていました。
塗装の剥げた海獣類やペンギンのフィギアも新たにペイントを塗ってリフレッシュ。この努力で4月32日(土)には再びオープンさせることが出来ました。
畜養されていた牡蠣は約2,000個です。
これを松島湾に吊して、夏に産卵してもらおうという計画です。満2歳の牡蠣ですと1個でも2000万~3000万粒の卵を産みますので、期待が大きいのです。
松島町の海岸部も震災当初は船や車が道路を塞ぎ、泥が溜まって凄まじい状況でした。今は所々に瓦礫が集められていますが、道路は完全に復活しています。上記のようにマリンピア松島水族館さんは、4月23日からは営業を始めており、アシカショーも見ることができます。しかも、4月27日(水)まで、入館料金を半額にして下さっています。さらに、被災者の方は入館料金が無料になるそうです。詳しいことは水族館にお問い合わせ願います。
水族館のご厚意で頂いた2000個の牡蠣がたっぷり卵を産んで、今年の種ガキ採苗が上手く行ってくれることを切に願います。宮城県の種ガキは全国に出荷され、各地のカキ養殖も支えています。ですから、一刻も早い親牡蠣の再生が必要なのです。県内で元のようにカキ養殖が出来るようになるには何年も掛かるでしょうが、牡蠣屋さん達には是非頑張って頂きたいと思います。心より応援しています。
マリンピア松島水族館
所在地 :宮城県宮城郡松島町松島字浪打浜16
電 話 :022-354-2020
営業時間 :9:00~17:00(土日祭日~17:30)
定休日 :年中無休
入館料 :高校生以上1,400円、小中学生700円、幼児350円
駐車場 :隣に県営駐車場有(有料)
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