豚白モツのトリッパ風煮込み
カテゴリー: 料理:肉・卵・乳
時折、モツの煮込みが猛烈に食べたくなる時があります。できれば、牛の白モツを食べたいのですが、もっぱら料理店に行ってしまい、市販の白モツは豚がほとんどです。懇意の肉屋さんに頼んでおけば取ってくれるのですが、Kg単位になりますけど。^^ 豚の白モツだってきちんと仕事をすれば臭みなく美味しい煮込みが作れますよ。手間が掛かりますので1回に最低500g以上は作ります。それでは、取りかかりましょう。
市販の白モツは通常、茹でてありますが、まだまだ、臭みや余分な脂が残っていますので前処理が必要です。
そこで、2度ほど20分間の茹でとその後の水洗いを繰り返します。面倒でもこれはやりましょう。二回目に茹でる時に叩き潰したニンニクを2片ほど入れておきます。
茹で上がりますと目減りしますが、脂も減ってスッキリします。でも、まだ臭いは多少残っています。
粒の小さい部分は下の写真の右のように千切りにしておきます。何ででしょう。それは最後の方でわかります。^^
実は白モツを茹で出ている間に別の仕事をしています。ニンニク、人参、玉葱、セロリの微塵切りをオリーブオイルで炒めます。
白モツを煮ている間に弱火で焦げ付かせないよう30分くらいかけて炒めます。でも、なんで?
茶色くなってきたら、完成が近いです。要するにイタリア料理のソフリットですね。これにトマト水煮缶と野菜ジュースを加えます。
水煮のトマトを潰しながらさらに煮込みます。でもこれって、モツの煮込みに関係あるのでしょうか。^^
出来上がったトマトソースを前処理した白モツに加えます。さらに、赤ワインも。
え~、これって、モツの煮込・・・。居酒屋さんの煮込みにと全然違いますね。普通、古典的な煮込みは味噌味ですし、近年の流行の煮込みでもドゥミグラス風ですね。これはまるでイタリアンなトマトソースじゃないですか。
そうなんです。イタリアのモツ=トリッパの煮込みTrippa alla fiorentinaを意識して豚白モツに変換してみました。トリッパは牛の第2胃袋ですが、なかなか手に入りません。そこで、どこでも売っている白モツでやってみることにしたのです。
香り付けに庭の月桂樹の葉とまだ縮こまっているセージを使います。それに隠し味の仙台味噌。
味噌を加えるところがミソなのです。^^
さらに好みのスパイスを加えて、深い風味を付けていきます。
シナモンごく微量とコリアンダー、辛みを付けるためにチリペッパーが私の好み。左のスパイスラックは手作りで、壁収納の扉の内側に取り付けました。スパイス類を小瓶で買うのは不経済ですが、缶入りではよほど頻繁に使わないと時間が経って香りが失せてしまいます。
小一時間煮込んだ状態ですが、まだ、モツも白く、ソースもシャバシャバしています。さらに煮込んで下の写真のようになれば完成です。
濃度が高くなってきますと焦げ付きやすくなりますので、仕上げ際はこまめに鍋底を確認します。
はい、出来上がりました。豚白モツのトマトソース煮です。
味噌も使った和伊折衷です。だから天盛りも青葱です。^^
少し遅めの一人ブランチ。野菜たっぷりのスープとガーリックトーストも添えました。
細君がいたら自宅で昼酒なんて許されないのですが、今日は特別です。アル中はこうやってなっていくのでしょうか・・・。^^
ソフリットの材料を少し残しておいて千切りにし、炒めてからチキンスープを加えました。
炒めた千切り野菜のスープは美味しいのですが、油が少し気になります。アクと一緒に取り除けば良かったかも。^^
最近、モツの煮込みにガーリックトーストを添えるのが流行ってますよね。
これって、東京の江東区森下の居酒屋山利喜さんが元祖のようです。大正14年創業の山利喜さんは、現在で3代目。その3代目がフランス料理を修業し、煮込みのニューウェーブを産み出しました。モツ煮込みにブーケガルニを使ったり、ガーリックトーストを添えたりと斬新な手法を盛り込みました。
このNEW煮込みは仙台のへそのをグループや壽哲廸グループにもかなり影響を与えていると思います。フレンチを修業した若者が日本の伝統的な居酒屋に新風を吹き込むことは面白いと思います。日本人は元来、海外の文化を同化しながら独自のスタイルを構築してきました。すき焼きも然り、カツ丼も然りですね。
ところで、美味しいガーリックトーストの作り方をご存知でしょうか。実は茎ニンニクを使います。
茎ニンニクは、花茎が伸びたものですが、球根より香りがマイルドでしかも綺麗な緑色をして、トーストに彩りを加えます。まず、茎ニンニクを擂り下し、オリーブオイルに加え、パンに塗って軽く焼き上げます。煮込みに添えないでそのまま食べる場合は、塩を少々加えて下さい。
こんな感じで頂ます。これは赤ワインの最高のマリアージュですね。
柔らかに煮込まれたモツとカリッとしたガーリックトースト、この対比も魅力の一つです。
ところで、モツの一部を千切りにしていた理由をまだ説明していませんでした。
それはパスタソースにもするためなのです。白モツの一部を細く切って、パスタとの馴染みを良くしたかったのです。この日の晩にはリングイネLinguineで煮込みを頂きました。
リングイネのトリッパ風煮込みソースです。
煮込みのソースでパスタを和えて、トッピングに大きめのモツを乗せました。茎ニンニクの緑をアクセントにパルメザンを一振り。
今晩も一人飯ですが、ちゃんと食べています。
しばらく、モツ煮込みがテーブルに登場しそうです。^^
温野菜のスティックには特製ディップを添えました。野菜もしっかり食べています。
最近、カップ入りのマスカルポーネが安くなったので、これに味噌とマヨ少々を加え、牛乳で濃度を調節しました。
日本のモツ煮込みもどんどん進化しています。その傍ら、頑なに古典的なコンニャク、牛蒡入りの味噌味煮込みも健在なのはこの国の食に対する幅広いニーズからでしょう。今後、何が煮込みのメジャーになるのか未知ですが、 日本酒には古典的な煮込みが合うように思えます。手間は掛かりますが、その甲斐があるモツ煮込み。各家庭の味を築き上げてみては如何でしょう。
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