青森美味探訪(4)いなげ家で大間まぐろとたつ鍋
カテゴリー: 外食:居酒屋・割烹
さて、いよいよ青森での夜の部に突入です。その皮切りにちょろりさんが選んでくれたのは、いなげ家・ふく郎・はた善の3名店。考えあぐねた挙句、大間のまぐろを含めて、海の幸を気楽に楽しませてくれるいなげ家さんでお願いしました。この看板をよく見て下さい。いなげ家のいの字が鰻になっています。備長炭を使った炭火焼きも自慢の一つのこのお店は鰻屋さんとしてスタートしたのかも知れません。もちろん、今でも鰻は人気商品です。
実はこちらに伺うひと月ほど前、新幹線で上京したことがありました。その時、車中でトランヴェール12月号にいなげ家さんが紹介されているのを発見しました。
正直、焦りました。我らが青森入りする1月15日は東北新幹線が新青森駅まで乗り入れてから最初の大人の休日倶楽部なのです。東京方面からもどっと人が押し寄せると予測されます。とすると、大間のまぐろが食べられるいなげ家さんは集中砲火を浴びる可能性もあります。速攻で車中からメールしてちょろりさんにいなげ家さんの予約をお願い致しました。
駅近くのホテルからいなげ家さんまで、再び雪中を20分ほど行進しました。繁華街から少し離れた所にあります。
あらぁ~、居酒屋さんというより、スィーツショップの佇まい。意表を突かれた感じです。
店内に入りますとカウンター席が続きます。椅子の並びや配膳がきちんとしていますね。
さすがに夕方5時、我らが一番乗りのようです。^^ 奥にあるお座敷に案内されました。
何といってもいなげ家さんの魅力は大間のまぐろが食べられること。
大間まぐろを現地より一尾丸で仕入れて切り分けた後、マイナス50℃のディープフリーザーでストックするそうです。だから、いつでも美味しく大間まぐろが提供できるのですね。赤身ですと一人前900円、とろは1700円で頂けるようです。
大間まぐろはすべて築地市場に直行かと思っていましたが、青森市内にも結構供給されるようです。いなげ家さん以外でも大間まぐろを食べさせるお店が増えています。まさに地産地消の実践ですね。でも、なんで大間のまぐろがこんなに持て囃されるのでしょう。それには、いくつかの理由がありそうです。自分なりに整理してみますと、
【大間のマグロが人気の理由】
(1) 日本海を北上するクロマグロ(本マグロ)が折り返し点に近い津軽海峡に寄るのが秋から冬で、サンマやスルメイカなどを飽食し、水温の低さも影響して脂肪含有率の高い肥えた魚体となること。
(2) 大間のマグロ漁は一対一で巨大マグロと格闘するダイナミックな曳き釣りである反面、餌の付け方や仕掛け作りに漁師ごとの繊細な技や工夫が見られる独特の漁法であること(最近は活きたイカを使うことも多く秘匿性が薄れている)。
(3) 魚影の群れという大間のマグロ漁を取り上げた小説(吉村昭)が世に出されると同時に、映画化(緒形拳、夏目雅子主演)もされる。その後、テレビ番組でも人間ドラマで味付けした特集として頻繁に放送するようになった。
私は(3)の要素が一番大きいように思えます。津軽海峡でマグロを漁獲する北海道の戸井や津軽半島の竜飛だって、同じマグロの群れを漁獲しており、漁法に違いはあるものの、鮮度管理はそれぞれがきちんとやっています。特に戸井では大型船で漁獲するので船上での処理が可能となり、鮮度管理は大間より迅速だとされています。いずれにしましても、大間のマグロの品質の良いことには変わりありませんが・・・。
さて、能書きは止めにして呑み始めましょう。^^ 最初にお通し三点盛りと田酒で喉を潤します。
左から生タコの粕漬け、厚焼き卵、イカの味噌和えです。生タコの粕漬けって初めて頂きましたが、風味、歯応えとも乙ですね。今度作ってみよう。
これは珍しいマグロの皮の和え物です。
一尾買いだからこそ出来る珍味ですね。細かい鱗を取り除くのが大変とのこと。皮と言ってもまぐろですので5mm位の厚さがあります。ぷりぷり、しこしこした食感がなんとも心地よいのです。
お酒も豊盃やら白神やら、大将お薦めのおおまうみなり(大間海鳴り) やらと、どんどん発注されていきます。^^
冬でもこうして竹の器に氷とともに供されると持て成しの心意気が伝わりますね。冷やしすぎは禁物ですけど・・・。おおまうみなりはむつ市の関乃井酒造さんの醸す地酒。下北の酒ですが、ほとんど地元にしか出回っていないレアな酒とのこと。鄙びた味わいのお酒でした。微かに塩気を感じたのは私だけでしょうか・・・。
さて、待望のお造り盛り合わせです。もちろん大間のマグロも盛り込んで頂いています。
手前から時計回りで〆鯖、帆立貝、たつ(白子)、水蛸、たぶんソイ類、大間マグロ赤身とトロ。冬の津軽の海の幸が一堂に会しました。もう、迷い箸ぐるぐる。^^ あ、これ、一人前で銘々にお願いしてあります。
大間マグロのトロです。醤油に一瞬で油膜が・・・。かなり薄めに切ってあるので少し物足りないのですが、風味が濃いので相殺されます。
冷凍でしょうけど、前記のようにディープフリーズですので、赤身も透明感があり生のようです。トロの脂のスッキリしていること。くどさが全くなく、甘味を強く感じます。
続きまして、本日のもう一つの主役、津軽のたつ鍋です。白子がたくさん入った贅沢な鍋ですね。もちろん、ダシが出るようにじゃっぱも下に埋もれています。
もう、鍋も脳内もお花畑状態。テーブルに歓喜が溢れかえります。生きてて良かったぁ~。^^
こちらのお店では新潟のかんずりのような唐辛子ペーストを薦めてくれました。
クリームのような優しい味にピリッと刺激が加わって、これもまた楽しい味わいですね。
お酒もどんどん呑み倒しています。今度は弘前の銘酒じょっぱりの山廃です。
こうして、呑み比べますとじょっぱりは強情な味がしますね。一徹者が俺はこの味で行くんだと両手を腰に当てて立ち塞がっているようです。ド ンナダ?
念願の大間まぐろとたつ鍋に出会え、地酒も様々楽しみました。まぐろとたつの他にも美味しそうな肴が沢山あったのですが、今夜はまだまだ、この先があります。またしても、後ろ髪を引かれながらの移動です。いなげ家さんのご主人はなかなか気さくな方です。出張で来られた時に一人でぷらっとカウンター席も良いかも知れません。四季折々の海の幸が食べられますが、青森の地鶏シャモロックや牛すじ煮込み、豚足まで用意されています。もちろん、人気の鰻も一度は頂いてみたいですね。
いなげ家 http://inageya.blog74.fc2.com/
・所在地 :青森県青森市青柳2-3-9
・電 話 :017-723-5708
・営業時間 :17:00~22:00
・定休日 :日曜、祝日
・駐車場 :店の向かいに2台

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