名残のバジリコでジェノベーゼ
カテゴリー: 外食:他麺類
バジリコの風味が鼻に抜けるジェノバ風パスタは、一度はまると病み付きになる魅力があります。市販のペーストでは香りが飛んでしまっている物が多く、ジェノベーゼの醍醐味を味わうためにはやはり生のバジリコの葉から作る必要があります。作り立てのペスト(ジェノベーゼ・ペースト)は鮮烈な香りで初めてだと、きつ過ぎるくらいですが、これが本物のジェノバ(北イタリアの都市)の香りなのです。
今年は10月末に一時冷え込みましたが、その後、穏やかでバジリコも枯れずにまだ青々しています。
たぶん、これが今年最後のペスト作りになるでしょうから、バジリコ全部を収穫しました。
ペストの作り方は以前にも何度か紹介していますが、主な材料はバジリコの葉、ニンニク、オリーブオイル、塩で、擂り込むナッツは時々変えたりしています。
ジェノバでは松の実を使うですが、日本で市販されている中国の松の実とは異なります。であればということで、私は優しい味に仕上がるカシューナッツをよく使います。たまに、クルミも使いますが、カシューナッツよりスッキリした味に仕上がります。
最初にフープロでニンニクとナッツをよく攪拌します。
バジリコを最初に入れてしまいますと、ナッツのこなれが悪くなります。
続いて、バジリコの葉を少しずつ気長に加えて攪拌を繰り返します。
フープロの内側に貼り付いた材料はスパチュラで小まめに落とし込みましょう。
粒子が細かくなってきましたら、塩とオリーブオイルを加え、さらに攪拌します。
油が入ることでさらに滑らかになっていきます。塩は舐めてみ塩辛く感じるくらいで構いません。このペースト大さじ1杯で1人前のパスタ(100g)を調味することになります。
滑らかに仕上がりましたら、熱湯で滅菌したビンに保存します。
すぐに使う場合は、パルメザンチーズの粉末を加えますが、保存する場合は入れず、利用する直前に合わせます。ペーストの表面にはオリーブオイルを垂らして蓋をします。半月くらいのうちに使うのであれば冷蔵でも構いませんが、長期に及ぶ場合は冷凍しましょう。
それでは、さっそく出来立てのペストを使ってパスタを頂きましょう。本日はアルチェネロの全粒粉スパゲッティを使います。
よくジェノバでは、これにインゲンとジャガイモなどを具として入れますが、ボリュームが出過ぎますのでインゲンだけにします。
まずは、パスタを茹で始めましょう。
インゲンは茹で上がりの3分前に加えます。
茹でている間にペストを仕上げます。ペストと同量の粉末パルメザンを加えます。
それに熱湯を入れて、よく攪拌しておきます。茹で上がったパスタも水分を吸収しますので、シャバシャバなくらいで構いません。
茹で上がったパスタとインゲンをペストに絡め、最後に塩で味の調整をします。
パスタに水分を吸われ、パサつくようであれば、さらに茹で湯を加えて調整します。刻一刻と伸びていきますので、この辺は迅速に。
こんな感じで仕上がりました。キッチンがバジリコの香りで包まれます。
伸びないうちに食卓へ運びましょう。パスタは席に着かせてから作りましょう。^^
これは後日に作りましたササミのジェノバ風オーブン焼きです。
鶏のササミに塩胡椒でごく薄く調味してからフライパンで表面に焦げ目を付け、ペストを塗って、200℃のオーブンで10分ほど炙ります。付け合わせは好みの生野菜とシメジのソテーです。田楽みたいに見えますが、一口食べればジェノバの風が吹き抜けます。
フレッシュバジルは畑から姿を消しましたが、年内はこのペストをちびりちびりと使って楽しめそうです。それがなくなれば、後はまた夏にバジルが生い茂るのを楽しみに待って暮らします。旬の味を楽しみに待って頂く喜びを日本人は忘れつつあるようで不安です。冷凍品や加工品は便利ですが、旬の味とはほど遠いものです。もちろん、乾物や塩蔵品の生鮮物と違った美味しさはありますが、待ち遠しく待ち焦がれて頂く旬味には敵いません。我慢の心も味付けの一つです。
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