秋鯖は嫁に食わすなという諺がありますが、その意味は判然としません。姑の嫁いびりなのか、鮮度落ちの早いサバを大切な嫁に食べさせて当たったら大変だという思いやりの戒めか。後者だとすれば、なぜ夏鯖は良いのかわかりません。サバは餌の条件が良ければ夏でも脂が乗って美味しいものですが、これから、冬に向かってさらに脂肪が蓄えられます。冬のサバは脂が強すぎてくどいのですが、秋はそれが適度で美味しいのです。だとすると、やはり、嫁いびりか。^^
サバは何しても美味い魚ですが、今日は以前、釣って冷凍しておいたサバを料理します。冷凍でも鮮度が良ければ〆鯖に出来ますが、それは釣り立ての物とは別物です。冷凍でも美味しく楽しくゴージャスに味わうため、イタリア料理にしてみます。
今日はサバを2色のソースで焼き上げてみます。
サバのフィレー1枚が一人分です。ソースはトマトソースとコーンクリームの二通り。トマトソースは水煮缶に玉葱とニンニクを加えて煮詰めます。香り付けにバジリコとローズマリーも畑から採ってきました。
サバのフィレーは腹骨(肋骨)をすき取り、筋肉に食い込んでいる小骨を骨抜きで取り去ります。
サバも大きくなってくると小骨が邪魔になります。干物なら食べながら口から出せが良いのですが、ソースがかかった場合は厄介だし、ちょっと雰囲気的にもイケませんね。^^
香り付ですが、トマトソースには相性の良いバジリコを、コーンクリームにはローズマリーを使います。
掃除したフィレーを半分に切り、塩を軽くしてから、片方にバジリコの微塵切りを塗し、もう一方にはローズマリーを同様に施します。それぞれの香りが移らないように、別々にラップに包むかナイロン袋に入れて1時間ほど冷蔵庫に置きます。
さて、この間にトマトソースを作ってしまします。
このソースはイタリア料理の基本中の基本です。ニンニクと玉葱の微塵切りをオリーブオイルで炒め、サンマルツァーノ(イタリアの細長いソース用トマト)のホール水煮缶加えて、潰しながら水分を飛ばしていきます。今日はサバに乗せるので、パスタソースより硬めに作ります。濃度が決まったら、塩で軽く味付けます。一缶の半分もあれば、足りますので残りは後日のパスタ用に冷凍しておきます。
香りの付いたサバのフィレーに片栗粉を塗し、さっと表面を固めます。
この時、バジリコとローズマリーわからなくならないように注意して下さい。この後、オーブンで焼きますので表面だけ熱が入ればOKです。
オーブンを210℃に予熱している間にソースを乗せます。
バジリコ風味にはトマトソース、ローズマリー風味にはコーンクリームです。
コンベクションで20分くらい焼きます。愛用している小型高性能のイタリア製デロンギのオーブンです。
熱の通りやすい魚ですから、ソースの表面が少し焦げるくらいで焼き上がりです。
いっぺんに二通りの味が楽しめる贅沢な一皿。
収穫が始まったホウレンソウの若葉も盛り付けました。
トマトソースの甘酸っぱい刺激的な味わいとふんわり優しいコーンクリームの味わい。交互に食べるとそれぞれの特性が際立ちます。
冷凍サバでも立派なご馳走になりました。サバも骨抜きしてありますので、安心してパクつけます。
この料理はサバ以外でも、サンマやイワシでも美味しくできます。小さな魚の場合は、耐熱皿にフィレーを並べ、その上に好みのソースを乗せて焼き上げます。バジリコは間もなく枯れてしまいますが、常緑のローズマリー、タイム、セージは庭の片隅に植えておくと便利ですよ。ちょっとした香り付けでぐっと本場の味に近づきます。料理の記憶って、目、舌、鼻のそれぞれに入ってくる情報の集合体ですよね。特に臭いによって、その前後の情景が鮮明に蘇ることがあります。だから料理にとって香りは大切な要素なんですね。 ← ランキングに登録中です。クリックでご声援お願い致します。
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