秋はなぜか人参の白和え
カテゴリー: 未分類
裏山のガマズミの実が真っ赤に染まりました。ガマズミはもっぱらソゾミとかソゾメと呼ばれて昔から親しまれています。と言いますか、昔は親しまれていましたと言う方が当たっていますね。子供の頃、野山を駆け回り、喉が渇くとこの甘酸っぱい実を口に含み、ザクロのように汁だけ吸って種を吹き出すのです。こんなこと、現代の子供達は決してやらないでしょうね。それとガマズミの果実酒は私の中ではベストワンなのです。実が小さいので掃除が大変ですが、よく熟れたルビー色の酒は高原を吹き抜ける爽風のような味わいです。
クサギ(臭木)も金属のような光沢のある青い実を付けています。不気味なヒガンバナ(彼岸花)は林の中で忽然と咲いています。
クサギはその名の通り、胡麻のようなゴムタイヤのような強い匂いがします。でも、ヘクソカズラのような嫌な臭いではなく、ちょっとくどい臭いと言ったところでしょうか。ヒガンバナは不思議な花です。彼岸の頃に突然花茎を立ち上げ、花火のような真っ赤な花を咲かせます。突然、これの群落に出くわすとあっちの世界に引き込まれたとような心持ちになります。
さて、話変わって、秋になるとちょっと恋しくなるのが白和えです。夏の間はこのようなもったりした物には箸が延びないのですが、気温が下がってくると食べたくなってきます。
ご承知のように白和えは豆腐を擂り下した衣で野菜などを和えた物です。ゼンマイや青菜も美味しいのですが、人参を白和えにしますといっぱい食べることが出来ますよ。
今日は人参を沖縄のしりしり器でおろします。
沖縄ではこれを炒めて人参しりしりというお惣菜にします。包丁で切るより、表面が粗く味が染みやすいのです。
人参だけですと食感が単調なのでコンニャクも加えます。
細切りにしてから、茹でて臭みを取っておきます。
人参とコンニャクは薄めただし醤油で煮て、薄味を付けておきます。
和え衣にも味が付きますのであくまでも薄味に。あまり煮過ぎないで、少し歯応えが残るくらいが美味しいですね。
さて、白和えの衣作りです。豆腐は前もって重石をして水分を抜きますが、時間がない時は両手に挟んでじんわりと絞ってます。
炒り豆腐や白和えの場合は形が崩れても構わないので、手っ取り早くこの方法でやってます。最近は木綿豆腐でもしっかり重石をかけないで水分の多い豆腐が多くなったように思います。その分、儲けも多くなったのでしょうか。考えてみると、もっと水分の多い絹ごし豆腐が木綿と同じ値段で売られているのは腑に落ちませんね。^^
白和えの衣は豆腐だけではありません。白胡麻が決め手となります。できれば、剥き胡麻をさっと炒ってよく擂ります。
胡麻が擂れたら、豆腐を加え、滑らかになるまでさらによく擂り合せます。最後に味醂と塩、薄口醤油を隠し味程度に加えます。あくまでも白和えですから、色付かないようにします。
和え衣が出来ましたら、よく水気を切った人参とコンニャクを和えて完成です。
混ぜ合わせている時に人参が折れるようでは茹で過ぎです。
ご飯のおかずにも酒の友にもぴったりの人参の白和えです。
人参が嫌いな人もこれならば食べられるでしょう。人参は甘味があって本来美味しい物です。安い弁当の煮物の人参はおそらく中国で加工したものでしょう。人参の旨味を感じられません。
白和えという料理は安い材料で豊かな味わいを生み出してくれます。なのに、私の実家では食べたことがありませんでした。いつか、他所の家で白和えをご馳走になって、その美味さを母親に伝え、どうして我が家では白和えが出ないのか聞いたところ、自分が嫌いだからだと・・・。料理好きの母親にも嫌いな物があったのを初めて知った瞬間でした。^^ ← ランキングに登録中です。クリックでご声援お願い致します。
コメントの投稿