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ミンク鯨を美味しく食べる

カテゴリー: 料理:鯨類

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 夏休み
で東京へ就職、進学した子供達が帰ってきました。この時のために仕入れておいたお宝があります。冷凍ですが、近海のミンククジラ、300gです。今年の6月、モロッコで開催された第62回国際捕鯨委員会年次総会では、長年、膠着状態だった商業捕鯨再開に関する議論に、議長・副議長提案という新たな切り口で進展するかと期待されたのですが、幾つかの反捕鯨国は議論を拒否しました。もっとも、この議長・副議長提案は沿岸捕鯨を認める代わり、南氷洋での捕獲頭数も含めて現行より大幅に削減し、委員会が直轄管理するというもので日本の中でも反対する声がありました。


 
 それにしても反捕鯨国が、クジラを資源として管理し、持続的利用を目的にした国際条約に基づくこの捕鯨委員会で、資源状況に関わらず、捕鯨に反対する背景はなんなのでしょう。鯨=聖獣信仰のようなものなのでしょうか。それとも地球環境保護のシンボル的存在に祭り上げたからなのでしょうか。幸い、シーシェパードの過激な妨害行動に対しては反捕鯨国も非難を表明しましたので、まだ、紳士的な議論が出来る余地は残されていそうです。それに、反捕鯨の宗主国だったアメリカが妥協案の調整に乗り出すなど、反捕鯨国も一枚岩ではなくなってきているようです。


 
 ともあれ、このミンクは丁重に料理して、クジラの有り難みを感じつつ家族で大切に頂きたいと思います。子供達に何にして食べたいかと聞いたところ、、、フライですと。おいおい、それも作るけど、まずは刺身だろうに。私以外は加熱調理したものを望んでいます。では、今日は刺身以外に以下の3品を作りましょう。




  


 冷蔵庫内で半日かけて解凍したミンククジラは、まず、私の分の刺身を確保しました。
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 素晴らしい鮮度です。解凍後にも硬直が進行します。酸素に触れて赤みがどんどん鮮やかになっていきます。良いクジラの場合はニンニクよりおろした生姜か玉葱で頂きたいですね。


 
 

 続いて、約束のフライ、すなわち鯨カツですね。今日は竜田揚げもしますので、串カツにしました。
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 子供の頃、関西で鯨カツをよく食べました。あれはマッコウクジラだったのか、ツチクジラだったのか、正直、あまり美味しく感じませんでした。串に打つ前にクジラには軽く塩胡椒をしておきました。

 


 

 なぜか串カツは食べるのもそうですが、揚げている時も楽しいですね。串でまとめられたこの形状が魅力的なんでしょうね。
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 クジラの肉は畜肉より魚肉に近い火の通り方をしますので揚げ過ぎは禁物です。なにせ刺身で食べられる身ですからね。

 

 

 さて、もう1品の揚げ物は竜田揚げです。
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薄く切ったミンクを日本酒と味醂を加えた生姜醤油に漬け込みます。


 

 
 

 シャーッと香ばしい匂いが立ち上ります。
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 熱々を頬張ったら美味いだろうなぁ。でも、数がないから味見は我慢します。それに御馳走を酒なしで食べるのも呑兵衛の掟に反しますから。^^


 

 

 4品目はハリハリ鍋にヒントを得て考えてみた葛打ちミンクの冷製です。
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 竜田揚げと同じように下味を付けたミンクに葛粉(なければ片栗粉)を塗して、酒と塩を入れた湯で湯がきます。表面が透明になったらすぐに岡上げして、よく冷やします。

 



 

 ハリハリ鍋はクジラと水菜のシャッキリ感を合わせた鍋ですが、酷暑の中ではきついので、サラダ仕立てにしました。
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 4cm程に切った水菜を皿に敷いて、茹でた葛生打ちミンクを並べ、賽の目の木綿豆腐と大葉や茗荷の千切りをちらしました。これを冷蔵庫でがっつり冷やしてポン酢で頂きます。


 
 

 ミンククジラ
の料理4品が揃ったところでテーブルに運びます。
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 さて、これで何を飲みましょうか。刺身とハリハリ鍋風サラダは日本酒で頂いて、揚げ物は赤ワインにしますか。

 
 

 

 葛打ちしたミンクは表面にジュレのコーティングが覆い、ツルンとした食感で夏に最適。噛み締めるとクジラの旨味がジュワッと溢れます。
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 よく冷やしてポン酢で頂きますので爽やかな逸品です。これ、鶏や畜肉でやっても美味しいと思います。ハリハリ鍋風サラダ、我が家の夏の定番料理にしましょう。

 


 

 

 串カツスタイルの鯨カツです。刺身用ミンクを使った超贅沢な鯨カツです。
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 これで半分。子供達は2本ずつ、我ら夫婦は1本ずつで十分です。





 

 私はコロッケ以外のフライ物は原則として醤油練り芥子で頂きます。
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 久々の鯨カツですが、子供の頃に食べた物とは格段の差です。絶品の美味しさに全員にんまり。豚カツソースで食べている娘よ、それじゃ繊細な味がわからないだろうに。^^

 
 

 

 

 竜田揚げはどうしてこうも美しいのでしょう。白く霜が降りた様に気品を感じます。
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 筋っぽくない上質のミンクですので、竜田揚げの世界でも最高峰でしょう。


 




 

 子供達に日本人とクジラの関わりと今後も大切に利用していくべき資源であることを話しました。私個人としては南氷洋の調査捕鯨よりも領海内のミンククジラ沿岸小型捕鯨が科学的調査に基づいた国家管理の漁業として利用可能になればよいと思っています。沿岸小型捕鯨は地域の文化と密接に繋がっており、日本の伝統としても残すべきだとも思います。ですが、色々な利権も絡みますし、反捕鯨国もさらなる攻撃の手を緩めることはないでしょう。やはり、国としては条約に則った調査捕鯨の正当性を主張し続けていくのでしょう。







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2010/08/29(日) 05:00 | trackback(0) | comment(10)
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ベガサポ

URL | [ 編集 ] 2010/08/29(日) 10:47:32


あーあ、最後まで叔父さんもう涎が出っ放しですけどねえー、

叔父さんのお摘み兼昨夜の夕食は黴臭い?ソーメン、ズルズルなんですから、
もうこんな美味しそうな鯨肉には暫くお目に掛かった事がないですもん、
ご幼少の頃は肉と言えば当たり前の様にこの鯨肉だったんですけどでねえー、

kizママ

URL | [ 編集 ] 2010/08/29(日) 15:06:24

ハリハリ鍋風サラダ,,,とってもnice!ですねぇ。

今じゃ、鯨はなかなか高価なものになって
みかけなくなりましたね。

サエモン

URL | [ 編集 ] 2010/08/29(日) 21:02:14

  ベガサポ先輩 おばんです。

 そうですね。我々の体の一部は鯨で出来ている
と言っても良いかも知れませんね。学校給食では
嫌になるくらい食べさせられました。

 戦後すぐに、マッカーサーも日本に捕鯨を再開
させました。食糧供給に不可欠だったからです。
今後は地球の人口増加に伴い、鯨も資源として
持続的に利用する時代が来るでしょう。

サエモン

URL | [ 編集 ] 2010/08/29(日) 21:05:31

 kizママさん 今晩は。

 宮城県は伝統的な沿岸捕鯨の町があり、ミンククジラ
の捕獲調査が行われている関係でスーパーでも品質の良い
ミンクが手に入ります。

 ハリハリ鍋、、、実に味わいのある鍋ですよね。海の幸
と里の幸が実に見事な逸品を作り上げています。関西人の
美味追求の精神に脱帽です。

壽丸

URL | [ 編集 ] 2010/08/30(月) 12:31:04

こんにちは。
昨日はお世話様でした。
久し振りに沖でお会いしましたね。
帽子もかぶらずジギングをしてるお姿に
「お若いっ!!!」
と、感動しました。

お陰さまでanegoさんとも無事ドッキングでき
美味しいものにありつきました。

ミンク、本当に筋っぽくなくて美味しそうです。
串カツのアップ、堪りませんね。
龍田もめっちゃ美味しそうに揚がってて、
お子様たち、幸せ者です。

愛酒る会

URL | [ 編集 ] 2010/08/30(月) 20:46:19

おばんです。

中学までは、山の中に住んでいたので「鯨」は貴重なタンパク源でしたね
魚売りに来るトラックの荷台に乗り込んで、珍しい海の魚を覗き込んでいました

鯨の味噌漬けをフランパンで焼いたときの香ばしいにおいは、
忘れられません。
それと、塩鯨・・・ご飯二膳はいけました
今はベーコン(赤色)というのでしょうが、皮と脂身にジャガイモ、野菜を煮込んだ鯨汁は今でも食べたいです

いつの時代で、どこに住んでいたんでしょうね

(?_?)

サエモン

URL | [ 編集 ] 2010/08/30(月) 21:24:37

  壽丸さん 昨日はお疲れ様でした。
 
 なかなか、魚群に当たらずきつい釣りでしたね。
帽子、、、曇りだと思って被って行きませんでした。
しかも、サングラスなしに鳥山を探していたので、
今日は目がヒリヒリ。若い頃とは違いますね。

 仙台湾のミンククジラ漁が解禁になるかと期待した
のですが、議論自体が来年に先送りになりました。
鯨を余す所なく利用する伝統的沿岸捕鯨の火を絶やし
たくないですね。

サエモン

URL | [ 編集 ] 2010/08/30(月) 21:25:37

  愛酒る会さん こんばんは。

 鯨、特に塩蔵物は保存性があり、日本中の国民を
救いました。現在の若い世代もそれに助けられた次の世代です。
学校給食の鯨は正直苦手でしたが、ベーコンの旨さはあの時代
格別でした。私はあの赤いベーコンの千切りをさっと炒めて
ご飯に乗せ、醤油を垂らして食べるのが堪らなく好きでした。

>いつの時代で、どこに住んでいたんでしょうね

 昭和20~30年代の新潟か山形の山間部ではないですか? 

アナゴ

URL | [ 編集 ] 2010/08/31(火) 20:45:31

こんばんわ。
 IWCで日本の主張を展開している方々の大変なご苦労にこたえる数少ない方法の一つが、クジラをおいしく食べることだと、私も常々思っていました。 でも味付けや火の通し方の感覚が魚とはちょっと違い、なかなか納得できる一皿となりません。特に日本酒の伴走にはうまくいきません。いますこし修行してみようと思います。焼酎には合わせやすいでしょうかねぇ。

サエモン

URL | [ 編集 ] 2010/08/31(火) 22:46:46

 アナゴさん こんばんは。

 そうですね。質的には畜肉とも魚とも違うのですが、
大阪では実に見事に食べ尽くしていますよ。日本酒に合う
料理も山ほどあります。

 ハリハリ鍋もその一つだと思います。塩鯨と茄子の鍋も
味わい深いものがありますよ。  











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