(10)とんかつ太郎のたれカツ丼

カテゴリー: 外食:丼・オーバーライス

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 まずは、この写真を見て下さい。食堂に入ってカツ丼を注文をして、「はい、お待ちどおさま。」と真顔でこれが出されたら、あなたはどういうリアクションをするでしょうか。「これはたぶんイタズラだ。」と周囲の隠しカメラを探すでしょうか、それとも、「卵は?」と主人に訝しげに聞くでしょうか。もし、ソースかつ丼を知っている方だったら、ソースがかかっていないのではと匂いをかいだりするかも知れませんね。^^


 

 これは、新潟市民に長年愛されてきたたれカツ丼という食べ物なのです。元祖店は古町に本店がありますとんかつ太郎さんで、昭和の初め(終戦直後とも言われる)に考案されたそうです。これとよく似た食べ物にソースかつ丼というのがありますが、起源が定かである福井県のヨーロッパ軒さんのは大正年間に考案されていますので、これがヒントになっている可能性は捨て切れません。調理法が同じ(調味料は異なる)だけでなく、姿形も大変よく似ています。


 

 たれカツ丼の存在は以前より知っていましたが、ソースの代わりに割り下か、そばつゆでも使ったのだろうと興味も湧かず、食指も伸びなかったのです。ですから、今回の新潟食べある記でも、最後に駅弁でタレかつを押さえておけば、良いだろうと思っていました。しかーーし、新潟ご出身のおおさんの熱意で元祖店にご案内頂いたことに、いま心から感謝している次第です。もし駅弁にしていたら、タレかつ丼のあの香ばしさとご飯とのマッチングを知らずに人生を終えていたでしょう。^^


 

 

 

 たれカツ丼の創始店、とんかつ太郎さんは新潟の繁華街古町にあります。赤いテントとタイル張りの壁が一昔前の洋食屋さんの風情を醸しています。
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 まだ、ランチのピーク前なんでしょうか、行列は出来ていませんが、食べ終わって店を出る頃には、外で待つ人たちも多かったです。


  

 

 とんかつ太郎さんは、元々、新潟市内の堀端に並んだ屋台のご出身。屋台で洋食の揚げ物をやっていたなんて昭和初期では先端的だったんでしょうね。
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 天ぷらの屋台は江戸時代からありますので、それを倣って串カツでも揚げていたか、テイクアウトのカツでご商売されていたのではないでしょうか。いずれにしろ、たれカツ丼を食べさせるようになったのは店舗を構えてからのことでしょうね。今では、たれカツ丼をメインにトンカツ定食やハンバーグ、カツカレーまで扱う洋食屋さんの形態となってます。

 



 細長い店内は両サイドにカウンター席があり、それもほぼ満席でした。
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 幸い2階の座敷が空いており、そちらに通されます。


 

 


 席についてじっくりとメニューを眺めます。
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定食類は6種類、ハンバーグ以外はカツ類ですね。丼物ではカツ丼類と玉子丼で5種類ありますが、卵とじカツ丼はありません。名物のたれカツ丼はここでは単にカツ丼です。これがスタンダードなのです。このカツ丼はカツの枚数やご飯の量で以下の3段階に設定されています。

  
   ミニカツ丼       カツ3枚       750円
  カツ丼          カツ5枚       970円
 
 特製カツ丼     カツ7枚      1250円 

 
 おおさんに伺ったところ、ミニカツ丼でも通常の玉とじカツ丼よりカツ量は多いとのこと。昨日、背脂チャッチャ系の燕三条ラーメンも食べてますし、ここは我慢して、ミニカツ丼を選択。若いツネチャンが基本のカツ丼を頼んでくれましたので、その姿は拝めるでしょう。なお、味噌汁はオプションで、なめこわかめから選択します。


 

 
 
 こちらが、ミニカツ丼750円にわかめの味噌汁100円です。
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 全然ミニじゃありません。手の甲くらいのカツが重なってご飯を覆っていますよ。となると、特製の7枚ってのは、一体どんなだろう。

 


 

 ツネチャンの頼んだカツ丼5枚(奥)との比較です。
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 丼の大きさやご飯の量は大きく変化しないようですが、カツが5階建てになり、その立体感が威圧的です。

 

 



 かぶりつく前にもう少し観察しましょう。カツの形は不定形でやや薄目、魚のフライを思い浮かべますね。
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 パン粉はかなり細粒ですね。美味いトンカツの作り方に粗めのパン粉をふんわり立ち上がらせて・・・なんていうのがありますが、これは逆行しており、表面観はミラノ風カツレツCotoletta alla milaneseやヴィーナー・シュニッツェルWiener Schnitzelのような印象も受けます。

 


 

 
ご飯にも特製のたれがちゃんと振ってあります。このたれも美味さの秘訣らしいのです。
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 新潟に来て、のご飯をまともに食べたのは、これが初めてだったのですが、これがまた美味い。宮城に住んでいますと、家庭でも外食でものレベルが高いので、県外に出かけるとご飯に難を感じることが多いのですが、新潟はさすが米所、ご飯がピカピカに光っていて、一粒一粒がしっかり形を維持しています。


 

 


 私はフライ関係には醤油と練り芥子派(コロッケを除く)なのですが、有り難いことにちゃんと装備されていました。
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 メインのたれカツは全く想定外の食感でした。筋や脂身の存在を感じさせず、密に詰まった感じがします。ヒレとはまた違った食感です。ヒレカツ丼は別にありますのでこれは違う。これはモモ肉なんだそうです。モモ肉のカツは初めてかも知れません。薄いけれどしっかり貼り付いている衣とこのモモ肉の締まった食感が今まで食べてきたトンカツとは一線を画すのです。ソースではなく、甘辛い醤油味。これも、蒲焼きや照り焼きのたれのように、ベトッとした甘さではなく、すっきりサラリとしています。このたれカツ丼は、新潟米、モモカツ、特製醤油だれの三位一体からなるもので、どれ一つとして他の物には変えられないでしょう。

 

 

 

 たれカツ丼
、、、甘く見ていました。おおさんに勧められなかったら、食べなかったかも知れません。全くとんでもない損をするところでした。^^ たれカツは駅弁にもありますが、たれが染みすぎて冷めたカツではその真価に触れることは出来なかったでしょう。揚げたてのアツアツを秘伝のたれに浸し、すぐさまご飯に乗せて供される。従って、カリッと引き締まった衣は決してふやけておりません。卵とじカツ丼の美味しさの一つは、割り下を吸った厚い衣にもあるのですが、それとは対極をなす美味しさが新潟のたれカツ丼です。ソースではなく、日本人の味の原点、醤油がベースのたれが使われているところも飽きの来ない美味しさの秘訣ですね。標準のたれカツ丼はカツが5枚ですが、無理なく食べることが出来るでしょう。ソースかつ丼は福井県以外にも我こそ元祖とばかりに点在していますが、たれカツ丼は新潟だけに根付いています。仙台でも食べられたらと思いますが、ご当地のソウルフードは現地の空気の中で食べるものでしょう。また、行けば良いのです。

  

  




とんかつ太郎 古町本店
http://www.tonkatsutaro.com/


所在地:新潟県新潟市中央区古町6番町973 
電 話:025-222-0097 
営業時間:11:30~15:00/17:00~20:30(土、日、祝は~20:00) 
定休日:木曜日、第3水曜日 
駐車場:なし




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2009/06/10(水) 05:00 | trackback(0) | comment(12)
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kazu

URL | [ 編集 ] 2010/08/10(火) 10:50:02

揚げたてをじゅっと、タレに浸し、あつあつのご飯に載せる・・・
それだけで、食欲をそそります。
小泉武夫さんのエッセイ表現思い出しますね。
モモ肉のカツも興味あります。それにしても五段重ねとは・・・
「ああ、肉くいて~」という若者には、ぴったりかもしれません。
一体何グラムなのでしょう。

愛酒る会

URL | [ 編集 ] 2010/08/10(火) 17:25:20

毎日暑いですね。

そう言えば、息子から新潟のカツ丼は違うと聞かされていました。
ソースカツ丼かな、くらいにしか思っていなかったのですが
たれカツ丼でしたか

ボリュームありますね。

風写

URL | [ 編集 ] 2010/08/10(火) 20:13:13

サエモンさんと旅をしていると、まるで食べて欲しい食べて欲しいと、美味いものが自然に集まってくるようですが、本当は研究調査の賜物なんでしょうね。

ところで、卵とじカツ丼、ソースカツ丼、タレカツ丼。
どれが一番古いんでしょう?

コメントを書いていて、不意に学生時代、北陸か山陰のドライブインで、妙に安い鰻丼を注文したら卵とじだったことを思い出しました。

サエモン

URL | [ 編集 ] 2010/08/10(火) 20:35:54

kazuさん コメントありがとうございます。

 小泉先生なら、口の中で唾液がピョロロと溢れ・・・でしょ。^^

スタンダードでモモカツ5枚。新潟では女性でもペロリなのでしょうかね。
実はその上をいく特製を食べている若者が隣の席にいました。
7枚ですよ7枚。中高年だったら間違いなく寿命が縮まります。
グラム数はわかりませんが、7枚食べられるのが羨ましい。
おおさんが撮影に成功しています。

http://pinboke117.blog18.fc2.com/blog-entry-79.html

サエモン

URL | [ 編集 ] 2010/08/10(火) 20:37:12

愛酒る会さん 本当に暑いですね。

 台風の接近で一時崩れるようですが、その後にも
残暑が待ち受けているようですね。

 新潟のたれカツ丼、食べてみないとわかないものですね。
やはり、地元で半世紀以上食べ支えられて来た物には、
それなりの美味しさがあるものです。トンカツ自体がまるで
違います。ロースカツには抵抗がありますが、モモカツは
また、食べたいという欲求に駆られます。^^

サエモン

URL | [ 編集 ] 2010/08/10(火) 20:39:46

 風写さん おばんです。

 旅の楽しみはそこに行かないと吸えない空気ですね。
そして、地元で愛されたきたあまり手垢の付いていない
郷土食の発見です。
 時間がないツアーの場合は、一応、下調べで個性的な
食べ物をチェックして、現地でその脈絡から芋蔓式に
埋もれた食べ物を見つけることがありますね。

 今回、カツ丼を色々勉強して、思ったのですが、意外と
その起源が定かではないのですね。でも、明治維新以降
コートレットが庶民に伝わり、それを従前からあった
卵丼や親子丼と合体させるのは時間の問題だったでしょう。
面白いことにwikiやヨーロッパ軒のHPによると、卵とじ
カツ丼もソースかつ丼も大正年間に早稲田の学生だった
中西敬二郎という人物が絡んでいるということです。
少なくともこの両者は大正時代に早稲田周辺でそれぞれ
影響しながら発祥したのではないでしょうか。

 新潟のたれカツ丼は記事のように、ソースかつ丼を
アレンジして意図的に和風に戻したか、ソースより安くできる
割り下系の調味液を使ったのが始まりではないでしょうか。

ユケチュウ

URL | [ 編集 ] 2010/08/12(木) 06:42:22

おはようございます。

たれカツ丼は、体験したことがない驚きのおいしさだったので、サエモンさんがどのように記事にされるのか、楽しみにしていました。
素晴らしいレポートにあの時の味が口の中に、鼻の中に鮮やかに蘇ってきました。
現地の空気の中で食べるからこそ味わえる「食の感動」、旅の醍醐味ですね。
「たれカツ丼」私にとって記憶に残る一品です。

(お知らせ:HNをユケユケチュウ→ユケチュウに変更します。今後ともよろしくお願いします)

おお

URL | [ 編集 ] 2010/08/12(木) 07:37:43

皆様にお気に召していただけたようで、よかったです。

「たれカツ丼」と申しますが、今回調べていて初めて聞いた言葉でした。
恐らくこれから全国へ売り込むためつい最近名付けたんだと思います。

ちなみにたれカツ丼を食べるのは新潟市周辺のみだと思います。
長岡市には洋風カツ丼なるものがあるそうですし(食べたことなし)。
上越市、妙高市周辺は福井に近づくせいか?ソースカツ丼を出す店が出てきます。

サエモン

URL | [ 編集 ] 2010/08/12(木) 21:55:26

 ユケチュウさん 改名、了解です。

 みなさま、このたれカツ丼に感動を覚えた
ようですね。そうなんです。私も料理の感動を
求めて彷徨っているのかも知れません。
 これからも地方ごとに埋もれた「食の感動」を
探し歩いていきたいですね。

サエモン

URL | [ 編集 ] 2010/08/12(木) 21:56:08

おおさん おばんです。

 そうなんでしょうね。新潟市ではあれがカツ丼の
標準なので、単にカツ丼と呼んでいるのでしょう。
このことだけでも、新潟を訪れた甲斐がありました。
福井のソースかつ丼も気になりますが、新潟の
たれカツ丼を先に食べてしまいましたのでどれだけ
感動がありますでしょか。

wakame

URL | [ 編集 ] 2010/08/17(火) 05:04:34

おはようございます☆

たれカツ丼、今までどんなモノか全く解りませんでした(^^;
ボリュームはありそうですがサクサク頂けそうで、とっても美味しそうですね☆

頂いてみたいけれど、きっと仙台には無いのでしょうね。。(T_T)

サエモン

URL | [ 編集 ] 2010/08/17(火) 05:33:01

  wakameさん おはようございます。

 私も食べるまで完全に誤解していました。
ボリュームがあるように見えますが、意外と
さっぱり食べられます。

 衣はサクサクではなく、パリッかカリッって感じかな。
モモ肉がよく締まっていますので、全体的には硬めの
トンカツです。

 仙台にあれば、嬉しいけど、地元を離れるとだんだん
ずれていくのが世の常、やはり、旅の思い出とともに
残した方が感動も大きいですよ。











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