採り立ての枝豆を堪能(ずんだ編)
カテゴリー: 料理:野菜・果物
前記事では7爺様から頂いた取り立ての枝豆でビールのつまみ用の塩茹でを紹介しました。豆自体に塩味が付く茹で方ですね。この記事ではご覧のようなずんだ餡(ペースト)を使った料理を紹介します。写真は毎年、この季節に作っているずんだ白玉です。暑い日にも涼しげに食べることが出来る逸品ですね。家庭で作ると好みの甘さに出来るので私でも食べられます。よく外で食べますと、頭が痛くなるくらい甘いずんだ餅に出くわすことがありますが、味覚は大丈夫かと心配になります。^^
ところで、このずんだ、世間ではその語源について以下の二つ説が流布しています。
(1)豆を打って作るから豆(ず)打(だ)から訛ってずんだ。
(2)陣太刀(じんだち)で刻んだのでじんだそれが訛ってずんだ。
(1)については豆をずと発音するのは、大豆(だいず)くらいで、ごくまれな読み方です。食べ物ではありませんが、伊豆半島の豆はずでしたね。ずんだは豆を打って作るというより、最初突いて後に擂り潰すのが普通です。打ち豆という食品は別にあり、山形など日本海側に多く見られる大豆の保存食で、豆打(ずだ)だとしたら、こちらの方が相応しいと思うのです。それにずんだ のような調理工程を踏む料理は他にもありますが、その名称に打(うつ)を付けた物は見当たりません。で、私は否定的。打ち豆についてはこちらをご覧下さい。
(2)の陣太刀ですが、戦国時代以前には儀礼用や贈答用に使われる太刀であり、これで枝豆を刻むなど言語道断。おそらく、山形に伝わるじんだんがいわゆる宮城のずんだと同じものであり、じんだんの語源を陣太刀に結び付けたものだと思います。この山形のじんだんが伊達家の転封とともに仙台に伝わり、訛ってずんだになったのでしょう。爺様がずんつぁまと呼ばれるように。では、じんだんって一体何でしょう。
少し大胆ですが、糂汰(じんだ)もしくは糂汰味噌という食品が今でも北九州や山口にあります。糂汰は元来糠味噌や糠床という意味です。北九州では糠床で魚を炊いたものがじんだ煮であり、周防大島ではメバルを焼きほぐして麦味噌で和えたものが糂汰味噌、それを出汁とともにご飯にかけたものが糂汰汁と呼ばれる郷土料理です。糂汰は京都でも糠床を指していますので、恐らく北前船で日本海を北上したものと思われますが、元来の糠床ではなくいわゆる魚の味噌和えとして伝わったのではないでしょうか。でもね、なんで枝豆のペースト和えだけがじんだんで他のじんだんが存在しないのかが、わからないのですよ。ずんだのことをぬたと呼ぶ地方もあり、ずんだが新しい和え衣でぬたと区別するために当時ハイカラだったじんだんを用いたのでしょうか。この辺のところは山形で調査しないと何とも言えませんね。
さて長くなりましたので、ずんだに戻します。ずんだ用の枝豆は塩茹でより長めの5分くらい茹でた方が軟らかくなります。茹で上がったらひたすら豆を剥いていきます。
つまみ用ではないので茹で湯に塩は使わなくてもよろしいでしょう。豆を取り出していくのは結構根性が要ります。音楽でも聞きながら気長にやりましょう。なお、薄皮は取った方が口当たりが良くなり上品になりますが、かなり、目減りします。目減りの具合はこちらをご覧下さい。今回は薄皮ごと作ります。
文明の利器、フープロの登場です。これを擂鉢でやると骨が折れます。
粗く刻んだら、1/3程度を取り出します。これは別の料理に使います。
再度、調味料とともに撹拌し、2種類のずんだ餡(ペースト)を作りました。
右がいわゆるずんだ餡で味醂と白味噌で調味しました。白味噌の代わりに白醤油でも構いませんが、濃口では色がくすみます。左はマヨネーズと胡椒、ケッパーを加えたずんだペースト。何に使うかはお楽しみ。^^
まずは、通常のずんだ餡ですが、冒頭のように白玉団子に和えます。
これをアイスクリームと一緒に食べても美味しいですよ。甘党の方ならトーストに塗っても新しい味を発見することになるでしょう。
ご承知の通り、白玉粉はもち米の粉です。水で練って適当に丸め、沸騰したお湯で茹でれば餅になります。
ちなみに、うるち米の粉は上新粉ですね。近年、米粉としてその利用が各方面で検討されています。
こんな感じに盛り付けました。煎餅の必要性はよくわかりませんが、デザイン的にはよろしいのではないでしょうか。^^
白玉粉の餅も冷めると硬くなります。餅だけ取り出して茹でるか、レンジで軽くチンして冷やしてからずんだ餡と和え直しましょう。
一方、こちらは、マヨネーズ味のずんだペーストです。胡椒も利いて、ディップとしても使えそうです。
たぶん、これのサンドイッチも美味いと思いますよ。
今回はサーモン(ギンザケ)の切り身に乗せて焼いてみようという企てです。
塩胡椒したサーモンはまず皮目をこんがり焼いて生臭さを飛ばしておきます。この後、オーブンで焼きますので皮にだけ軽く焦げ目が付けばよいのです。
シートを敷いた天板にサーモンを並べ、ずんだペーストを厚く塗り付けます。その上にパン粉を振りました。
付け合せのポテト(下茹でしてある)とトマトも一緒に焼きます。トマトは十字に切れ目を入れて塩を振っておきます。
コンベクションオーブンを200℃、20分にセットします。
サーモンはあまり加熱しすぎますとパサつきますので、ずんだペーストの表面が薄く焦げれば出来上がりです。
サーモンのずんだペースト焼きの完成です。
手前のインゲンはサーモンをソテーする時に脇で炒めておきました。
ずんだのグリーンとサーモンの茜色が白い皿に映えていますでしょ。^^
ほろりと崩れるサーモンにマヨずんだのコクと酸味がうまくマッチしてくれました。お盆の精進料理に使う時はサーモンを焼き茄子や豆腐に替えるとよいでしょう。
7爺様から頂いた枝豆でいろいろ楽しんでみました。枝豆の可能性の広さを再認識したような気がします。考えてみると枝豆は大豆なんですよね。豆類の中でも大豆には不思議なくらいにタンパク質が多く含まれます。だから、分解されてアミノ酸になる過程で多くの旨味成分に変化します。味噌や醤油が大豆から作られる訳はそこにあるのですね。今年も宮城の郷土料理ずんだを作りましたが、果たしてその起源はどこにあるのでしょう。これを解き明かすことにロマンを感じますね。現代に残されたじんだんの分布と史実を調べることでいつの日かずんだのルーツも見えてくるでしょう。
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