(4)新潟名物カレー味の空揚げ
カテゴリー: 外食:その他
カラッと揚がった鶏半身の空揚げ。豪快にかぶりつきたい衝動に駆られます。これも新潟市民のソウルフードの一つなんです。。。と書きますと、前々記事のイタリアンといい、フライドチキンといい、新潟の人は欧米化されやすいのかと思ってしまうかも知れませんね。でも、この鶏の空揚げは歴史や成り立ちがまるで異なる歴とした新潟生まれの郷土料理なんです。
今から50年前の昭和34年(1959)、養鶏業者だった関正吾さんが経営不振の苦境を打破すべく、市内で始めた屋台の鶏の空揚げ屋が起源なのです。細かく一口サイズに切ると無駄が出る、屋台なので下味の漬け込みも面倒、そこで、塩味の半身の空揚げに行きついたそうです。その後、子供たちの嗜好を意識して、カレー粉を振って揚げたのが大ブレーク、大繁盛してせきとりというお店を窪田町に構えました。カレー味の空揚げは新潟中に広まり、これを扱うお店も増えていったそうです。
ところで、空揚げのことを唐揚げと表記する場合もありますが、本来、衣を付けず空で揚げるところから来ていますので、私は以前より空揚げを使ってます。
新潟市のふるまちモール(古町通り)は仙台で言えば、一番丁の商店街。並行する本町通りとともに新潟一の繁華街です。
仙台の一番丁ですと、西側に国分丁や稲荷小路などの飲み屋街があるのですが、古町通りは北端が飲み屋の多いゾーンとなってます。
さて、新潟で生まれた鶏の空揚げに挑戦すべく、地鳥庵さんの暖簾を潜ります。
地鶏庵さんは新潟県内のみならず、県外にも店舗があるフランチャイズのお店です。なんと、国分町にも店があるそうです。知らなかったぁ。カレー味の他にも、ガーリック味や塩コショウ味もありますね。若鶏半羽まるかじりですって。そそられますね。^^
店内は天井の高い山小屋のような造りで、至る所に昭和レトロが散りばめられています。
どの席も半個室のように区切られており、女性でも安心して空揚げにかぶりつくことが出来ますね。
この日も30℃近い暑さでしたので、まずは生ビールで喉を潤します。
この一瞬のために水分を控えてきました。^^
空揚げが揚がるまでに、冷や奴と十全なすの漬物を頂きます。
十全なすは新潟特産の品種です。泉州(大阪)の水ナスが起源と言われ、皮が軟らかく、水分含量が多い丸ナスです。長岡の巾着なすも同じ系統です。ジューシーなので梨なすと呼ばれることもあります。蒸し物にもされますが、ミョウバンと塩で漬けて、練り芥子で食べるのが一番です。
さて、出来上がりました新潟名物カレー味の若鶏半羽揚げ。みんなで食べやすいように切ってもらっています。
ほほぉ~、これは美味い。アメリカのフライドチキンは一度も美味しいと感じたことがありませんが、これは素晴らしい。カリカリの表面と肉汁滴る絶妙な揚げ具合です。カレー粉の風味も鶏とよく合います。考えてみますと、カレー粉はターメリックの黄色とクミンの個性的な香りが突出してますが、数十種類の複合スパイスですので、空揚げの下味にも効果を発揮するのですね。
一方、こちらは蒸し焼きというものですが、単なる蒸し鶏ではないようです。
下味を付けた半羽鶏を一度蒸してから、焼き目を付けたようです。さっぱりとして、空揚げとはまた違った味わいです。皮が外してるのもさっぱり感を出すためでしょうか。
さらっと飲んで通りに出ますと、宵闇が迫り、街を照らす行燈が幻想的な雰囲気を醸し出していました。
さて、これから本格的に新潟の夜を楽しみますよ。^^
新潟県民にはイタリアンといい、カレー味の空揚げといい、体裁よりも美味けりゃええの精神があるのかも知れません。ちょっと大阪のエスプリを感じてしまいました。これは後の記事で登場するたれカツ丼にも言えることです。冬の間、雪に耐えて暮らしてきた新潟の人々は、掛け値なしの美味しさの追求で暮らしを豊かにしてきたのでしょうか。ともかく、半羽で揚げることで旨味や水分が逃げにくいこの空揚げは、創業者の狙い通り、新潟にしっかり定着して、我々旅の者にも喜びを与えてくれています。意外と知られていない新潟のソウルフード、訪れた折には是非、ご賞味あれ。
地鶏庵 古町店
所在地:新潟県新潟市中央区古町通八番町1499-2
電 話:025-224-0828
営業時間:18:00~翌2:00
定休日:無休
駐車場:なし

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