(1)新潟食い初めは燕三条ラーメン
カテゴリー: 外食:ラーメン
いま私は上越新幹線ときで新潟に向かっています。仙台を早朝に出て、大宮で乗り換え、3時間ほどで新潟に着く予定です。考えてみると、上越新幹線に乗るのは初めてかも知れません。ですが、やまびこと同じ見慣れた200系の車体が、旅を感じさせません。今回は2010年6月26日~27日、新潟ご出身のおおさんがプロデュースされた新潟食い倒れツアーのご報告です。中身の濃いツアーでしたので全部で12編になる予定です。
宮城県は食材王国を標榜していますが、新潟県はうまさぎっしり新潟がコピーです。
ロゴマークも名産の食材10品を箱にぎっしり詰め込んだイメージです。左のように周囲の単品マークも詰め込まれた姿をそのまま取り出して使っています。なかなか手の込んだロゴに感心しつつ、食べ物に満ち溢れた新潟への想いがますます募ります。
新潟県って、私の中では北関東の西隣というイメージが強かったのですが、こうして地図をよく見ると、北の方は宮城県と同緯度のゾーンもありますね。
新潟県と山形県の県境から真東に線を引きますと、小牛田や雄勝を通ります。県庁所在地の新潟市でも丸森と同じ緯度なんですね。右のように新幹線で大宮経由で行きますとほとんどV字ターンのような行程となり、遠く感じるのですね。直線距離ですと、仙台市と新潟市は盛岡市との距離とほぼ同じです。こんなに近いのに、今までよく知らない県でした。この機会にじっくり勉強したいと思います。
今回の新潟食べある記は新潟市内で開催されますが、私はちょっと寄り道をしていきます。新潟の一つ手前の駅、燕三条です。
燕三条というのは新幹線の駅名ですが、燕市と三条市を組み合わせています。両市とも古くから金属加工の街として栄えてきました。列車が燕三条駅に近づきますと、右手にキャプテンスタッグの工場が見えました。キャプテンスタッグはパール金属(株)のアウトドア用品のブランド名で、子供達が小さい頃、オートキャンプで大変お世話になりました。テントからガスバーナーまで、我が家の御用達でした。
燕三条駅の構内には観光物産センターがあります。
途中下車の目的遂行までにまだたっぷり時間がありますから、立ち寄ってみます。
生活に密接した金属製品が種々展示してあります。
当然ながら、金属加工品が多くを占めます。私は調理器具を眺めているだけで、小1時間を過ごせます。^^
さて、途中下車の目的地は燕三条駅から弥彦線に乗り換えて二駅の西燕にあります。
草の生えた単線が実に郷愁を誘います。大分焼酎二階堂のCMが聞こえてきそうな光景ですね。^^ 程なく、可愛い黄色の電車がやって来ました。この電車、ドアが手動なんです。仙石線のようなボタンじゃなくて、手で引き開けるのです。
西燕駅に近づきますと、左手に目的である杭州飯店さんの大きな看板が見えてきました。
ずいぶん、駅の手前ですから、少し歩くことになりそうです。でも、このランドマークはこの町のどこからでも見えるでしょう。そうです、この寄り道ミッションの目的は、こちらのお店でラーメンを頂くことなのです。
新潟のラーメンは全国的にはあまり知られていないのですが、大きく以下の4つのカテゴリーに区分されています。
あっさり醤油ラーメン(新潟古町)
背脂極太ラーメン(燕三条)
生姜風味濃厚醤油ラーメン(長岡)
割りだし味噌ラーメン(新潟巻町)
目指す杭州飯店さんは燕三条系の背脂極太ラーメンの有名店です。元祖の福來亭さんから派生したのですが、現在はこちらの方が評判が良いようです。
住宅地の中を歩いていますが、いくつも金属加工の町工場が見られます。
鉄だけじゃなくて、ステンレスや銅の加工場もあります。今日は土曜日ですが、いくつかの工場からは機械の音が聞こえてきました。
道路の中央には水の噴射口のようなものが点々と並んでいます。
雪を溶かすためにお湯でも流すのでしょうか。よく温泉場などでは見られますが、ここでも温泉が湧くのかな。 道路はどこも赤錆色に染まっています。流す水に鉄分が多いのか、金属加工の街だから鉄粉まみれなのでしょうか。
やっと、到着しました燕三条ラーメンの人気店、杭州飯店さんです。
近いようで結構の距離がありました。気温は28℃、もう汗だくです。これから冷やしラーメンではなく、背脂こってりのラーメンに挑戦するのです。^^
店内は本格中国料理店のように豪華な装飾が施されています。
背脂ちゃっちゃ系のラーメン店とは思えませんね。上品な清湯野菜そばが似合いそうです。店内は広く、座敷もあって全部で80席。開店前にはお客がやって来ますが、これだけ広ければ昼時でも入れるでしょう。
燕三条系背脂極太ラーメンは分類上の名称。地元では単に中華そばです。
スペシャルメニューの牛すじ煮込みに気が惹かれますが、浮気はしません。ラーメンを食べるために遙々やって来たのです。
これが中華そば750円。一面背脂に覆われています。これは手強そうですね。
背脂ちゃっちゃ系は仕上げで背脂を網杓子で潰しながら振りかけます。従って、丼はベトベト、丼の下には見えないのですが、皿が敷いてあります。隣のお客さんが、背脂増しを頼んでいましたよ。
トッピングは煮豚と煮染めたメンマ、それに特徴的な粗微塵切りの玉葱です。
このミスマッチにも見える玉葱が背脂のこってり感と調和します。
そして、何と言ってもこの麺。単なる極太麺ではありません。
一本の麺の中に決して同じ幅、厚みが存在しません。まったく規則性がない乱れ打ちです。どうしたら、このような麺ができるのでしょう。厚めに伸した生地を乱切りにして手で捩じったり、引っ張ったりするのでしょうか。それに、太い部分も細くて薄い部分も茹で上がりにあまりむらを感じません。不思議な麺ですが、相当の技術の裏打ちがありそうです。
この背脂ラーメンには胡椒より一味唐辛子が似合います。
新潟や山形の食習慣から来ているのかもしれませんが、胡椒では背脂に負けてしまうのか知れません。
さすがにスープまでは飲み干せませんでしたが、丼の縁の文字が目に止まりました。元祖店福來亭さんの記載があります。
やはり元祖の福来亭さんを尊敬されているのでしょうね。ちょっと、微笑ましく、また、律儀な姿勢も感じました。
開店前の駐車場と食べ終わって帰る時の駐車場です。わずかな時間で広い駐車場が埋まってしまいます。
やはり人気店は違いますね。土曜日ですから家族連れも多いのですが、今日も仕事なのでしょうか、金属工場の工員さんも来店していました。
再び駅まで歩いて汗びっしょり。西燕は無人駅ですが、目の前に酒屋さんがあります。で、さっそく水分補給。^^
電車が来るまで小一時間あります。誰もいないので心置きなく、ビールを味わいます。電車の旅もいいもんですね。
新潟での食べ始めはラーメンでしたが、以前より憧れていていた燕三条系だけに感動も大きかったです。 燕三条の背脂極太ラーメンは、昭和の初期にはあったとされています。特徴である背脂と極太麺は、金属工場で働く方々への出前が作り上げたそうです。つまり、冷めたり麺が伸びたりしないように、表面を脂でシールドし、麺も極太にしたというのです。
この燕三条系ラーメンは東京で四半世紀前に広がった背脂チャッチャ系ラーメンのモデルになっているのではないかとか、もしかしたら、二郎のラーメンはこれがヒントになったのではないかと空想が広がります。この背脂系のこってりラーメンの場合は二郎のように茹で野菜がこんもり乗った方が口直しや栄養的なバランスの面でも良いのではないかと思ってしまいますが、地元でこのスタイルが長年愛されてきたのですから、この伝統は尊重しないといけませんね。新潟食べある記、このあと11編ほど続きますが、最初からガツンとくる食事となりました。
杭州飯店
所在地 :新潟県燕市西燕49-4
電 話 :0256-64-3770
営業時間 :11:00~20:30
定休日 :月曜日(祝日の場合は翌日)
駐車場 :50台

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