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家庭にある道具で一人分の蕎麦を打つ
カテゴリー: 料理:麺類

ちょっと、この蕎麦を見て下さい。太さがバラバラできし麺みたいにヒラヒラした部分もありますね。決して、粋な蕎麦とは言えませんが、これはこれで舌触りや嚙み心地も面白かったです。
決して乱れ打ちに目覚めて、一人で悦に入っているわけではありません。実は蕎麦打ち道具を使わないで、一人分の蕎麦を打ってみたのです。初めての試みなので、麺幅も乱れていますが、慣れてくれば普通の蕎麦のように打てるでしょう。
蕎麦打ちを始めて3年になりますが、一度、蕎麦を打つとなると少なくとも蕎麦粉で500g、打ち上がりで150g6人分位打たないと練習になりません。ところが、これを食べていくのは、いくら蕎麦好きでもけっこう大変です。毎週、打っていると家族からもクレームが来ます。
そこで、蕎麦を食べたいと思い立った時にさっと、一人分をごく手軽に打てないかと以前からずっと考えておりました。蕎麦打ち道具も一通り揃えると何万円にもなりますので、キッチンにある道具でササッと打てると、蕎麦打ちをこれから始める人に勧めるにも好都合なのです。
で、さっそく試してみることに。パン・ピザ用麺棒とステンレスのボールを用意しました。さすがに蕎麦粉と打ち粉は本物を買い求めるしかないですが。^^

分量は一人分で蕎麦粉80g、つなぎの中力粉20g、水45ml、打ち粉適量です。水は必ず軟水(硬度が60㎎/L以下)を使って下さい。我が家は大倉ダム系の水道水なので硬度は20㎎/L程度で蕎麦に最適です(市町別硬度はこちらでご確認)。硬度が高い場合は、コンビニでも手に入る南アルプスの天然水や六甲のおいしい水などの軟水を使いましょう。硬水で打ったことのあるプロの方は、香りが消え失せたと申しておりました。勿論、水道水ですので、浄水器を通してから使っています。
ボールに蕎麦粉とつなぎを入れてよく混ぜ合わせます。菜箸を使うと混ぜやすいです。



続いて、水を一気に入れて、直ちに攪拌します。いわゆる水回しですが、量が少ないのでこれも菜箸の方がやりやすいのです。多少、粘りが出てきて小豆や大豆粒くらいになってきましたらまとめます。
まとめはボールの中でやりますが、こねるには狭いので、キッチンのトップを綺麗に洗ってここで練り込みます。


こね鉢の中のようには行きませんが、つやが出るまで練って、傷を中へと包み込みへそを出します。
平らに押し潰して、打ち粉を敷いてからのしへと移ります。


掌を使って丸く厚さ5mm位に伸ばします。
続いて長さ35㎝の麺棒でさらに薄くなるようにのしていきます。

通常の蕎麦打ちですと、両掌を内外へ動かしてのし棒を前後に転がすのですが、麺棒に長さがないので前後する幅も小さくなります。まあ、麺体も少ないので何とかなりますが。
今度は生地を麺棒に巻き付け、いわゆる角出し作業に入ります。


麺棒に巻き付けて転がすことでその方向に生地が伸びていきます。続いて90°回転させ、直角方向にも伸ばします。
そうしますと4つの角が表れて、生地が四角くなります。

この後が本のしで、さらに薄くのばします。量が少ないのでいつもの力でのしますと薄くなり過ぎます。この時も1.5mmを超えて1mm位まで伸ばしてしまいました。
伸ばした生地は折りたたんで切りの準備に掛かります。


麺の長さは25cm位は欲しいので、半分にたたんだ後、四つ折りではなく三つ折りにしました。打ち粉をたっぷり使ってたたまないと切っている途中で麺がくっ付き合います。
ここまでは比較的順調に来たのですが、問題は次の切りです。

キッチンにある道具ということで始めてますので、蕎麦包丁は使わず、普通の包丁と駒板の代わりに菓子箱を用意しました。こんなんで本当に切れるのかな。。。
これが非常に難しかったです。

まず、包丁に重みと刃の長さがないので、引き切りになります。通常、切った後に包丁を傾けて駒板を麺の幅だけずらすのですが、この箱の反対側の底角が麺に引っ掛かって上手く滑らないのです。送りがいい加減になりますと切り出す麺の幅も乱れます。途中から箱は包丁で押すより、軽く持ち上げて左手でずらすようにして切りました。
なんとか、打ち終わり、茹でに掛かります。

麺がかなり薄めになりましたので、茹で時間は40秒。救い上げて一気に冷水で締め上げます。
打ち幅にかなり乱れがありますが、何とか蕎麦の範疇に収まっていると思います。


粉は常陸秋そばですので、風味は上々。後片付けも入れて作業を始めてから40分程度で完了しますから、思い立ってからでもささっと手打ち蕎麦を啜ることが出来ます。
まだ、切りの作業に工夫が必要ですが、キッチンにあるもので一人分の蕎麦を打つことは可能のようです。これで「今日も蕎麦なんだけど。」と家人の顔色を伺う必要もなくなりました。^^
ただ、こんな蕎麦打ちばかりやっていますと、本格的な道具で多人数分を打つ技術が劣化しますので、定期的に正統な蕎麦打ちを続けることには変わりがありません。この少量お手軽打ちは、蕎麦打ちを始めたいのだけれども、道具への投資に踏み込めない方にお勧めしたいと思います。でも、せめて小型の駒板位は桐材でも買ってきて作っておいても良さそうです。
【 追 記 】
そこで、小さな駒板を作ってみました。進行方向のエッジを削り、麺体に引っ掛からないようにしています。


薄い松材と細い角材で作っていますが、400円でこんなのが3つも出来てしまいました。^^
ん~。。。やはり包丁の刃渡りが足りず、柄が駒板に引っ掛かってしまいます。裁ち蕎麦のように刃を立てて、引き切りにしないと綺麗に切れません(下の写真は蕎麦包丁)。


菓子箱よりはずっと切りやすくはなりましたが、蕎麦包丁の偉大さが実感できますね。蕎麦包丁の柄は刃の上についている理由もよくわかりました。^^
それでも、食べるには全く問題ありません。この程度の蕎麦が出てくるお店もあります。


まだまだ、家庭の道具での少量蕎麦打ちには改良が必要ですが、切りだけはせっかく本物を持っているのだから、自分で食べる時には、やっぱり使いましょう。^^
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2017/02/20(月) 05:00 | trackback(0) |
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