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毎月第3水曜日はみやぎ水産の日。毎月、この日の夜にメルパルク仙台におきまして海の幸料理教室を開催しております。11月のお薦めはこれからどんどん美味しくなる牡蠣です。今回は牡蠣の殻開けも習得して3品を作ります。
この料理教室はただ単に料理を習うだけではなく、毎月、取り上げる水産物の漁業・養殖の原理や歴史、生物学なども勉強します。




特に今回は牡蠣の殻開けに必要な体の構造について詳しく説明しています。貝柱(閉殻筋)の位置が殻の外側からでもわかることが殻開けの必要条件になります。
牡蠣の貝殻はカップのような左殻と平らな蓋のような右殻から成ります。右下の写真のように殻を開けると薄い蓋がよくわかります。



中にはどっちがカップでどっちが蓋か悩むような牡蠣もありますが、市販されている殻付き牡蠣は形の良いものを選んで販売されていますので、大体わかります。
牡蠣の殻を開けるのに宮城の牡蠣養殖業者はこのような専用のカキ剥きナイフを使います。

好みもありますが、宮城県の養殖業者はT型を使う人が多いように思います。それは殻の開け方に関係します。T型は手の平で壁を押すように腕と刃が一直線になり、強い力で押すことが出来ます。一方、I型は手首をやや曲げて刃を刺すような手付きになります。わかりにくいですね。以下に開け方の実際とナイフの使い方を解説します。
【開殻 その①】
まず、あまり力の要らないオイスターバーなどでの開け方で、形の良い殻付き牡蠣に適しています。ナイフはI型を使うことが多いです。

牡蠣の殻は硬いのですが、先端部は薄いので、そこを破壊して刃を挿入します。ただ、この開け方は刃の延長上に殻を持つ手がありますので正面突破の際に力を入れ過ぎて、刃が殻から外れると怪我をすることがあります。慣れるまでは、先端部を上から破壊して、穴が開いたら刃を挿入し直すようにしましょう。
どの開け方でも牡蠣を持つ方の手にはグローブを装着して下さい。牡蠣殻のエッジで手を切ることがあります。
刃を挿入したら平らな蓋に沿って奥に進み貝柱に当たったら、殻との接着部を切るというより剥がすような感じで刃先を振ります。

慣れるとわかりますが、貝柱は上手く刃を使うと外れるのです。貝柱も可食部ですから、殻に残すと勿体ないのです。
引き続いて蓋を外し、カップ側に着いた貝柱を外します。


この時も切るのではなく、殻から外すように刃先を殻を密着させて数回振ります。貝殻片を出さないように身を外せれば、下側の貝柱を外した状態で殻内水とともに、そのままハーフシェルで出せますが、身と殻を一度、塩水で洗い、再び身を殻に戻した方が安全です。
【開殻 その②】
上記の開け方は先端部を破壊する際にリスクが伴います。初心者の方には先端部をペンチやニッパーで切るこちらの方法をお勧めします。


これですと時間は掛かりますが、安全に先端部に穴を開けることができます。
そこから牡蠣剥きナイフを挿入させますが、穴を広げればテーブルナイフでも貝柱を外せます。

この際くれぐれもフルーツナイフやペティナイフのように鋭利な刃物は使わないで下さい。
蓋側の貝柱が外せれば、後は同様にカップ側も外します。

テーブルナイフだと幅が広く、どうしても殻内での動きが多少鈍くなりますね。これから自宅で牡蠣を剥いてオイスターパーティーをやりたいなと思い始めましたら、牡蠣剥きナイフを1本買いましょう。^^
【開殻 その③】
さて、これまでは殻の形の良い一粒牡蠣に適した剥き方でしたが、養殖業者はあらゆる形の牡蠣も素早く剝かなければなりません。そのため、宮城ではこのような開け方がプロ仕様です。

殻の先端からのアプローチではなく、側面から挿入します。貝柱までの距離は短くなりますが、殻に厚みのある部分を突破しますので、力が要ります。そこでT型ナイフの方が有利になるのです。
刃先は蓋に水平にではなく、上からカップの内縁を添うように挿入し、貝柱に接近させます。従って、刃の延長上に殻を持つ手がないので万が一、刃先が殻から外れても怪我をするリスクが小さくなります。
貝柱に達しましたら、上記の手法と同じく刃先で貝柱を剥がすように外します。

カップ側の貝柱が離れましたら、身が付いたままの蓋をカップから外します。
身をめくり貝柱を見ながら、やはり同様に接着部を外していきます。


奇麗に殻から貝柱が外れると身持ちが良いものです。この開け方は多少力が要りますが、どのような形の牡蠣でも短時間で身を取り出せるので、宮城のカキ養殖業者の方々に定着しています。
たとえプロが剝いたとしても数をこなす場合には貝殻片が混入したり、貝柱に付着したままになったりもしますので、剥き身は塩水で洗います。


一粒ずつ丁寧に汚れや貝殻片を取り除き、笊で水気を切ります。現在、各浜の牡蠣処理場も再建されて、衛生的な環境で剥き牡蠣が生産されています。剥いた牡蠣の身も濾過された海水で洗浄されていますので、昔のように大根おろしまで使って洗う必要はありませんが、貝柱に貝殻が付着していることもありますので、剥き身を買った場合でも一粒ずつ軽く塩水で洗いましょう。
さて、今回のお料理ですが、最初に牡蠣の中華風スープを作ります。


鶏ガラスープで白菜や長葱を煮ていきます。柔らかくなったところで牡蠣の身を加えます。生姜の千切りも加えています。
濃厚な牡蠣のスープは体が温まります。器によそってからスープ春雨も投入しました。

味付けは塩と日本酒のみ。最後に五香粉と胡麻油を振って風味付けをしました。
こちらは牡蠣ご飯を炊く準備です。

最初に牡蠣の剥き身を醤油、日本酒、味醂で炊いておきます。醤油の分量は米一合に対して大さじ1杯になります。
今回は牡蠣も一緒に炊き込んで、ご飯へ旨味を十分に移しました。

牡蠣は炊き込んでも硬くならないのでこの炊き方が出来ますが、ホッキガイ等は下煮した身を後から炊きあがったご飯に混ぜ込んだ方が良いでしょう。
三つ葉を天盛りして出来上がりです。

柚子皮の擂りおろしを振ってもよいでしょう。今回は餅米を20%混ぜ込みましたので、もっちりとした食感も楽しめます。
続いて、こちらは焼き牡蠣ですが、豪華なハーブソースを使ったオイスター・ロックフェラーというアメリカの焼き牡蠣です。


茹でたホウレンソウ、パセリ、青葱などの微塵切りにパルメザンチーズ、マスタード、オリーブオイルなどを混ぜ合わせ、殻に乗せた身の上に被せてから焼き上げます。最後にパン粉を振るのを忘れてしまいました。^^
レモンを添えて完成です。

この料理、ニューオリンズの創業100余年のアントワーヌズ(Antoine's)というレストランで創製された料理で、大富豪のロックフェラーが好きでよく食べに来たわけではありません。豪華なソースを使ったので肖った命名です。
さて、食卓に運んで試食です。鮮度抜群の牡蠣を堪能して下さい。


自分で作った牡蠣料理です。美味しさも一入(ひとしお)でしょう。
毎月、河北TBCカルチャーセンターで第三水曜日の夜に開催されるみやぎ水産の日海の幸料理教室。いつからでも参加できます。単なる料理教室ではなく、その月のお薦め水産物をあらゆる角度から勉強もします。実質2時間ですが、中身の濃い料理教室ですので、是非、お問い合わせくださいませ。
【お問い合わせ・申し込み】
河北TBCカルチャーセンター http://www.culture-ktc.co.jp/kouza/shoku.html
【メルパルク教室】
〒983-0852 宮城県仙台市宮城野区榴岡5丁目6-51 メルパルクSENDAI 3F
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2016/11/28(月) 05:00 | trackback(0) |
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