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夏向きのカツ皿を小鍋立てで

カテゴリー: 料理:水産加工品

 
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 こんな料理作ってみました。ご覧のとおり、カツ丼の頭、つまりカツ皿なんですが、トマトがたっぷり入ってバジリコも散らしてあります。決して日伊折衷を狙ったわけではなく、夏バテしないようにとカツ皿を思い付いたのですが、この暑さではくどすぎます。そこで、トマトの酸味を加えてさっぱり食べようとしたのがこのカツ皿です。これは呑みながら卓上で作りました。



 今回はトンカツではなく白身魚のフライです。仕事帰りにスーパーで買ってきたものです。どこの国の何という魚かは知りませんが、お肉より普通に魚が好き! ^^
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 あとはフライと玉葱を切って卵とともに食卓へ。卓上料理である小鍋立ては呑みながら料理できるので、独り身(妻が介護帰省中)には有難いのです。^^


 まず、鍋に自家製蕎麦つゆをお湯で割って入れ、プチトマトと玉葱を煮ていきます。蓋をした方が熱効率が良いですね。
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  卓上には300~600Wまでの火力可変電熱器を用意して、煮えるまでの間、適当に見繕った前菜で焼酎の炭酸割をグビグビやって待ちましょう。夏はこのパターンが好きだなぁ。。。


 さて、トマトと玉葱が煮えたところで、フライを並べ、溶き卵を回しかけます。
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 ここまでキッチンで調理してから卓上に運ぶと晩酌開始までに時間が掛かってしまいます。前菜で軽くやって、食欲が出てきた頃に主菜であるカツ皿が出来上がるって、合理的じゃないでしょうか。出来立ても食べられますし。^^


 完成です。レモンを絞ってさらに清涼感を加えます。
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 バジリコの香りも爽やかさの相乗効果となっています。この料理、イタリア人やスペイン人も絶対好きになるだろうな。ベースは醤油と鰹節などの和風だけど、トマトが完全に国籍変換させています。ニンニクを加えたら、完全にラテン系料理ですね。


 卓上調理の楽しみはこれだけではありません。残った汁にお湯を足して、プチトマトやハム、シメジなど適当な具材を放り込みます。〆の料理に取り掛かります。と言っても、これでまた呑めるのですけどね。^^
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 具材が煮えましたら、そこへ細かく折ったバーミセリかスリットの入ったはや茹でタイプのスパゲッティーニを投入。汁とパスタは2:1(重量比)位になるようにして下さい。つまり汁がカップ1杯位ならパスタは90gとなります。あまり、厳密ではなくても大丈夫。最初、蓋をして汁けがなくなってきたら、焦げ付かないように掻き混ぜます。


 汁けが飛びましたら、パスタの硬さと味を調整して、最後にオリーブオイルを一回し。もちろん、北限のオリーブオイル、ベネト州のSalvagnoです。
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 この料理はPaella de pasta、つまり、パスタのパエーリャです。スペインのFideo(フィデオ)と似ていますが、日本流のスープ炊きスパですね。これのことをFideua(フィデウア)として紹介しているサイトが結構ありますが、スペイン人が見たらムカつくでしょう。^^


 以前、Fideo(フィデオ)とFideua(フィデウア)を徹底的に調べてみたことがありました。ご関心のある方はこちらをご参照くださいませ。きっと、役に立つと思います。

フィデウアFideuaに関する考察(1) 

フィデウアFideuaに関する考察(2) 

フィデウアFideuaに関する考察(3) 


本物のフィデウアFideua 



 さてさて、夏の卓上調理は暑苦しくも感じますが、日本の鍋物と違っていつまでも炊きながら食べていくのではなく、呑みながら次の料理をささっと作る感じなので暑さはさほど気になりません。今回はちょっとイタリアンな献立でしたが、こんな晩酌スタイルを広めていきたいですねぇ。気まま晩酌は一人の時しか出来ませんので、今のうちに目一杯楽しんでおきます。^^

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2016/08/29(月) 05:00 | trackback(0) | comment(0)

【岩沼市】三陸海の幸勉強会~夏のご馳走~

カテゴリー: 未分類

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 4月以来、新しい仕事に慣れるのに精一杯で、少し疎かになっていた魚食普及活動ですが、「いわぬま食育研究会」の皆様からご要望があり、先日、仙南地域では初めての三陸海の幸勉強会を開催致しました。


 始めに、布田会長のご挨拶がございました。布田会長は岩沼市議会議員もされております。
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 この後、初めての会場ですので宮城の海と水産業の特徴東日本大震災による被災と復興状況などを小一時間プレゼンさせて頂きました。


 ちなみに、本日のお献立は以下の三品です。簡単な料理ということでご要望されておりました。レシピはこの記事の最後に掲載しています。

 
  海の冷や汁 白石温麺を添えて 
 若布と卵のガーリック炒め
 復興飯(若布と銀鮭の混ぜ御飯)
    

 まず最初にご飯を炊いている間に復興飯の具材を整えます。
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 復興飯は養殖業の復興の象徴である銀鮭若布の混ぜ御飯です。レシピには塩銀鮭と記載しましたが、このシーズン(8月初旬まで)は養殖銀鮭が水揚げされていますので、生銀鮭が購入できます。ただ、塩をしてありませんので、米1合当たり3gの塩を皮と骨を取った身に振りかけてよく叩き合わせておきます。

 おにぎりや炊き込みご飯は人間の体液の塩分濃度0.9%前後で美味しく感じます。米1合を炊きますと、約330gになりますので、3gの塩を加えるのです。これに戻して刻んだ塩蔵若布からも塩味が加わりますので、若干少なめにして置いた方が無難です。


 ご飯が炊き上がりましたら、まず、銀鮭の身をさっくり混ぜ合わせてご飯の余熱で加熱します。
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   100℃以下で加熱しますので身もふっくら。銀鮭に熱が通りましたら若布をよく混ぜ合わせて完成です。塩蔵若布はボイルしてありますので、加熱する必要はありません。


 復興飯の完成です。塩味も丁度良い具合に決まりました。
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 実際は具材を混ぜ合わせるのは食べる直前で、ご飯が炊ける間に他の料理も作っているのです。


 銀鮭の切り身から外した皮や小骨はパリパリの煎餅にします。
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 油で揚げず、レンチンして作りますので、ヘルシーなスナックです。ビールのつまみに最高。


 さて、ご飯を炊いている間にもう1品。若布と卵のガーリック炒めに取り掛かります。
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 まず、多めの胡麻油でスライスしたニンニクを気長に炒めていきます。

 
 ニンニクがカリカリのニンニクチップスになりましたら取り出して、若布、卵の順に炒め合わせます。
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 味付けは麺つゆと醤油を半々でかけ回します。麺つゆだけだと甘味が強過ぎます。


 若布と卵のガーリック炒めの完成です。ガーリックチップスを乗せる前に撮影してしまいました。^^
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 この惣菜は冷めても美味しく、お弁当にも便利です。お子さんもこれなら若布も沢山食べることが出来ます。


 さて、最後に冷や汁作りに取り掛かります。
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 冷や汁と言いますと、宮崎県のものが有名ですが、こちらは埼玉県の作り方で、こちらの方が夏向きでさっぱりと頂けます。冷や汁を知らない方にこれをお出ししますと、冷めた味噌汁のような印象を持つようです。これは大きな間違いで、山形の冷やしラーメンが冷めたラーメンではないのと同じように冷たく頂くための作り方をしています。

 冷や汁と簡単に申しますが、夏野菜の冷製胡麻スープと言った方が正しいように思えます。たっぷりの煎り胡麻を擂って味噌を加え、スライスした茄子や胡瓜をこれでもかと言うほど突き合わせます。味噌の塩分で野菜がしんなりしたところに氷水を加えて完成です。後でお椀に盛り付けてから、刻み若布としらす干しを天盛りして、少しっぽさを出しました。^^


 涼味たっぷりの冷や汁の完成です。
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 薬味として、長葱や大葉、茗荷などがよく合います。これに崩した豆腐なども合いますね。夏の暑い日にご飯にこの冷や汁をかけて掻き込みますといくらでも入っていきます。今日はこれに白石温麺を添えて頂きます。


 本日のお献立の完成です。
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 ちょうど1時間くらいで出来上がりました。夏は汗をかきますので、適当な塩分の補給は大切です。


 こちらが銀鮭若布の混ぜご飯である復興飯です。
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 銀鮭が低温加熱によりしっとりしています。焼いた塩鮭の混ぜ飯とは別物です。


 ガーリックチップスがたっぷり乗った若布と卵の炒め物
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 ニンニク風味で夏でも食欲が湧いてきます。大粒のニンニクでしたので、迫力がありますね。^^


 胡麻の風味が利いている埼玉式冷や汁の海バージョンです。^^
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 冷や汁はそのまま汁物として召し上がっても美味しいのですが、このように温麺や細めのうどんを浸けながら食べるのも夏にぴったり。


 初めての岩沼市中央公民館での三陸海の幸勉強会でしたが、山元町からお出で下さった方もおりました。魚食普及の輪が広がるのは楽しいですね。魚料理のレパートリーはレシピをどれだけ知っているかではなく、どれだけ作ったことがあるかです。ネットでどんなレシピでも手に入る時代ですが、手と舌で覚えない限り、単なる知識に過ぎません。魚食普及は情報や知識の提供だけではなく、このような地道な努力が必要であると思っております。


レシピです(4人分)


 ◆ 海の冷や汁 白石温麺を添えて            
   材 料: キュウリ・・・・・・2本
        ナス・・・・・・・・2個
        長葱・・・・・・・・半分
        青紫蘇・・・・・・・4枚
        塩蔵若布・・・・・・10g
        しらすぼし・・・・・大さじ2
        白胡麻・・・・・・・半カップ
        赤味噌・・・・・・大さじ4
        氷水・・・・・・・・700ml  
        白石温麺・・・・・・100~200g
        (つけ麺のように食事にする場合は一人100g)
   作り方
① キュウリ、ナス、長葱は薄い輪切りに、青紫蘇は千切りにしておく。
② 若布を水で戻して、細かく切っておく。
③ 擂り鉢に煎った白胡麻を入れてよく擂る。
④ ③に味噌と長葱を入れて混ぜ合わせる。
⑤ ④にキュウリとナスを加え、突くように馴染ませる。
⑥ ⑤に氷水を注ぎ、若布としらすぼしを加える。
⑦ 温麺を茹でて、水で洗い氷水で締めてから水気を切っておく。
⑧ ⑥を器に盛って、青紫蘇を天盛りし、⑦を添える。
※ 薬味としてミョウガや粉山椒、具に崩した絹ごし豆腐もよく合う。
※ 水で洗ったご飯にかけて食べても美味しい。
 
 ◆ 若布と卵のガーリック炒め   
  材 料: 塩蔵ワカメ・・・・・・・60g
       卵・・・・・・・・・・・2個
       ニンニク・・・・・・・・2片
       胡麻油・・・・・・・・大さじ2
       麺つゆ・・・・・・・・大さじ1/
       醤油・・・・・・・・・大さじ1/2
       七味唐辛子・・・・・・・少々
   作り方
① 塩蔵ワカメは水で戻して適宜に切り、ニンニクはスライスにしておく。
② フライパンに胡麻油を敷き、ニンニクを炒めて香りを出す。
③ ②がカリッとしたら、取り出してキッチンパーパーで油を切る。
④ ③のフライパンの残った油でワカメを炒める。
⑤ ワカメの脇で溶き卵を炒め、スクランブルエッグにする。
⑥ ワカメに麺つゆと醤油をかけて馴染ませる。
⑦ ワカメとスクランブルエッグを混ぜて、皿に盛り、③を天盛りする。
⑧ 好みで七味唐辛子を振る。
※ 写真ではチリメンジャコもニンニクと一緒に炒めて天盛りしている。

 ◆ 復興飯(若布と銀鮭の混ぜ御飯)    
     材 料:米・・・・・・・・・・2合  
       塩銀鮭切り身・・・・・2切
       塩蔵ワカメ・・・・・・10g
       塩・・・・・・・・・・適量
       ダシ昆布・・・・・・・名刺大
  作り方
① 米をよく研ぎ、ダシ昆布を入れて炊き上げる。
② 銀鮭の皮と骨を取り除いて、微塵切りにする。皮と骨はとっておく。
③ 塩蔵ワカメはさっと水に浸し、まだ、塩味があるうちに水気を切って微塵切りにする。
④ 飯が炊き上がったら、昆布を除き、②をさっと混ぜて蒸らす。
⑤ 銀鮭に熱が通ったら、③を混ぜ込み、塩味が薄い場合は塩で調整する。

※ 皮と中骨は電子レンジで加熱して皮骨煎餅とする。皿にキッチンペーパーを敷き、皮と中骨を重ならないように並べ、上にもキッチンパーパーを被せる。500Wで3分を2~3回繰り返す。途中で庫内の水蒸気を扇ぎ出す。味が薄い時は塩を振る。
2016/08/22(月) 05:00 | trackback(0) | comment(0)

酒塩と梅酢で冷やしゃぶです。

カテゴリー: 料理:肉・卵・乳

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 このところ、江戸時代調味料の発掘を楽しんでいますが、煮貫煎り酒とともに重要な調味として、酒塩梅酢が挙げられます。特に醤油が江戸庶民に広がる中期以前はこれらが調味料の主役でした。夏も盛りを迎え、冷たい物が食べたくなりますが、それでもスタミナを維持しなければなりませんので、冷やしゃぶを作ってみました。普段はこれをポン酢醤油や胡麻だれで食べるのですが、今回は酒塩梅酢で味付けを行いました。実にさっぱりとした冷やしゃぶに仕上がりました。


 まず、酒塩ですが、通常、日本酒に海水程度の塩味を感じるくらいの塩を加えて作ります。
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 海水には塩分(正確には塩類)が約3%含まれます。酒一合に小さじ1杯(6g)の塩になります。酒塩は通常、肉や魚の下処理に漬け込み液などとして使いますので、日本酒はそのままで構いませんが、今回は加熱しないで口に入りますので、アルコールの苦味を煮切って飛ばしておきましょう。



 続いて、梅酢おろしを調製します。梅酢は赤紫蘇を使わない白梅酢を用意します。
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 水気を絞った大根おろしに梅酢を混ぜ込みますが、塩味が足りない時は天然塩を加えて調整します。いわゆる霙酢よりは固めで、調味大根おろしと言ったところでしょうか。


 まず、酒塩に氷を入れてキンキンに冷やした物を用意します。続いて、80℃程度に湧かした湯に昆布を入れてダシを引きます。
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 その中にしゃぶしゃぶ用の豚肉を一枚ずつ泳がせ、赤みが失せた瞬間に冷やした酒塩に潜らせます。これをただの氷水でやりますと水っぽくなってしまいます。


 熱が取れた豚肉は水気を切って盛り付けます。
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 そこに先ほどの梅酢おろしを添え、大葉や茗荷など好みの香辛野菜を天盛りします。


 一口分ずつ盛り込みますと食べやすいですね。
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 豚肉には既に味がついており、梅酢おろしのさっぱり感も加わって夏向きの佳品になります。


 今回は大皿に盛り込みましたが、これを小鍋立てにして、一枚ずつしゃぶしゃぶしながら、冷酒をやるのもですね。江戸時代には豚や牛のしゃぶしゃぶなど存在しませんが、江戸期の晩酌の雰囲気を現代の料理で味わうのも悪くはありません。夏に小鍋立ては暑苦しく感じるかも知れませんが、冷やした酒塩梅酢おろしを使った冷やしゃぶなら小粋にも楽しめるでしょう。
2016/08/15(月) 05:00 | trackback(0) | comment(0)

江戸時代の調味料 煮貫で手打ち蕎麦

カテゴリー: 料理:麺類

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 このところ江戸時代、特に醤油が普及する前の初期の調味料を再現して楽しんでおりますが、今回はその当時の蕎麦つゆと現代の江戸前の蕎麦つゆをガチで対決させてみます。果たして結果や如何に。。。^^



 その江戸時代の蕎麦つゆとは煮貫と申します。
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 作り方は、まず、味噌を3.5倍量の水に溶かします。30分ほどおいてそれを漉し、半量の日本酒と削り節、ダシ昆布を加えて煮詰めます。ところで、濾した後の味噌の滓(かす)は適度に塩分が抜けて美味しいのです。これも使って一品を作ります。


 煮詰める途中で思い出したのですが、煮貫でも蕎麦つゆの場合は甘味を加えるのでした。
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 そこで、現代の蕎麦つゆと同程度の甘さを感じるまで味醂を加えました。これを濾したら出来上がり。先ほどの味噌滓とダシを取った後の鰹節と昆布で次のような蕎麦屋のつまみを作ります。 


 味噌の滓にダシ殻である削り節や昆布を刻み込んで焼き味噌を作ってみました。
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 コクを出すために煎り白胡麻と黄粉(きなこ)を加え、きび糖で甘みも加えています。いやいや、こりゃ行けますね。味噌そのままだと塩味が強過ぎるのですが、これなら良い具合です。その後、調べてみましたら、蕎麦屋で酒のつまみとして出される焼き味噌の起源は煮貫を作る過程で出た味噌滓の有効利用であるとの説も発見できました。江戸前蕎麦の前に焼き味噌で一献の理由がここにあったのですね。


 さて、煮貫が出来たところでおもむろに蕎麦を打ち始めます。
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 今日は北海道のキタワセです。加水率48%の二八で打っています。最近やっと麺の幅が安定してきました。


 さて、常備している本返しで仕込んだ現代版江戸前蕎麦つゆと江戸時代初期の煮貫との対決です。^^
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 左は現代の醤油ベースの蕎麦つゆ、左は味醂を加えた煮貫です。


 結論です。煮貫は若干、味噌の風味が残りますが、これしかなければ、何の抵抗もなく蕎麦を食べることが出来たかも知れません。実際、蕎麦処の信州では焼き味噌と大根おろしの汁で蕎麦を楽しんでいます。味噌の風味が蕎麦に合うのも事実でしょう。しかしながら、両者を比較すると現代の醤油ベースの蕎麦つゆのようなキレがなく、野暮ったく感じるのです。キレとはメリハリと言いますか、後味の爽やかさと言いますか、いわゆるな味であることです。^^

 これは習慣による嗜好性の偏りかも知れませんが、しゃっきりした江戸風の蕎麦はキレのある醤油ベースの蕎麦つゆで頂いた方が美味しく感じます。江戸時代中期以降に醤油が庶民にも普及してからは煮貫に代わって現代の醤油ベースのつゆがメジャーになって行ったわけですから、先人たちもそう感じたのでしょう。でも、それに口が慣れ切った時には変化球も必要ですね。そこから何か新しい発見があるかも知れませんし。^^
 



2016/08/08(月) 05:00 | trackback(0) | comment(0)

ズッキーニで和風料理二品

カテゴリー: 料理:野菜・果物

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 大規模家庭菜園をやっている近くの先輩からズッキーニを沢山頂きました。ズッキーニは草勢が強く場所も取りますので、我が家のような小規模家庭菜園には不向きなのです。ズッキーニと言いますと、フリットにしたり、グリルしてバルサミコ酢ソースかトマトと煮込むカポナータが定番ですが、それでは芸がないので、今回は和風に料理してみようと思い立ちました。^^




 結論からお見せしますとこれら二品です。
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 ズッキーニ煎り酒漬け(手前)と鴫(しぎ)焼き(奥)です。煎り酒は以前にもご紹介(関連記事)しましたように醤油が普及する以前の江戸時代の調味料。鴫焼きは本来、タシギやヤマシギ等のシギ科の鳥を焼いたものでしたが、ナスに詰めた料理が広まり、それが精進料理の世界で茄子だけの料理となって、茄子の味噌田楽や鍋で味噌炒めした料理(鍋鴫)を鴫焼きと呼ぶようになりました。




 最初に煎り酒漬けを作ります。煎り酒は日本酒に梅干しと鰹節、昆布などを加えて煮詰めた後、漉したものです。白身の刺身やタコ・イカなどの軟体動物によく合います。そうそう、ホヤにもぴったりでしたね。
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 ただ、漬け込み液としては弱いので、味醂醸造酢藻塩を加えて味にメリハリを付けました。刺身の醤油の代わりに使う時も少し塩を足した方がよいですね。現代の梅干しだけでは塩味が弱く感じます。



 漬け込み液が出来ましたら、ズッキーニを炒めていきます。
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 炒めると言うより、ごく少量の油で片面ずつじっくり焦がしていく感じですね。彩りにパプリカも加えました。



 箸がスッと刺さるようになったら焼きは完了です。煎り酒ベースの漬け込み液に浸漬しましょう。
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 半日も漬け込めば味が染みて食べられます。



 続いてズッキーニ鴫焼きですが、惣菜としてボリュームを出すために豚肉と厚揚げも加えます。
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 調味料は白味噌、きび糖を日本酒で溶いたものです。香り付けに生姜の千切りも使います。



 最初にズッキーニを油通しします。
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 熱を均一に通し、形を崩さないための前処理です。



 油をよく切りましたら、生姜を炒め、肉を加えます。
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 続いて厚揚げを加えて温まったら、調味料を混ぜ合わせれば完成です。



 ズッキーニはこのような日本の料理にもよく合います。
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 カボチャの仲間と言っても、加熱すると冬瓜や夕顔のような食感になりますので、当然ながら和食にも向くわけです。




 以前、何度かズッキーニを栽培したことがありましたが、場所を取る割には収量が少ないので、しばらく作っていませんでした。夏の間はあまり野菜も買わないで済むので、知らず知らずズッキーニとも疎遠になってましたが、先輩のおかげで今回は久々に堪能できました。ありがとうございました。m(_ _)m
2016/08/01(月) 05:00 | trackback(0) | comment(0)
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